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街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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クルミお母さんの母親像を再度考える ~ 「求心性」、「非求心性」の第三の座標軸から見えてくること

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今日(22日)、こうしてクルミお母さんを長い時間見ていていろいろなことを考えた。
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先日、ホッキョクグマの母親像を2つの座標軸を用いて分類した。 それは「情愛型」と「理性型」という軸と、「対象関与型」と「対象非関与型」という軸の二つである。 今回こうしてクルミお母さんを見ていると、彼女にだけはどうもそれまでとは違うもう一つの軸を新たに導入せねばならないような気もしてくるのである。 
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それは「求心性」と「非求心性」とでも表現した方が良い、もう一つの座標軸である。 以下、ある種の 「たとえ話」 程度としてご理解いただきたい。 そもそも、こういった仮想上での分類の話は私が欧州やロシアなどで複数のお母さんたちの育児の様子を観察して体験的に得られた分類によっているので、これを絶対的なものと受け取ってもらっては困るのである。
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一般公開の初日からクルミお母さんは展示場での歩行量が非常に多い。 しかも、非常にスピーディに動くのである。
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こういった動きは彼女が母親になる以前の釧路時代からの特徴である。 だから、彼女は通常時も育児期間中もあまりかわらないペースを守っているように感じるのだ。 つまりクルミお母さんにとって子供を持つということは(育児をするということは)、何か特別の事件ではなく、彼女の日常性の中に吸収された出来事ででもあるかのような感じを持つ。 このクルミお母さんの子育て期間中も変わらない歩行量の大きさは何を意味するのだろうか。
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展示場で歩行量(移動量)の大きな母親に対して、赤ちゃんがそれを追尾し続けることはなかなか難しいのである。 こうした場合、赤ちゃんにとっての母親は “Les visions fugitives” とでも言ったらよいか、 つまり「束の間の幻影」とでもいったような存在になる可能性を持つのである。 つまり赤ちゃんにとっての母親の母性とは、自分がよりどころとする「母親」 という観念ではなく、実際に接近したり、あるいは体を接したりしたときに感じる具体的な感覚だけになるのである。 だからミルクにとってのクルミお母さんの母性とは、そういった肉体的な接触感覚そのものに限られてくるのではないだろうか? つまり、「母親」というものの観念を外の世界に発散しないという意味でクルミお母さんは「非求心性」に分類される母親である。
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一方で、育児中に展示場での動きの少ない母親の場合はどうか?  あまりに単純化された例で恐縮だか一つだけ具体例を挙げておこう。 まずこの下の映像はモスクワ動物園のシモーナが育児を行っていない時期の映像である。 彼女が三つ子を出産する二か月前の映像である。 やはり彼女も通常の時には動き回っているのである。

(2011年9月22日撮影 於 モスクワ動物園)

そしてこのシモーナが三つ子を出産して4か月ほど経過したときの映像である。

(2012年3月20日 於 モスクワ動物園)

ここでのシモーナお母さんは母親としてどっかりと腰を据えて座っている。 赤ちゃんたちはお母さんにくっついたり離れたりしている。 しかしいくら離れようとも、やがてお母さんの元へ戻ってくるのである。 ここでのシモーナお母さんは赤ちゃんたちにとっては「確固として不動で揺るぎない存在の母親」なのである。 どんなにお母さんから離れようとも、赤ちゃんたちにとっては安心して戻る場所があるのである。 こうしたお母さんの存在によって赤ちゃんたちは安心して行動できるのである。 ただ単に座っているだけなのにシモーナお母さんというのがどれだけ素晴らしい母親であるかを如実に示している。 シモーナお母さんはそういった意味でも「求心力」があるのだ。 そしてシモーナお母さんがゆっくりと動き出すと赤ちゃんたちも追随するのである。

(2012年3月31日撮影 於 モスクワ動物園)

シモーナお母さんの「求心力」は見ていて実に凄いものである。 「マグネット・シモーナ (Magnet Simona)」 と呼んでも良いほどだ。 つまりシモーナお母さんは「求心性」を持つ母親である。 あと私が会った中では、映像では撮っていないがオランダ・ロッテルダム動物園のオリンカお母さんもシモーナに勝るとも劣らない「求心力」を持っている。

さて、ララお母さんはどうかと言えば、私の見たところでは「求心性」と「非求心性」を左右の軸とすれば中心から幾分左寄り、つまり「求心性」のほうが幾分か大きいという地点にに位置しているように思うのである。 ララお母さんとシモーナお母さんは「情愛型」で「対象関与型」という点で非常によく似ているが、仮に第三の座標軸である「求心性」と「非求心性」を導入すると、この点においてはシモーナお母さんとララお母さんは少し異なるように思われる。 一方、あのレニングラード動物園の偉大な母であるウスラーダお母さんは、それとは反対に最も「非求心性」に分類される母親のように思われる。 つまりこの点だけに関してはウスラーダはクルミお母さんに非常に近いのである。

ミルクはクルミお母さんの持っているものに興味を持つときは下の映像のように目を輝かせる。 しかし水に飛び込んでまでお母さんと戯れる気持ちはないようだ。

ミルクの好奇心

そして興味を示さないものに対しては次の映像のように無関心である。 これを、「ふて腐っている」という理解はしたくない。

ミルクの無関心

この上の2つの映像のシーンでは見ている方々の中では、「お母さんが娘を水遊びに誘っているのだ」と理解していた方が多かったようだ。
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しかし私の見たところ、これは単なるクルミお母さんの自分の遊びであると思われる。 そしてそれは、何が何でも娘を遊びに引き入れようという意図は感じられない。
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今まで何度も書いてきたが、ホッキョクグマのお母さんたちの子育て(子供たちへの接し方)は全て異なるのである。 お母さんの数だけの「母親像」があるのである。 しかしこの事実は、全てのお母さんたちのそれぞれのやり方は全て平等の価値があるとまで断言する気持ちにもなれないのだ。
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それぞれのやり方の存在と価値は認めたとしても、そこにはやはり巧拙というものの存在を否定するわけにはいかないだろう。 シモーナやウスラーダやララやフギースやオリンカの母親としての巧みさを否定することは不可能である。
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今回初出産に成功したクルミお母さんにとっては、そうした「世界のホッキョクグマ現役大物お母さん列伝」に登場する偉大なる母親像は、まだこれからチャレンジすべき対象であり続けていると言えるのではないだろうか?
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ミルクという、まるで宝石のような美しさをもつ雌の赤ちゃん(まだ「赤ちゃん」と言っておきたい) の姿を見せつけられると、この娘に対しては「情愛」で接し、行動に「関与」して母娘としての絆の深さを見せてくれ、そして幾分なりとも「求心力」を持つ母親によって育てられるミルクであるなら、さらにもっと彼女の輝きが増すように思うのだが、それは私の勝手な思い込みであろうか?
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クルミお母さんは確かに素晴らしいお母さんである。 しかし、もっと素晴らしいおお母さんになり得る余地がまだ十分にあるように思う。
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ともかく、少しでも多くの方に実際に男鹿水族館に足を運んでいただき、実際にご自分の目でこの親子の姿を見ていただきたい。 
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この美しいミルクと、
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そして未来の可能性を秘めたクルミお母さんという素晴らしい存在に会うことができるのである。 そしてホッキョクグマの母娘というものに興味を抱かれた方には、是非札幌にも行っていただきたい。 同じシーズンに二組のホッキョクグマの親子が同時に見られるという国は、今シーズンに限るならば世界で日本でだけなのである。
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Nikon D7100
AF-S DX NIKKOR 18-300mm f/3.5-5.6G ED VR
(Jun.22 2013 @秋田県、男鹿水族館)

(過去関連投稿)
男鹿水族館の赤ちゃん、はじめまして!!
クルミの赤ちゃん(クーシャ - 仮称) の素顔と性格 ~ 一般公開日初日の印象
クルミお母さんの性格と母親像 ~ その 「対象非関与型母性」への評価について
「情愛型」 と 「理性型」、「対象関与型」 と 「対象非関与型」 のそれぞれの母親像の違いを探る

(*追記 - おっと、豪太を忘れていた。 彼を見ていたのは10分ほどだけだったのだが、プールの中でリラックスして遊んでいた。)
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by polarbearmaniac | 2013-06-22 23:50 | しろくま紀行

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