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街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


by polarbearmaniac

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アメリカ ・ シカゴ郊外のブルックフィールド動物園のホッキョクグマたち ~ 氷のプレゼントと繁殖への展望

アメリカ ・ シカゴ郊外のブルックフィールド動物園のホッキョクグマたち ~ 氷のプレゼントと繁殖への展望_a0151913_0163179.jpg
ハドソン Photo(C)Brookfiled Zoo/Chicago Zoological Society

夏期になりますと、ほとんどの動物園でホッキョクグマに氷のプレゼントというものがあります。 そのようなイベントの模様を伝えるマスコミは多くの場合、「ホッキョクグマは嬉しそうに夢中で氷に噛り付いていた。」 というような表現でその模様を伝えるわけです。 ところが実際のところ、夏の暑い日でも氷などにはさほど関心のないホッキョクグマは多いわけで、氷に噛り付くのは中に何が好物が入っている場合がほとんどです。 ですから、「ホッキョクグマは嬉しそうに夢中で氷に噛り付いていた。」 という表現自体は我々人間の願望、すなわち暑い季節だからホッキョクグマは氷をもらって喜んでほしいし、喜んで当然だという固定観念と期待を意味するものであると理解すべきでしょう。

さて、そうは言うものの、やはり純粋に氷だけを喜ぶホッキョクグマも当然いるわけで、それが下にご紹介するアメリカ・イリノイ州の大都市シカゴの郊外にあるブルックフィールド動物園のホッキョクグマたちのようです。 7月下旬に行われたその模様をCBS のニュース映像で見てみましょう。 登場しているのは雄のオージーでしょう。 三つ目の氷には何かが入っているようです。



このオージー、まさ人間の事前の期待を裏切らない程度に氷を抱いて喜んでいるような表情を見せています。 このシカゴのブルックフィールド動物園ではもちろんホッキョクグマ以外にも氷のプレゼントがあったわけで、そういった様子を同園の公式映像で見てみることにしましょう。



この雄のオージーは実は南半球のオーストラリアで初めて飼育下で誕生したホッキョクグマであり、現在では27歳になっていたはずですが、長く雌のアーキとペアを組んでいました。 そのアーキは2011年の2月に生まれてから26年間過ごしたブルックフィールド動物船を去ってケンタッキー州のルイビル動物園に移動した件は、「シカゴ・ブルックフィールド動物園を去り新天地のケンタッキーへ移動するアーキ」、そしてそのアーキが今年の5月にルイビル動物園で亡くなった件は「アメリカ・ケンタッキー州、ルイビル動物園のアーキ逝く ~ 長く暮らした生まれ故郷を離れての死」のそれぞれの投稿をご参照ください。 アーキーは私もシカゴのブルックフィールド動物園で会ったことがあるホッキョクグマですが、この彼女をわざわざルイビルに移動させた件については私は今でも納得のいかない気持ちです。
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故アーキ Photo(C)WDRB.com
アメリカ ・ シカゴ郊外のブルックフィールド動物園のホッキョクグマたち ~ 氷のプレゼントと繁殖への展望_a0151913_111878.jpg
オージー Photo(C)Kim Pruim/Polar Bears International

オージーとアーキのペアの間には5頭の子供が成長しましたが、そのうち2頭はすでに亡くなっています。一頭は1999年生まれのティグアクで、彼女の死については 「カナダ・ケベック水族館の11歳のティグアク、歯科治療の麻酔中に亡くなる」を是非ご参照下さい。 また、もう亡くなったもう一頭はキナパクで、彼女の不可解な死については、「動物園による情報公開 ~ アメリカ・バッファロー動物園でのホッキョクグマ連続死亡事件」をご参照ください。 現在このブルックフィールド動物園で飼育されている6歳の雄のハドソンは、このオージーとアーキの最後の子供というわけです。
アメリカ ・ シカゴ郊外のブルックフィールド動物園のホッキョクグマたち ~ 氷のプレゼントと繁殖への展望_a0151913_1312424.jpg
ハドソンとアーキお母さん (2007年)
Photo(C)Chicago Zoological Society

アーキ亡き現在のブルックフィールド動物園にはあのバッファロー動物園でルナを産んだアナーナ(札幌・円山動物園のデナリの妹)がバッファロー動物園から移動してきています。 彼女はまだ12歳ですが、雄のオージーが27歳になっていますのではたして繁殖がうまくいくのかが気がかりなところです。 以下は今年の春のオージーとアナーナとの映像ですが、雄のオージーには発情の徴候は確かに見ることができます。



これで27歳のオージーが父親になることができたとすれば快挙でしょう。 それから、オージーとアーキの間の最後の息子であるハドソンですが、彼ももう6歳になっています。 彼もそろそろパートナーが必要な年齢ですが、父親のオージーとアナーナとの間の繁殖が不可能となった場合にはアナーナがハドソンのパートナーになるような気がします。 以下の映像は今年の4月のもので、アナーナとハドソンの同居の映像ですが、ハドソンは6歳にしてはかなり幼い印象を与えます。



ともあれ、これからこのブルックフィールド動物園のホッキョクグマの繁殖を背負っていくのはハドソンでしょう。
アメリカ ・ シカゴ郊外のブルックフィールド動物園のホッキョクグマたち ~ 氷のプレゼントと繁殖への展望_a0151913_0555533.jpg
ハドソン Photo(C)Chicago Zoological Society

(資料)
The Washington Post (Jul.19 2013 - Polar bears keep cool in heat)
Brookfield Zoo (Operation Polar Bear)
Brookfield Zoo (Bear Apparent - More Info on Arki and Her New Cub)

(過去関連投稿)
シカゴ・ブルックフィールド動物園を去り新天地のケンタッキーへ移動するアーキ
アメリカ・ケンタッキー州、ルイビル動物園のアーキ逝く ~ 長く暮らした生まれ故郷を離れての死
カナダ・ケベック水族館の11歳のティグアク、歯科治療の麻酔中に亡くなる
動物園による情報公開 ~ アメリカ・バッファロー動物園でのホッキョクグマ連続死亡事件
by polarbearmaniac | 2013-08-09 23:45 | Polarbearology

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