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街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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中国・天津市の天津海昌極地海洋世界でホッキョクグマの赤ちゃん誕生! ~ そしてカナダでの映画撮影

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赤ちゃんの皮祖 (Pezoo) Photo(C)天津海昌極地海洋世界

いやはや...本当に何と申し上げたらよいでしょうか、私は今頃になってこの事実をようやく掴みました。 この前の繁殖シーズン (2012 ~ 2013) で見落としていたホッキョクグマの赤ちゃん誕生の情報です。 中国・天津市の天津海昌極地海洋世界の極地海洋館でホッキョクグマの雄の赤ちゃん1頭が誕生し、人工哺育で育てられたそうです。 誕生したのは昨年2012年の12月12日のことだったそうで、円山動物園のララがマルルとポロロを出産した4日後ということになります。 この赤ちゃんの生後46日経過の姿、そしてそれから4週間後(つまり生後約74日経過ということになります)の映像をご紹介しておきます。



例によって例のごとく両親の名前と姿、そして誕生に関する情報については一切開示されていません。そして「人工繁殖」だと言っていますが、これが単なる人工哺育だけを意味するのか、それとも人工授精を意味するのかは報道内容その他を読む限り明らかではありません。 こういったことも、いつもの中国でのホッキョクグマの赤ちゃん誕生のニュースでは毎度のことです。 この赤ちゃんの名前は「皮祖 (Pezoo)」だそうです。
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カナダでの映画撮影中の皮祖 (Pezoo)  Photo:中国日报

ところがこの赤ちゃん、何と今年の4月に担当飼育員さん、獣医さん、通訳などを含めた天津海昌極地海洋世界の5人のスタッフと一緒にカナダに移送され、そこで約1か月の検疫のあとで訓練を受けた後に映画に出演すべく撮影が行われたそうです。 この映画のタイトルは中国の報道によれば「午夜阳光」、というもので、これはハイドパークエンターテインメントが制作し、ヒュー・ハドソン(Hugh Hudson) 氏が監督の “Midnight Sun” という映画ですね、 つまり「真夜中の太陽」という意味にでもなるでしょう。 
中国・天津市の天津海昌極地海洋世界でホッキョクグマの赤ちゃん誕生! ~ そしてカナダでの映画撮影_a0151913_020686.jpg
(C)Hyde Park Entertainment

映画の内容を簡単に言えば、ホッキョクグマとイヌイットの関わりを通じてホッキョクグマの保護というメッセージを伝えるという映画だそうです。 迷子になっていたホッキョクグマの赤ちゃんをなんとkしてお母さんと一緒にさせろうと奮闘するイヌイットの少年の物語ということのようです。 あらすじについてはこちらをご参照下さい。 やはり幼年個体のホッキョクグマを映画に登場させるためには人工哺育の個体のほうが人間に慣れていて演技させやすいということなのでしょう。 そしてこうやってカナダでの映画撮影に抜擢されたわけですから、少なくともこの皮祖はハイブリッドではないのではないかということです。 顔つきが少しでも通常のホッキョクグマと異なって入れば映画に登場することなどありえないのではないかということです。 しかしその一方で、写真や映像で皮祖を見る限り私にはホッキョクグマ以外の血が僅かながら入っているような印象を受けます。 しかしこの問題は非常に微妙です。 なんとも判断が付きません。
中国・天津市の天津海昌極地海洋世界でホッキョクグマの赤ちゃん誕生! ~ そしてカナダでの映画撮影_a0151913_0222340.jpg
天津での皮祖 Photo(C)

この映画の撮影が終了後に皮祖(Pezoo)は無事に中国の天津に帰還したそうです。 彼は天津への帰還後はスターとしての扱いになっているそうで、現在は烟台市の烟台海昌鲸鲨馆に短期間、出張となっているそうです。
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皮祖 Photo(C)胶东在线

前回この天津市の天津海昌極地海洋世界で誕生していたのは「中国・天津市の天津海昌極地海洋世界でホッキョクグマの双子の赤ちゃん誕生!」という投稿でご紹介していますが、昨年の2012年3月5日に誕生した双子の「晶晶」と「薇薇」でした。 その誕生の日付と今回の皮祖の誕生の日付(2012年12月12日)を比較しますと、仮にこの2回の繁殖が同じ母親からなされたとすれば、これはやはり人工授精である可能性が高いと思いますが、母親が違うということならば、それは単なる人工哺育ではないかと考えられます。 ともかく両親についての情報がないというのが不思議です。その情報がないということは、すなわちひょっとしてこれは人工授精であるということを意味しているかもしれません。 ホッキョクグマの人工授精は昨年アメリカのセネカ動物園で史上初ということで行われましたが、出産には至らなかったわけです。 それについては、「アメリカ・ニューヨーク州 ロチェスターのセネカ動物園が史上初のホッキョクグマの人工授精を行う」、及び「アメリカ・ニューヨーク州 ロチェスターのセネカ動物園でのオーロラへの人工授精、結果は実らず」の2つの投稿を御参照下さい。 さて、この下の写真は前回この施設で誕生した双子の「晶晶」と「薇薇」の生後5ヶ月の写真です。 今回の赤ちゃんの皮祖と比較してみてどうでしょうか? 両親は同じでしょうか?
中国・天津市の天津海昌極地海洋世界でホッキョクグマの赤ちゃん誕生! ~ そしてカナダでの映画撮影_a0151913_1291645.jpg
生後5ヶ月の「晶晶」と「薇薇」 Photo(C)新华网

これまでの諸々の状況を重ね合わせて考えてみますと、これはあくまでも私の心象ですが、中国はすでにアメリカに先んじてホッキョクグマの人工授精を試み、そしてこれに成功しているのではないかと思います。 そしてこれは相当に飛躍した見方ですが、以前に「ロシアの3つの動物園が共同で異種間移植(ホッキョクグマ → ヒグマへの胎仔移植)の実験を行うことを発表」という投稿でもご紹介しましたが、中国では試験管内で受精させたホッキョクグマの受精卵をヒグマに移植してヒグマに出産させることに成功し、それを人工哺育しているのではないでしょうか? つまり異種間移植ですね。 だからこそ中国ではホッキョクグマの赤ちゃんの両親の姿を出さないのではないでしょうか。 そしてさらに今回の皮祖についての誕生の季節は正常ですが、これまで何回か通常はホッキョクグマの出産シーズンではない、とんでもない月に誕生した赤ちゃんがあったのはこれが理由ではないでしょうか。  ただし不思議なのは、仮にそうだとすれば何故もっと大々的に世界にそのことを誇示しないのかということです。 「アメリカ帝国主義は張子の虎である。」 というのが毛沢東語録の一節です。 「アメリカなどいつも偉そうなことを言っているが、俺たちのほうがホッキョクグマの繁殖では先を行っているのだ。」と何故世界に強くアピールしないのでしょうか? ともかく、中国におけるホッキョクグマの飼育と繁殖には不可解なことが多すぎます。 さて、なんとか年内に天津に行ってこの皮祖に会ってみたいものです。

(資料)
中国日报 (Jul.12 2013 - 全国首个北极熊“影帝”14日与天津市民见面)
天津网 (Jul.15 2013 - 海洋世界“极地影帝”北极熊皮祖“晒萌”)
胶东在线 (Sep.3 2013 - 熊出没!最萌小北极熊即将做客烟台海昌鲸鲨馆)
55tuan.com (【近海门大桥】海昌极地海洋世界)
新华网 (Aug.8 2012 - 孪生北极熊心萌化了 超级可爱)
Best News (Jul.14 2013 - Tianjin polar bears go to Canada for a movie)
IMDb.com (May.1 2012 - "Midnight Sun" Rises On Hugh Hudson)
IMDb.com (Jul.12 2013 - Midnight Sun)
Hyde Park Enterainment (Midnight Sun)

(過去関連投稿)
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by polarbearmaniac | 2013-09-04 01:30 | Polarbearology

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