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街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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釧路市動物園のユキオが上野動物園へ、男鹿水族館のミルクが釧路市動物園へ ~ その後を予想する

釧路市動物園のユキオが上野動物園へ、男鹿水族館のミルクが釧路市動物園へ ~ その後を予想する_a0151913_2111049.jpg
ミルク (2013年5月1日撮影 於 男鹿水族館)

北海道新聞の本日11月26日付けの報道によりますと、以下が報じられています。

① 男鹿水族館のミルクが来年1月下旬に釧路市動物園に移動
② 釧路市動物園のユキオが近く上野動物園に移動


全国の飼育施設による繁殖計画の一環とのことです。 ですから、「ホッキョクグマ繁殖検討委員会」の調整による移動ではないということになります。

①についてはすでに秋田県の側からの報道で伝えられていましたので目新しいことではありません。 ②については①を行うならば必然的にそうなるであろうということ以上ではありません。 ただし、そもそもユキオが上野動物園から釧路市動物園に移動したのは外形的には釧路市と東京都との交渉という形をとっていたものの、実際は「ホッキョクグマ繁殖検討委員会」の調整であったわけです。 私が釧路でツヨシとユキオの同居を見たのは昨年の6月2日のことでした。 その時のレポートは「釧路市動物園のユキオとツヨシ ~ 残された繁殖の時間の限られたペアの姿」という投稿に記しています。 また、それから約半年後の次の訪問となった昨年11月17日の訪問のレポートは、「釧路市動物園へ ~ 余生安楽モードのユキオへの苦言」、及び「憂愁のホッキョクグマ ・ ツヨシの憂鬱」に記していますが、この時の訪問で見たツヨシには深い同情を禁じ得ませんでした。 ですからツヨシとユキオのペアの終了は予想できたことでした。 ユキオの現在の年齢から言ってもそれは十分に予想できた話です。

(*追記 - 上野動物園はユキオを釧路に移動させる際に公式的にこういっています。 「国内で飼育されているホッキョクグマは限られており、1組でも多くの繁殖可能なペアを形成することが望まれます。 そこで、当園と釧路市動物園との間で、ブリーディングローン契約を行い、当園のオス「ユキオ」を釧路市動物園に移動させ、釧路市動物園で飼育しているメス「ツヨシ」(8歳)との間で繁殖を目指す こととなりました。」 つまり、ユキオの釧路への移動は「繁殖目的」以外の何物でもなかったわけです。)

さて、問題は釧路でのツヨシとミルクですが、この2頭を同居させるのかどうかです。 それには、果たしてツヨシの次のパートナーが誰になるのかが関わってきます。 可能性として考えられるのは、ツヨシの他園への移動でしょう。 ここで「ホッキョクグマ繁殖検討委員会」の出番となるわけです。 来年2月頃に予想される日本のホッキョクグマの移動には、次の要素が大きく影響してきます。 それは、キャンディ(札幌)、バフィン(大阪)、バリーバ(横浜)に今年の年末にかけて出産があるかどうかということです。 出産がないとすれば、この3頭はもともと飼育されていた園に戻ることがまず想定されます。 すると、この3頭の現在のパートナーである雄のデナリ、ゴーゴ、ジャンブイの次のパートナーが問題となります。 デナリにはララがいますから除外して、ゴーゴとジャンブイが問題です。 そうなると、ツヨシはこの2頭のどちらかのパートナーとして道外に移動することがまず想定できるのではないでしょうか? 血統的には「アンデルマ・ウスラーダ系」のゴーゴよりも野生出身のジャンブイと組む方が「ララファミリー」のツヨシにとっては有利ですし日本のホッキョクグマ界にとっても遥かに有利です。 しかし仮にバフィンもバリーバも共に出産・育児に成功した場合は、ツヨシの移動はないでしょう。 しかし私にはバフィンとバリーバが2頭とも出産・育児に成功するとは考えにくいですね。 せめてうまくいっても片方だけでしょう。 となれば、出産・育児に成功しなかった園のほうにツヨシは移動すると考えます。 要するに横浜(ズーラシア)か大阪(天王寺動物園) へということです。 そしてミルクは釧路で一頭であの場所を占領して砂だらけになって遊び、その後にプールに飛び込んで排水溝を詰まらせるということですが、ミルクにとっては悪い話ではないでしょう。 ツヨシの所有権は釧路市にありますから、ツヨシが大阪や横浜で繁殖に成功して雄の赤ちゃんが誕生すれば、その最初の赤ちゃんの所有権は通常の場合ですとやはり釧路市が持つことになります。 その雄の幼年個体をミルクの将来のパートナーにするということが釧路市にとっては可能になるわけです。

しかし、問題は釧路市がツヨシを他園、しかも関東や関西に出すという「開明的」なことを考えるかどうかです。 過去の経緯から考えると、どうも私にはそうは思えません。 となると、ツヨシとミルクは年齢差のある「良き友達」となる...最終的にはそういう結果になる可能性は比較的大きいでしょう。 ミルクにとってツヨシは、クルミお母さん以上に自分と一緒に遊んでくれる「良きお姉さん」になるかもしれません。

(*追記 - 私は豪太の父であるモスクワ動物園のウムカ (ウンタイ) とズーラシアのジャンブイは実は野生孤児の双子兄弟なのではないかと密かに考えています。 この「疑惑」については「ジャンブイの素顔 ~ 彼の出自の謎を追う」をご参照いただきたいのですが、これが仮に「隠された真実」であるならば、豪太の娘であるミルクと、ジャンブイとツヨシが仮に繁殖に成功して雄が生まれ、そしてそれをミルクのパートナーにしようということになれば従甥姪のペアとなることを意味します。 しかしそれは後日にロシア側に調査でも依頼すればいい話であり、ツヨシとジャンブイの間での繁殖を狙うということならば、それそのこと自体は決して悪い話ではないと思っています。)

(*追記2 - 私個人としてはツヨシのパートナーはイワンが一番適していると考えています。 イワンも「アンデルマ・ウスラーダ系」ですが、移動は道内だけで済むという実際面と、気候的に旭川のほうが横浜や大阪よりもツヨシにとっては負担が少ないと考えるからです。 ただしイワンはモスクワの偉大な母であるシモーナお母さんの長男であり、第一子だったためか育児初体験だったシモーナお母さんにかなり溺愛されて育ったらしく、肝心のところでの「押し」が弱いという欠点はあります。)

(*追記3 - 仮にツヨシを旭川に移動させると、今度は旭川のサツキとピリカをどうするかという問題が生じますね。 簡単に考えればサツキをかつて住み慣れた帯広に戻してアイラを帯広から釧路に移動させてミルクと同居させるということになるでしょうか。 「大物アイラ」と「遊びの天才ミルク」の同居の組み合わせは実に刺激的で集客力からいったら国内最高の人気になるかもしれません。 おっと、しかしアイラを帯広から釧路に移動させるのは繁殖とは無関係の移動ですから、こうした移動は基本的にはやってはいけないわけです。 それにアイラは札幌市の所有ですし、札幌は釧路に個体を預けるという発想はないでしょう。 釧路は北海道とはいえ、札幌・旭川・帯広の3園とは一線を画した動物園であると私は理解しています。)

(*追記4 - ユキオの移動は「近く」と報じられていますが、私はやはり年末までバフィンの出産の有無を待ってからのほうがよいと思っています。 バフィンに出産がなければバフィンは浜松帰還でしょう。 そうなったらユキオを釧路から一気にホッキョクグマ不在となった熊本や徳島に移すのはどうでしょうか。 そしてバフィンの戻ってくる浜松のキロルを上野に来てもらってデアのパートナーとするということです。 私が上野動物園だったらそう発想したいところです。 ただし札幌市はキロルの上野行きには同意しないでしょう。 つまり、キロルの所有権を東京都に移すことに同意しないということです。 考えていけばいろいろなアイディアは出てくるのですが、輸送コストという問題と個体移動のリスクという問題は必ずつきまといますね。 日本のホッキョクグマ界全体を考えると、どうも非常に損な役回りを演じなければならないごく少数の個体があることを否定することは難しいと考えます。 ユキオはどうもそういった役回りになってしまっているような気がして気の毒ではありますね。 ともかく彼には北海道にはもう居場所がないという非情な現実が生じてしまっているわけです。 ペルミ動物園のテルペイがセリクとユムカの入園によってはじき出されてしまったことと似ています。 ペルミ動物園は高齢のアンデルマを守り、そして幼年個体ペアを守るという年齢の両端の世代を守ったために中間の若年・壮年個体のテルペイが貧乏くじを引いてしまったわけです。)

(資料)
北海道新聞 (Nov.26 2013 - ホッキョクグマ・クルミの子ミルク 来年1月釧路に ユキオは上野へ)

(過去関連投稿)
上野動物園のユキオ、釧路市動物園へ
釧路市動物園のユキオとツヨシ ~ 残された繁殖の時間の限られたペアの姿
釧路市動物園へ ~ 余生安楽モードのユキオへの苦言
憂愁のホッキョクグマ ・ ツヨシの憂鬱
ジャンブイの素顔 ~ 彼の出自の謎を追う
by polarbearmaniac | 2013-11-26 21:00 | Polarbearology

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