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街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


by polarbearmaniac

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札幌・円山動物園のマルルとポロロが満一歳となる ~ ララお母さんとの2年目はありうるか?

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ポロロ(左)とマルル(右) (2013年11月24日撮影)

昨年の12月8日にララお母さんから誕生したマルルとポロロが満一歳になりました。 早いものです。 今回のこの雌の双子ですがララお母さんが春先から絶好調だったこともあり順調に成育を遂げていますが、9月に起こったマルルの転落事故そしてその前後での飼育展示場の移動という落ち着かない状態で、秋口からのララ親子は何か不完全燃焼であるような印象を私は持ってしまいます。 おもちゃも与えられず公式の誕生会のイベントも開催されないなど、いささか同情すべき状況ではあります。 一つの園で複数のホッキョクグマの繁殖を行うことの難しさを感じてしまいます。

現在行われている「世界の熊館」の観覧規制ですが、仮にキャンディが出産に成功し産室内で育児を行い始めた場合に、現在ララ親子の観覧に関しての特別措置である2時間の観覧規制解除は無くなるのか(つまり春先までの完全閉鎖)、それとも継続されて観覧場所の制限だけになるのかについても明確な見通しが立てにくいように思います。

今回のマルルとポロロの双子姉妹は観察していて実に興味の尽きない姉妹だと思います。 過去に何度か書きましたがララお母さんは男の子よりも女の子を育てる方が得意であるということを再認識させるのに十分だと思われます。 3月下旬からずっと観察してみてわかることは、ララお母さんというのは「母親の権威」を真正面から高々と振りかざすことを可能な限り避けたいと考え、それにためらいを感じているように見えます。 こういう母親というのは息子よりも娘を育てるのに向いているのだと考えてよいように思うわけです。
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マルル(左)とポロロ(右) (2013年11月23日撮影)

このマルルとポロロが来年2~3月に別の動物園に移動するかどうかは予想が付きにくいと思います。 まず移動先を確保するのが困難だろうということです。 仮定の上に仮定を積み上げれば、釧路でミルクとアイラの同居実現、帯広のイコロの上野行き...これが可能になれば帯広のスペースが空きますのでマルルとポロロが帯広に行くということも可能かもしれません。 しかし現実的には難しいでしょう。 キャンディは今回が札幌での最後の繁殖へのチャレンジであると考えれば、それに失敗した場合はキャンディは豊橋に戻り、そして来春はデナリとララとの間の繁殖を目指すということになるでしょう。 この場合はマルルとポロロの移動は不可避ですので、思い切って釧路でミルクとマルルとポロロの3頭同居をやらせる手はあり得ます。 オランダあたりだったらこういうことを思い切ってやるわけです。 しかしこれも現実的には実現しないでしょう。 要するにこういったアイディアの実現には釧路が必ず一枚かんでこないとうまくいかないわけですが、釧路は道内では独自の道を歩んでいるわけで、それが一枚かんでくるということはありえないというわけです。 となれば、マルルとポロロはさらにもう一年ララお母さんのところに留まるという選択肢が浮かび上がってくるしかないでしょう。
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ララお母さん (2013年11月24日撮影)

このララお母さんの「育児2年目」というのはララお母さんにとっても、そしてそれを見守る側の我々にとっても多分初体験のはずで、実は母親にとっての新たなる挑戦の領域であるわけです。 雄の双子の場合の2年目というのは母親にとっての試練の場になる可能性があります。 仮に2年目の雄の双子が共同戦線を張って母親に反抗した場合、「母親の権威」を維持することが難しくなるわけです。 ドイツのニュルンベルク動物園のグレゴールとアレウトの雄の双子の場合などはこういったケースでした。 比較的体の小さなヴェラお母さんでは双子を押さえきれなかったわけです。 雌の双子の場合はその点、そういったことはないと思います。 ララお母さんはどういった姿勢で2年目の娘たちに向き合うかということは興味ある話です。 もし本当にララお母さんの「育児2年目」が実現するとなると極めて興味深い観察の場が生じることになるでしょう。

しかしそもそも来春に予想される日本のホッキョクグマ界の移動については現時点では予想が非常に難しいと思われます。 その理由として北海道だけで抽出すれば、

① 旭川でサツキ (and/or) ルルが出産・育児に成功すれば旭川から他園へ移動させねばならない個体が最低一頭生じてくる。 それがピリカになる可能性は大きいが受け入れ先は札幌以外にはなくなってくるが可能なのか?

② 札幌でのキャンディの出産・育児の成否とキャンディ再残留の可能性との両者の関連が読み切れない。

③ 帯広のイコロとアイラをこのままにしておけるのか?


まるでパズルのような話です。
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マルル(左)とポロロ(右) (2013年11月24日撮影)

ちょっと話が大きくなってしまいました。 いずれにせよ、マルルとポロロが無事に満一歳を迎えたことを喜びたいと思います。 お誕生日おめでとう!
by polarbearmaniac | 2013-12-08 21:00 | Polarbearology

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