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街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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ドイツ・ブレーマーハーフェン臨海動物園の赤ちゃんへの思惑 ~ 赤ちゃんの集客力への評価は可能か?

ドイツ・ブレーマーハーフェン臨海動物園の赤ちゃんへの思惑 ~ 赤ちゃんの集客力への評価は可能か?_a0151913_2182322.jpg
Photo(C)Zoo am Meer Bremerhaven

北ドイツのブレーマーハーフェン臨海動物園 (Zoo am Meer Bremerhaven) で12月16日にヴァレスカお母さんから誕生した赤ちゃんですが、早くも地元ではこの赤ちゃんの公開に伴って同園への来園者数の増加の見通しと地元の有力な観光資源としての期待が交錯しているようです。

現在のところこの赤ちゃんの戸外での一般公開は5月初めが予定されているそうですが、ブレーマーハーフェン市の収入役 (Stadtkämmerer) であるミヒャエル・タイザー氏は、今回の赤ちゃんの公開によって同園の年間入園者数は5万人増加し、その結果として年間収入は20万ユーロ(約2700万円)増えると試算しているそうで、この赤ちゃんを絶好の市の「観光資源」だと考えているようです。 調べてみますとブレーマーハーフェン臨海動物園の2013年の入園者数は約25万5千人ですね。 するとそれが約30万人強となることを意味します。 つまり約20%の入園者増となるという見通しです(ちなみにブレーマーハーフェン市の人口は約11万3千人です)。 同園は毎年ブレーマーハーフェン市より90万ユーロ(約1億2千万円)の補助金を受けているそうですが、キュック園長は市の収入役の入園者増の試算は過大であるとして、この赤ちゃんの存在をアピールすることは控えて静かに見守っていきたいと考えているそうです。 事実、同じドイツでもミュンヘンのヘラブルン動物園と比較すると実にほんの少ししか産室内の映像が公開されていません。



以前にもこのホッキョクグマの赤ちゃんの集客力について投稿したことがありました。 チェコのブルノ動物園(2007年 - トムとビル)で前年比28%増、円山動物園(2009年 - イコロとキロル)で前年比32%増です。 それから、男鹿水族館での数字を調べてみましたら今回のミルクの誕生で前年同時期比の31.6%増ですね。 この円山動物園(2009年 - イコロとキロル)と男鹿水族館(2013年 - ミルク)の増加率の数字は恐ろしいほど近いわけですが、円山動物園の数字は年間の数字でありイコロとキロルがまだ産室内にいた1~3月を含めての数字であるのに対して男鹿水族館の数字はミルク公開後の期間に限定した時期の数字です。 そうなると円山動物園と男鹿水族館の入園者増加率が近いといっても、やはり円山動物園の方がホッキョクグマに関してと考えれば増加率は高かったことを意味しています。 ただし、円山動物園のリピーター数(常連客数)は非常に多く、またその訪問回数も非常に多いということとアクセスが男鹿水族館よりも圧倒的に有利であることを考えれば、男鹿水族館の31.6%増という数字は実質的には円山動物園の増加率よりも多いのだと解釈する方が正しいでしょう。

ただし、このホッキョクグマの赤ちゃんの集客力については他のいろいろな要素を考えることが必要で実は簡単な話ではありません。 たとえば同じ円山動物園(2011年 – アイラ)の時は何と前年よりも落ちているわけです。 ところが円山動物園(2006年 – ピリカ)は25%増です。 ある程度言えることは、今までホッキョクグマの赤ちゃんの誕生していなかった施設に赤ちゃんが誕生した場合とか、前回の誕生から年数がかなり経過している場合などでは相当の集客力になるだろうということです。 ですから、ブレーマーハーフェン臨海動物園の今回の赤ちゃんの場合に市の収入役が試算している20%の入園者増というのは決して過大な数字ではないように思われます。 ミュンヘンのヘラブルン動物園の今回の双子の赤ちゃん、これも相当の集客力があると思われます。 一方で、モスクワ動物園のようなところではホッキョクグマの赤ちゃんの存在が直ちに入園者増にはストレートにはつながらないでしょう。 というのも、本当に羨ましい話ですがあそこではホッキョクグマの赤ちゃんは頻繁に生まれているから珍しいものではないからです。 白浜のアドベンチャーワールドはホッキョクグマの赤ちゃんの存在は他の多くの動物たちやアトラクションの中に埋没していますから集客力にはそれほど関係ないでしょう。

ともかくホッキョクグマの赤ちゃんにかなりの集客力があることは間違いないですが、それがいかほどのものであるかを評価するのは実は難しいということです。 そもそも、前年よりも増加した入園者数が全てホッキョクグマの赤ちゃんの存在の出現が理由であるかどうかという出発点のことすら判断が難しい場合もあるからです。

(資料)
Radio Bremen (Jan.9 2014 - Diskussion über Vermarktung des Eisbären)
Radio Bremen (Jan.7 2014 - Besucherzahl im "Zoo am Meer" gestiegen)
読売新聞 (Jan.7 2014 - ミルク見納め26日 男鹿水族館GAO)
札幌市・円山動物園 (Apr.1 2013 - 平成24年度 円山動物園入園者数について)

(過去関連投稿)
ドイツ・ブレーマーハーフェン臨海動物園でホッキョクグマの赤ちゃん誕生!
ドイツ・ブレーマーハーフェン臨海動物園で誕生の赤ちゃん、順調に生後2週間が経過
by polarbearmaniac | 2014-01-10 02:00 | Polarbearology

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