街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum
by polarbearmaniac
ロシア・サンクトペテルブルク、レニングラード動物園のウスラーダ、繁殖成功ならず? ~ 本命総崩れの年

今シーズン (2013年) の世界のホッキョクグマ界における繁殖について最もその成否を注目されていたロシア・サンクトペテルブルク、レニングラード動物園の26歳になったばかりの女帝ウスラーダですが、なんと一昨日の同園のSNSのページに、「"Доброе утро !" (おはようございます!)」と言ってその姿を現しました(上の写真)。 ということは、今回は繁殖に成功しなかったということを意味することになるでしょうか。 このウスラーダの出産の可能性については昨年の秋に、「ロシア・サンクトペテルブルク、レニングラード動物園のウスラーダの歩む道 ~ 再説: 繁殖可能年齢上限」という投稿をしていますのでそれを是非ご参照下さい。
私はこのウスラーダの動向をいろいろと追っていたわけですが、1月の今の時期まで姿を見せていないということは、出産に成功して産室に留まっているということを意味しているだろうと考えていましたが、こうしてレニングラード動物園が写真を公開したのは、「繁殖は不成功」だったという、関心を持っている人にだけ理解できる隠れたメッセージを送るためだろうと理解すべきでしょうか。 そもそもこの写真そのものが1月に撮影されたものであるかどうかは全く不明です。 特に雪が全く写っていないという点が不可解であり、この写真は最近のものえはないように思います。 ただしかし、よくこういった手法で動物園がホッキョクグマに出産が無かったことをそれとなく知らせるという手法はアメリカの動物園などにはよくあることです。 さらに昨日になってレニングラード動物園は、” Зима в зоопарке (動物園の冬)” という映像をアップしていますが、その冒頭にウスラーダとメンシコフが登場しています。 この映像は確かに雪の中で二頭が同居している姿ですが、これもこの冬に撮影されたものかどうかには確証はありませんが、しかしこれはどうもここ数日に撮られたもののような気はします。 (やはりメンシコフは素晴らしいです。 どっしりとしていてまさに王者の風格です。)
さて、本当にウスラーダが今シーズン(2013年)に繁殖に成功していないとすれば、とうとう「女帝ウスラーダの時代の終焉」を意味することになる可能性は大きいでしょう。 ただし何と言ってもウスラーダは経験豊かでタフな別格のホッキョクグマですから今年の暮れに27歳で出産する可能性はないわけではありません。「女帝ウスラーダの時代の終焉」を宣言するのには、私はまだもう一年だけ様子を見極めたいと思っています。
今シーズン(2013年)は「本命」の大物お母さんが総倒れといった非常に憂慮すべきシーズンになってしまいました。オランダ・ロッテルダム動物園のオリンカが繁殖に成功しなかったのは不本意でした。 カナダ・サンフェリシアン原生動物園のエサクバクも同様です。オランダ・レネンのアウヴェハンス動物園は今シーズン(2013年)は繁殖はお休みのようで、フリーダムがこの2014年の新しいシーズンに繁殖に挑戦となります。となればフギースの挑戦は来年になるでしょう。 つまりこの2頭は、これは3年サイクルから4年サイクルの繁殖となったということになるわけです。 今年2014年はモスクワのシモーナとムルマ、カザンのマレイシュカ、サンクトペテルブルクのウスラーダ、レネンのフリーダム、ロッテルダムのオリンカ、ニュルンベルクのヴェラ、、カナダのエサクバク、こういった世界の大物お母さんたちが繁殖に挑戦する豪華な年になります。 その他にも有望な雌が何頭も存在しています。 ララはどうしましょうか? 挑戦させますか? 早く決めねばなりません。 挑戦するとしますと、モスクワのシモーナと並んで世界の「大本命」の双璧となるでしょう。 私としては、ここで一年休みを入れて母体を休ませてやったやったほうがいいような気もしますが円山動物園の方針もあるでしょうから何とも言えません。 ただし、極力避けたいのはマルルとポロロの移動先が確保できないために、この二頭をララと引き離して円山動物園内の別の場所に移して飼育し、そしてララに繁殖に挑戦させるという案です。 このやり方で過去の欧米の事例で繁殖に成功した例は極めて稀です。 そもそも欧米では、飼育下のホッキョクグマの繁殖ではこういった発想をしないわけです。 ですからマルルとポロロを他園に一緒に移動させてララに繁殖に挑戦させるか、それとも親子3頭同居をさらに一年続けるか、この二つに一つです。
*(追記)数日前にレニングラード動物園を訪問された方の情報によりますと、ウスラーダは昨年12月に出産はしているようです。 確かに担当飼育員さんのSNSのページ は12月の該当期間と思われる時期に何日間も不自然な空白期間が存在しており、出産はその期間中のことだったかもしれません。 ウスラーダが果たしてその赤ちゃんと無事に春になって産室から出てこれるかに注目したいところです。 心配な点があるとすれば、それはウスラーダの母乳がちゃんと出ているかどうかということです。 人間ならばこの点は問題ないのですが、ホッキョクグマの場合はここに高齢出産の抱える一つの大きな関門があるわけです。(Jan.27 2014)
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ロシア・サンクトペテルブルク、レニングラード動物園のウスラーダの歩む道 ~ 再説: 繁殖可能年齢上限
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| 2014-01-25 02:00
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