街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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冬の日の日本海と男鹿水族館、そして別れの迫ったクルミとミルクの母娘 ~ 感傷の存在しない爽やかさ

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真冬とはいえ非常に暖かい土曜日である。
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いよいよ男鹿水族館のクルミとミルクの母娘に別れの時が迫ってきた。 昨年9月にロシアのカザンでマレイシュカお母さんとユムカの別れの迫った日に彼女らに会いに行ったことを思い出した。 母親と娘の別れは何か特別のものを感じるのである。 母親の中には自分と子供たちとの別れの日が迫っていることを敏感に感じ取る母親がいる。 たとえばウスラーダやララがそうである。 しかし子供たちのほうでそれに気が付く個体は皆無と言って良いだろう。明日も明後日も母親は常に身近にいると信じて疑わないのである。
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クルミお母さんと娘のミルクとの関係は私がかつてロシアや欧州で体験した何例もの母子の関係とは非常に異なっている。
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ホッキョクグマの母親の育児のやり方(子供たちへの接し方)は、それぞれが全て異なっており、全く同じ母親というのはいないということが私には自分の体験から良くわかっていた。 だからクルミお母さんの育児も他の母親たちのやり方とは違うだろうという予想はしていた。
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しかし昨年の5月から実際にクルミお母さんのミルクへの接し方を観察すると、その個性的かつ特異なやり方に非常に驚いたのである。 それは私の想像をはるかに超えるものだった。 それは本当に世界に類例のないものだったのである。
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一言でいえば、それは非常に乾いた関係なのである。そこにはinteractive な要素は希薄であったということが言えるのである。 それは、ララとアイラとの関係とは全く性格を異にするものなのである。
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この母娘の別れには感傷というものが存在する余地はないと思われる。
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自由なホッキョクグマであるクルミと、そしてもう一方の自由なホッキョクグマであるミルクとの別れは、そこに惜別の念を抱かせるものはほとんどない。
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「可哀想だ」という感情が湧いてくる要素はほとんど存在しないように思われる。 これは、「情愛型」の母親であるララと彼女の子供たちとの別れとは大きく異なっている。 また、「理性型」のウスラーダとその子供たちとの別れともまた違っているように思える。
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クルミとミルクは互いに別個の存在として自由を謳歌し、そして時が来れば別れていくという関係である。
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クルミお母さんの遊びを見守るミルク

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だから私は今日この母娘を見ていてほとんど感傷的な気分になるということはなかった。
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こういう母娘の存在は私にとっても救いであると感じたのである。
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こうして母娘が一緒に海を見つめることもいよいよ最後になりつつある。 この母娘は多分、この海の景色を全く違った場景として眺めているだろう。
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Nikon D5200
AF-S DX NIKKOR 18-300mm f/3.5-5.6G ED VR
(Jan.25 2014 @秋田県、男鹿水族館)

(過去関連投稿)
*男鹿水族館訪問記
男鹿水族館の赤ちゃん、はじめまして!!
クルミの赤ちゃん(クーシャ - 仮称) の素顔と性格 ~ 一般公開日初日の印象
クルミお母さんの性格と母親像 ~ その 「対象非関与型母性」への評価について
梅雨期の出羽の国、男鹿水族館でクルミ母娘との再会
美しく成長を遂げつつあるミルク ~ その素顔と性格
クルミお母さんの母親像を再度考える ~ 「求心性」、「非求心性」の第三の座標軸から見えてくること
クルミ母娘の夏の日 ~ 大きな展示場へ移動した親子との再会
"La tristesse allante de Milk" ~ クルミとミルクの母娘関係と行動の基本的構図を探る
悪天候、そして夏の終わりの男鹿水族館 ~ 転換点を迎えたクルミとミルクとの母娘関係
驚くべき進化を遂げつつあるミルク ~ "Efforcez-vous d'entrer par la porte étroite..."
過ぎ去らない夏の残る男鹿水族館 ~ クルミとミルクの母娘模様
ミルクの楽しいおもちゃ遊び ~ 超一流の遊びの能力
*ホッキョクグマの母親像
「情愛型」 と 「理性型」、「対象関与型」 と 「対象非関与型」 のそれぞれの母親像の違いを探る
クルミお母さんの母親像を再度考える ~ 「求心性」、「非求心性」の第三の座標軸から見えてくること
by polarbearmaniac | 2014-01-25 23:30 | しろくま紀行

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