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街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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ウクライナのムィコラーイウ動物園にモスクワ動物園のシモーナの三つ子の一頭の雌のジフィルカが到着

ウクライナのムィコラーイウ動物園にモスクワ動物園のシモーナの三つ子の一頭の雌のジフィルカが到着_a0151913_633863.jpg
モスクワ動物園から到着した雌のジフィルカ Photo(C)NikLife

昨年の秋にすでに「モスクワ動物園のシモーナお母さんの三つ子の一頭の雌がウクライナ・ムィコラーイウ動物園に移動へ」という投稿でご紹介していましたが、2011年11月にモスクワ動物園でシモーナお母さんの産んだ三つ子のうちの一頭である雌がウクライナのムィコラーイウ動物園に移動となる件についてでした。 とうとう昨日土曜日にこの2歳4ヶ月になるこの雌の幼年個体がムィコラーイウ動物園に到着したそうです。 名前はすでにモスクワ動物園によって 「ジフィルカ (Зефирка)」 と命名されているようです。 “Зефирка”のе にはアクセントがありませんから、これはи(イ)と発音しますので「ゼフィルカ」ではなく 「ジフィルカ」 となるわけです。 (*レニングラード動物園の帝王であるメンシコフは “Меньшиков” と綴りますが еにアクセントがありますのでこの場合に е は通常ではエ、又はィエと発音するわけで、これは「メンシコフ」と表記し、一方で “Зефирка” は「ゼフィルカ」ではなく「ジフィルカ」と表記するのが正しいわけです。 細かいことですが、最初に表記を正しく定めておきませんといけないわけです。) 
ウクライナのムィコラーイウ動物園にモスクワ動物園のシモーナの三つ子の一頭の雌のジフィルカが到着_a0151913_64554.jpg
Photo(C)NikLife

ムィコラーイウ動物園のトプチェ園長はモスクワ動物園とホッキョクグマの入手について四年越しで膝を屈するような交渉をしてきたそうで、その交渉の過程ではムィコラーイウ市のチャイカ市長も加わりモスクワ市長とも交渉したようです。 カナダ政府ともホッキョクグマの入手について交渉したことがあるそうですが、全く不可能だったそうで、それは当然のことでしょう。 こういったムィコラーイウ動物園のホッキョクグマ入手への必死の交渉の過程でムィコラーイウ市のチャイカ市長は亡くなり、そのことがきっかけでモスクワ動物園の園長であり EARAZA (Euro-Asian Regional Association of Zoos and Aquariums - ユーラシア地域動物園水族館協会) の会長でもあるヴラディーミル・スピツィン氏がこのチャイカ市長の死を非常に悼んだことが契機となり、この雌の幼年個体であるジフィルカをムィコラーイウ動物園に送ることが決まったそうです。
ウクライナのムィコラーイウ動物園にモスクワ動物園のシモーナの三つ子の一頭の雌のジフィルカが到着_a0151913_642941.jpg
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ウクライナのムィコラーイウ動物園にモスクワ動物園のシモーナの三つ子の一頭の雌のジフィルカが到着_a0151913_66514.jpg
Photo(C)NikLife

条件としてはすでに昨年ご紹介しています通り「条件付無償契約」であり、このジフィルカの所有権も将来の繁殖によって誕生した個体の所有権も全てモスクワ動物園が保持するという契約だそうです。 ホッキョクグマ一頭の市場価格は少なくとも15万ドルもするため、ムィコラーイウ動物園のトプチェ園長は今回のジフィルカの来園について、モスクワ動物園との友好の賜物だとその意義を語っています。 このジフィルカがムィコラーイウ動物園に到着した際の映像をご紹介しておきます。



さて、現在ウクライナの動物園は危機的な状態にあるわけで動物たちの飼料の確保さえ資金不足でままならない状況です。 そのような動物園に貴重な雌の幼年個体を移動させるということが果たして正しいことなのかは大いに疑問なのですが、その一方でやはりスラヴ圏における「友情」とか「他者との繋がり」というものには我々からはわかりにくい独特のものがあるわけで、そういったことは飼育環境とか動物園の資金力とかいったようなことを超えて一つの契機をもたらすもののようです。 2012年の春と秋に私がモスクワ動物園でさんざん観察してきた三つ子の一頭の雌、つまりそれは「甘えっ子ちゃん」であるはずの個体ですが、こうしてひとまずはウクライナのムィコラーイウ動物園で飼育されることになったわけです。 私としてはかなり複雑な気持ちです。

ここで私自身が撮ったこのジフィルカのモスクワ動物園での映像をご紹介しておきます。 まずこの下は2012年3月31日の映像で、シモーナお母さんの体の下に入っているのが「甘えっ子ちゃん」、つまりジフィルカに間違いありません。



続いて2012年9月23日の映像で、シモーナお母さん横にいて水に入ったタイヤを上から必死で取り戻そうとしているのが「甘えっ子ちゃん」、つまりジフィルカです。



ムィコラーイウ動物園でのジフィルカの一般公開は火曜日からのようです。

(資料)
NikLife (Mar.29 2014 - Москва передала белого медведя Николаевскому зоопарку в память о мэре Чайке ВИДЕО)
Комсомольская правда в Украине (Mar.29 2014 - В Николаев привезли белого медведя из Москвы)
Сегодня (Киев) (Mar.29 2014 - В Николаевский зоопарк привезли медведицу)
Mukola.net (Mar.29 2014 - Николаевский зоопарк принял Зефирку: теперь у нас будет жить московская гостья)
НикВести - новости николаева (Mar. 29 2014 - В Николаевский зоопарк привезли белую медведицу из Москвы)
Преступности.Нет (Mar.29 2014 - B Hикoлaeвcкий зooпapк пpивeзли бeлyю мeдвeдицy из Mocквы, кoтopaя здecь бyдeт ждaть ceбe пapy из Чexии)
(*追加資料)
Московский Комсомолец (Mar.31 2014 - Украинскому зоопарку подарили московскую медведицу)
Вечерний Николаев (Mar.31 2014 - Из Москвы – с Зефиркой)

(過去関連投稿)
モスクワ動物園のシモーナお母さんの三つ子の一頭の雌がウクライナ・ムィコラーイウ動物園に移動へ
ウクライナ、ムィコラーイウ動物園がホッキョクグマの輸入許可を取得するものの立ちはだかった難題

(*2012年3月、9月 モスクワ動物園訪問記)
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by polarbearmaniac | 2014-03-30 07:00 | Polarbearology

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