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街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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カアチャン、その謎に満ちた出自、そして実年齢の怪 ~ "Ursus Maritimus arcānus"

カアチャン、その謎に満ちた出自、そして実年齢の怪 ~ \"Ursus Maritimus arcānus\"_a0151913_2075582.jpg
カアチャンさん、二年ぶりになりますね。 なかなか来られなくて申し訳ありませんでした!
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食事の時間には肉をかなりもらった。
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体や顔の色艶は二年前よりもむしろ良いようである。 安心した。
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食欲もなかなか旺盛である。 与えられた肉は一つ残さずきれいに食べてしまった。

肉をたいらげるカアチャン

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今日の阿蘇地方は小雨が降っていて肌寒く感じるほどである。
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このカアチャンほどミステリアスなホッキョクグマは日本にはいないだろう。 その出自すら謎に包まれているのである。
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彼女は1985年の12月からこのカドリードミニオンで暮らしているのだが、そもそも何歳の時にここにやってきたのかがわからない。 だから彼女が現時点で実際には何歳なのかも本当のところはわからないのである。
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カアチャンはカナダの野生孤児だったようだが、そうなると通常のケースでは1984年暮れに誕生していることになるはずである。 となれば彼女は現在29歳のはずである。 しかしその確証が全くないのである。 当時の資料も残されていないはずである。 この三枚下の写真にご注目いただきたい。 そこにはこう書いてある。 「ホッキョクグマのカアチャンは、推定34歳以上の日本一高齢のクマの一頭です。」 つまりカドリードミニオンはこのカアチャンの推定年齢を34歳以上と考えているようだ。 何かの確実な根拠(つまりカアチャンがここに来園した際に附属していた書類など)があるのかもしれないが、しかし少なくとも私の眼には彼女が34歳になっているとは到底見えないのである。 私はこのカアチャンは実際は1983年暮れ生まれであり現在30歳だろうと考えているのだが、それもこれといった確固たる根拠はない。 しかしこのカアチャンの「流通過程」には、彼女が1984年生まれではないことを示唆する情報が関連資料にあるのだが (つまりこのカアチャンは実は双子姉妹の一頭ではなかったかという可能性を示す情報が存在している)、それはこのカアチャンそのものに関する一次資料ではないので今は詳しくは述べないでおく。 1984年生まれでなければ1983年生まれ(そして双子姉妹の一頭)が有力だろうと考えるという程度の薄弱な根拠である。 検証には時間が必要である。
カアチャン、その謎に満ちた出自、そして実年齢の怪 ~ \"Ursus Maritimus arcānus\"_a0151913_2084330.jpg
パートナーだったトウチャン死後の2011年1月、このカアチャンの健康状態は正視できるのもではなかった。 生きているホッキョクグマの体が異常に痙攣するのを私は初めて見た。 しかしその後、このカアチャンは私から見れば奇跡としか思えない復活を遂げたのである。
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カアチャン、そして亡きトウチャンの長寿を支え続けたのは、絶えず降り注がれるこの阿蘇水系の温度の低い地下水だったのかもしれない。
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カアチャンの心身の健康維持のために in/outdoor の扉は常に開放されている。 だからカアチャンは実際は室内で寝ている時間が非常に長い。 カドリードミニオンもちゃんとそのことを理由を述べて表示している。 イラストも心温まる。 ありがたいことである。
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こうして心身の健康状態が維持されているためか、カアチャンの表情の視線もまだしっかりしているのである。

カアチャンの表情

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幼年・若年個体のホッキョクグマばかりを追いかけるのが私の本意ではない。 光の当てられないホッキョクグマについても、しっかりと訪問して記録に残しておきたい。 特にロシアの地方都市にはそういった「不遇」なホッキョクグマが何頭もいるのである。 このカアチャン同様、今後はロシアの奥深くに入り込んで、そうしたホッキョクグマの姿をとらえていきたいとも思っている。 それに比べれば、このカアチャンに会いに来ることなどは、いとも簡単なことである。
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今更この施設の環境云々を非難する気にもなれない。 そういったことを書くのが面倒くさいのである。 とにかくカアチャンの長寿を祈りたい。
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今後はここへの訪問回数を増やすことにしたいと思っている。
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すでに昔日のものとなっているべきはずの、我々人間が飼育動物に対して示していた 「人間の飼育動物に対する圧倒的優越性を誇示し満足する行為」 というものを、このカドリードミニオンは依然として先進国にあっても堂々と維持している場所である。
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雨が少しばかり強くなってきた阿蘇地方である。

Nikon D5300
AF-S DX NIKKOR 18-300mm f/3.5-6.3G ED VR
(Jun.21 2014 @熊本県・阿蘇市、 カドリードミニオン)
by polarbearmaniac | 2014-06-21 22:30 | しろくま紀行

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