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街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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ロシア・サンクトペテルブルク、レニングラード動物園のウスラーダの16頭目の赤ちゃん、10月に移動か?

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ウスラーダの16頭目の赤ちゃん 
(2014年5月3日撮影 於 サンクトペテルブルク、レニングラード動物園)

昨年12月6日にロシア・サンクトペテルブルクのレニングラード動物園でウスラーダお母さんから誕生した16頭目の赤ちゃんですが、明日金曜日からその名前の公募開始の発表があるそうで、この赤ちゃんの性別もその時に明らかにされる模様です。 今回はウスラーダお母さんの赤ちゃんに対するガードが相当に厳しくて獣医さんやスタッフが性別判定のために赤ちゃんをウスラーダから一時引き離す作業がなかなか思うようにいかなかったようです。 このレニングラード動物園での赤ちゃんの性別判定作業については4年前に投稿したことがあり、要するに赤ちゃんが戸外に出てウスラーダお母さんがまだ室内にいるタイミングを見計らって扉を閉めて引き離してしまうという、ごく古典的で簡単な手法でなされるわけですが、今回はウスラーダお母さんがなかなかそういう隙を見せなかったということなのでしょう。
ロシア・サンクトペテルブルク、レニングラード動物園のウスラーダの16頭目の赤ちゃん、10月に移動か?_a0151913_3271950.jpg
ウスラーダ親子 
(2014年5月3日撮影 於 サンクトペテルブルク、レニングラード動物園)

さて、実は地元サンクトペテルブルクの一つの報道がレニングラード動物園からの情報として、この赤ちゃんがウスラーダお母さんのもとに一緒にいられるのは9月までで、その後はロシア国内の他の動物園に移動する予定だと報じています。 どの動物園に移動するかはこの赤ちゃんの性別によって決まるとも報じられています。 しかし、仮にこの赤ちゃんが考えられているように雌だったとしても同年代でパートナーを組める幼年・若年個体はロシア国内ではほとんどありません。 強いて言えばペンザ動物園の野生出身の3歳の雄のベルィ ですが、ペンザ動物園はホッキョクグマの新飼育展示場を建設しようとしているものの諸事情でそれがうまく進行していない状況です。 そしてベルィの他にもう一頭ホッキョクグマを飼育するスペースの確保は難しいでしょう。 しかし何と言ってもベルィは野生出身ですから血統的な面で言えばメリットは極めて大きいと考えられます。 仮にこの赤ちゃんが雄だったとして、これもまた相当に難しいですね。 同年代の雌としてはロストフ動物園の一歳半のコメタがいますが、このコメタの祖母は他ならぬウスラーダというわけですから問題です。 かなり以前の投稿で、モスクワ動物園 (すなわちEARAZA と言い換えてもよいでしょう) では人間で言えば五親等離れればペアとして許容可能と考えているらしいことを述べましたが (*追記 - これをララファミリーに当てはめますと、ツヨシの孫とピリカの子供ならばペアとして許容可能であるということになります。 ただしこの場合、ツヨシのパートナー、ピリカのパートナー、ツヨシの子供のパートナー、これらが別の同一血族の個体ではないということが条件になってきますが)、そうなるとそれに合致するのは唯一エストニア・タリン動物園のノラ(五親等)ですが、エストニアはロシアとは別の国ですので対象外でしょう。 私はこの今回のウスラーダの16頭目の赤ちゃんは80~90% の確率で雌ではないかと考えていますので、そうなるとこの今回の赤ちゃんのパートナーは、やはりペンザ動物園のベルィが本命となるのかなと考えるしかありません。 いずれにせよ、明日の金曜日に性別が発表されるだろうと思います。
ロシア・サンクトペテルブルク、レニングラード動物園のウスラーダの16頭目の赤ちゃん、10月に移動か?_a0151913_2425924.jpg
ウスラーダ親子 
(2014年5月3日撮影 於 サンクトペテルブルク、レニングラード動物園)

さて、いつも思うのですがホッキョクグマに関してロシアの動物園は子供を親と引き離す時期がいつも非常に早いのが気になります。 これについては是非、以前の投稿である 「『ホッキョクグマ飼育マニュアル(Care Manual)』 よりの考察(11) ~ 母子をいつ引き離すか」 をご参照いただきたいのですが、ロシアの動物園は伝統的に二年サイクルでの繁殖を維持しているわけで、この点では札幌・円山動物園も同じです。 近年 (約25~30年ほど前から)、欧州と北米の動物園が三年サイクルでの繁殖を採用することになったのは自然下における繁殖での離乳期 (Weaning) の概念を飼育下にも導入することが動物福祉 (Animal Welfare) の点で望ましいと考えてのことであり、それはまさに動物学の知識を根拠とした合理性を背景としています。 ところがロシアのような国では伝統的に幼年個体を基本的には国外に売却することがなされ続けてきたわけで、それが二年サイクルの繁殖は当たり前のことだという考え方を維持させている理由でしょう。 ともかくこのウスラーダの16頭目の赤ちゃんがウスラーダお母さんと一緒に9月までしかサンクトペテルブルクにいないというレニングラード動物園の見通しを伝える報道の内容が正しいとすれば、私も尻に火がついてきたように感じます。 9月までにあと何回レニングラード動物園に行けるか、これが勝負ですね。 なんだか忙しい年になってしまいそうです。

(資料)
Общественный контроль (Jun.26 2014 - Петербуржцы сами придумают имя белому медвежонку)
Новости Петербурга News SPB (Jun.26 2014 - Ленинградский зоопарк предложит выбрать имя для белого медвежонка)
Интервью Агентство (Jun.26 2014 - Ленинградский зоопарк объявит конкурс на имя белого медвежонка)

(過去関連投稿)
女帝ウスラーダとシモーナ、コーラ、リアの三頭の娘たち ~ 偉大な母親たちの三代の系譜
ロシア・サンクトペテルブルク、レニングラード動物園のウスラーダの歩む道 ~ 再説: 繁殖可能年齢上限
ロシア・サンクトペテルブルク、レニングラード動物園で26歳の女帝ウスラーダが16頭目の赤ちゃんを出産!
ロシア・サンクトペテルブルク、レニングラード動物園のウスラーダの赤ちゃんの産室内映像が公開される
ロシア・サンクトペテルブルクのレニングラード動物園がウスラーダの赤ちゃんの産室内映像を一挙に公開
ロシア・サンクトペテルブルク、レニングラード動物園の女帝ウスラーダの15頭の子供たちの姿
ロシア・サンクトペテルブルク、レニングラード動物園のウスラーダの16頭目の赤ちゃんが遂に戸外へ!
グランド・ホテル・ヨーロッパからレニングラード動物園へ ~ ウスラーダの一家との再会
帝王メンシコフ、その偉大さへの限りなき称賛
ウスラーダの16頭目の赤ちゃんの行動が示すその性別の予想
ウスラーダの母性とは何か? ~ 魅せられる芯の強さと筋の一本通った強靭なる母親の姿
ロシア・サンクトペテルブルクに記録的な暑さ到来 ~ 果物を楽しむホッキョクグマたち
ロシア・サンクトペテルブルク、レニングラード動物園のウスラーダ親子の関係に深く切り込んだ映像
「ホッキョクグマ飼育マニュアル(Care Manual)」よりの考察(11) ~ 母子をいつ引き離すか
by polarbearmaniac | 2014-06-26 18:00 | Polarbearology

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