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街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


by polarbearmaniac

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ララお母さんとオクタヴィアン(仮称)の静かな土曜日 ~ 時間は美しく止まっているのか?

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一週間ぶりにまた札幌にやってきた。 この親子がいったいどのような姿を見せてくれるのか興味があるからだ。
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しかし今回のオクタヴィアンは私にとっては謎であり続けている。 実に奇妙な赤ちゃんである。
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まず、その行動範囲は非常に狭い。 一週間前と全く変わらない。 そして母親であるララとのこうしたやりとりも一週間前と全く同じである。
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ララお母さんの対応も格別の変化は見えないのである。


何事にも寛容の二文字のララお母さん

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こういうオクタヴィアンの行動は母親と一緒に別の場所で遊びたいという行動ではないように思う。 単に甘えているだけだという解釈のほうが説明がつきやすい。 母親を遊びに誘っても相手にしてくれない場合には、赤ちゃんは自分だけでも遊びだす場合が非常に多い。 ところがこのオクタヴィアンは延々とこうした母親であるララにからんでいる。つまり、こういうことだけでオクタヴィアンはかなりの部分、満足しているのだと言わざるを得ない。
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そして、母親であるララもこうした態度のオクタヴィアンを拒否したり追い払うという行動は全くとらないのである。 こういった対応の仕方はさすがにララの母親としての優れた感覚が存分に発揮されている。並みの母親ならばこういった状況で長い時間にわたっては対応できない。 ララだからこそ、こういったシーンは延々と続くのである。 
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私はこういったシーンは微笑ましいと思うと同時に、いささか不思議な印象も受けるのである。
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このオクタヴィアン、そろそろ母親から距離をとって自分の行動を始めてもよさそうなものである。 ところが、一般公開の日からこのオクタヴィアンにはそうした傾向はほとんど見られない。 単に母親にくっついているだけなのだ。 母親であるララも、オクタヴィアンを突き離すということはやらないのである。
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オクタヴィアンはこうしていることだけで満足しているようである。 そして、この優れた母親であるララも、これでよいのだと考えているらしいようである。 ララがそう考えているのならば私があれこれ言うことは無用だろう。

ララお母さんの授乳

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ララお母さんの体調があまり良くないのではないかという見方がないわけではないと思う、 だからあまり動きたくないのだという見方はありえるかもしれない。 なるほど、あの前回のマルルとポロロを連れて登場してきたときのような絶好調ではないかもしれない。 
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私の見た範囲内では今回の頻繁なララの授乳は、全てララが飼育展示場の端の壁の決まった場所に寄りかかって姿勢的に楽な形で行われている。 今までのララであれば、飼育展示場の中心に近い場所で何にも寄りかからずに授乳していたのだが、今回は違うように思うのである。 体力的に自分をかばっているのだとも考えられなくもない。 たとえば、以下の映像のようにして授乳するララは以前には、そう回数が多くなかったように思うのだ。

楽な姿勢で授乳のララお母さん

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ただしかし私の見たところ、ララの母親としての求心力や壕に降りたオクタヴィアンを Chuffing で警告する鋭敏なシーンなどを見ると今回のララの母親としての育児姿勢には前回のマルルとポロロの時以上の凄味さえ感じさせるるのである。
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こういった点においてララはバフィンなどは寄せ付けないほどの母親としての高みに存在していることは間違いない。
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さらに母親としての今回のララには、自分が熟練の母親だからといって何かを省略したりする姿勢は見えないのである。
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こういったことから考えて、ララの健康に特別の問題があるようには思えないのである。 体が痩せてくるといった外見上の問題も見られない。 だから今回のこの親子の動きが少ないことの理由をララの健康に問題があるからだという理解はしにくいと考えられる。
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要するにこのオクタヴィアンが今までのララの子供たちとはかなり異質な赤ちゃんであるということに私は真実があると考える。
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ホッキョクグマの赤ちゃんは日に日に成長していく。 そしてそれによって「可愛さ」が失われていくという考え方はある。 ただしあのアイラが非常に可愛らしくなったのはもっと時間が経ってからである。 このオクタヴィアンも日に日に成長していることは間違いない。
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ただし、何か時間が止まってしまったような印象を受ける今回のララ親子なのである。
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「美しく止まった時間」 は素晴らしい。 今回のララ親子の時間が果たして美しく止まっているのだろうか? " Verweile doch, du bist so schoen ! " と言えるかどうか?
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今回のララ親子の姿は実に奇妙に私の眼には映る。 屈指の育児技量を持つ母親が随所にそれを発揮しているものの、なにか時間が停滞して前に進んでいかないように見える。 その原因はオクタヴィアンにあると単純に考えてよいのだろうか? 現時点ではそう言わざるをえない。 オクタヴィアンにはもっと覇気が欲しいのである。

リラックスしたララ親子

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今日最後の授乳のあと一日の終わりに室内に戻るララ親子
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Nikon D5300
シグマ APO 50-500mm f/4.5-6.3 DG OS HSM
(Apr.11 2015 @札幌・円山動物園)

(*注 - オクタヴィアンというのは勿論、この赤ちゃんの正式な名前が決まるまで私が便宜上、勝手につけた仮称である。)
by polarbearmaniac | 2015-04-11 23:45 | しろくま紀行

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