曇天の日曜日の女神デア ～ 自由の謳歌から、イコロと共にさらなる次のステージへ移行できるか？

デアさん、こんにちは！　このたびはおめでとうございます。
どうせイコロには会えないことはわかってはいるが、なんとなく気になって上野動物園に来てみた。
デアは相変わらずの様子である。　四つの結び合わされたポリタンクと格闘中である。
なんだか持て余し気味である。
振り回してみるのだが、変わったことは起きない。
イコロの気配を感じて普段とは異なる様子を見せるかと思ったが、そういったことはほとんど感じず、いつもの通りデアである。　しかしイコロが到着してから、もうかれこれ一週間近くなるので、もうそれほど気にならなくなったのかもしれない。

デアの午後の一コマ

飼育員さんによるとイコロは非常に元気だそうである。　いつからお披露目となるかは現時点では未定だそうだが、イコロを環境に慣らすために、お披露目の前にこの土のある展示場に何回か短時間出してみる予定だそうである。　平日に運が良ければそういった瞬間にイコロの姿を見ることができるかもしれない。
眼が輝いてきたデア。
飼育員さんが現れておやつの時間となる。
この若い飼育員さんはいつも手首に捻りを加えて食べ物を投げるのだが、それにうまく反応するのがデアなのだ。　飼育員さんとデアの呼吸はピッタリである。
単におやつの時間というよりも、一種のトレーニングのような感じである。
デアの体調が少しでも悪ければすぐにわかるということだろう。
中におやつの入っているポリタンクをもらったが、デアはララファミリーの子供たちほどはうまく中身を取り出せないようである。　でも以前と比べるとかなり上達している。

おやつを取り出すデア

イコロがお披露目になってもすぐにデアと同居ということはないだろう。　多分今年の晩秋頃からではないだろうか。　このあたりのことは私には明確な予想はできない。
上野動物園は、まずはイコロをじっくりと環境に慣らそうという姿勢のようで、このデアとイコロの拙速な同居の開始は行わないようなニュアンスのお話だった。　しかしまあこういったことは状況次第であり、意外に早く同居が試みられる可能性もあるかもしれない。そのあたりはイコロの様子を見ながらということなのだろう。　ともかく上野動物園は「慌てない、急がない」という基本的姿勢であるようだ。
とにかく上野動物園はなかなか腰の据わった姿勢で臨んでることが感じられる。　北海道のファンの方々はイコロに関しては安心してよいのではないだろうか。　「ホッキョクグマを繁殖させたい」という上野動物園の意欲と姿勢は本物であると感じた。　だからこそイコロに無理をさせないで、まずは環境にしっかりと慣れてもらうことが重要だということらしい。
さて、このデアなのだが、いつも感じることは彼女は「ロシア臭」を全く感じさせないホッキョクグマだということである。　とにかく彼女は垢抜けしていて洗練されているのである。　あのノヴォシビルスク動物園のシルカを思い出してみると、やはりシルカはロシアのホッキョクグマである。　このデアは全く違う。　このデアのようなタイプのホッキョクグマは日本では他にはいないと思うし世界でも稀だろう。
ただし少し気になることもあるのだ。　このデアは少し青春を謳歌し過ぎたような感じがあるように思うのである。イコロがもう2～3年早くこの上野動物園に来ていればデアのそういった行動の抑制になったかもしれない。　
デアは自由と楽しさを一番求めるホッキョクグマのような気がする。 しかし雄との同居、そしてそれ以降の繁殖への道のりは、ある意味では自由の束縛を意味することになる。そういった自由の束縛に対して果たしてこのデアはうまく対応できるのかという感じもしてくるのである。 こういった若干の懸念はあのアイラにも言えるかもしれない。
ただしこのデアの姉であるジョヴァンナは一時的に預けられたベルリン動物園でクヌートの遊び友達になって大いに青春を謳歌したがミュンヘンのヘラブルン動物園に戻ってからは見事に繁殖に成功している。　そういったことには雄のリードも欠かせないのである。
長い間の懸案であったデアのパートナー問題はイコロの上野来園によって解決したのである。　後は次のステップに進むわけである。　上野動物園からは目が離せなくなったと言える。
Nikon D5300
AF-S DX NIKKOR 18-300mm f/3.5-6.3G ED VR
（Apr.19 2015 @恩賜上野動物園）