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街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


by polarbearmaniac

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バフィン、その「理性型」の母親のスタイルを受け入れた大阪の土壌

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現在24歳のバフィンである。
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彼女にとって最初で、そして最後になるであろう今回の彼女の育児は光っている。
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このバフィンは。私なりのホッキョクグマの母親のスタイル分類で言えば札幌のララの「情愛型」の母親のスタイルとは違い「理性型」の母親である。彼女にとって今回の育児は、その3月よりのモモとの戸外登場より一貫している。このバフィンは自分の子供であるモモを常に自分の外側に置いておき、そのモモとの距離を縮めたり広げたりすることによって母親としての役割を果たしているわけである。これが「理性型」の母親の一つの特徴である。こういった「理性型」の母親は世界を見渡してみて典型的なのはレニングラード動物園のウスラーダとアウヴェハンス動物園のフギースである。一方でモスクワのシモーナや札幌のララのような「情愛型」の母親は、自分の子供を自らの内側に置く傾向が強い。だからバフィンのような「理性型」の母親とは違い、子供たちとの距離は一定しており、そしてかなり近いということになる。

くつろいだ表情のバフィン

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このバフィンは自分にとって最初で最後になるであろうモモの育児に関してエネルギーを無駄にすることなく完全燃焼している。
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このバフィンがいつまでこの天王寺動物園にいるかは正直のところ予想が難しい。通常で考えればあと一年はモモと共にここで暮らすだろうと考えられるのだが、問題はバフィン親子とシルカの交代展示がいつまでスムーズに行くかが隠れた問題点として存在している。さらに加えて、ゴーゴが白浜から大阪に帰還せず第三の場所にBLで移動する可能性があったとすればバフィン親子の大阪滞在はもっと長くなる可能性もある。しかしゴーゴが白浜から第三の場所に行くと言っても、繁殖適齢期の雌が一頭で飼育されている動物園はなく、そしてスペースに余裕のある動物園もないのである。何か混沌とした状態になってしまっている。
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こういった状況から考えると私にはバフィンに孤独の影といったものを感じずにはいられない。ゴーゴやシルカといった関西の大スターの間にはさまれて、その自らの存在の先行きが不透明な状態に陥っているバフィンに深く同情したくなる。
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このバフィンはそもそも大阪ではなく当初は札幌に行くはずだったが血統登録情報上でのデナリとの親族関係が問題視されて札幌ではなく大阪にやってきたわけである。しかし仮にこのバフィンが札幌に行っていたとすれば札幌のファンに愛される存在とはならなかっただろう。そしてデナリとの間で仮に繁殖に成功しても、ララとの育児スタイルの違いなどによって札幌ではあまり評価されないだろうと思う。札幌のファンというのは「理性型」の母親は受け入れないだろうと思う。たとえそれがウスラーダのような偉大なホッキョクグマが札幌に突然現れて育児を行ったとしても全く人気が無いだろうと思う。それほどまでにあのララというホッキョクグマの存在は巨大なのである。ララのような「情愛型」の母親の持つインパクトは強烈なのである。バフィンは大阪に来たからこそ、23歳という年齢でモモの育児が可能だったのだと思われる。大阪という土地柄は「理性型」の母親を難なく受け入れる土壌があるように思われる。それは親密ながらも、ある種の乾いていてさらりとした関係の親子に対してである。
バフィン、その「理性型」の母親のスタイルを受け入れた大阪の土壌_a0151913_3244316.jpg
ともあれ、モモは順調に満一歳を迎えたことの功績は全てこのバフィンにあるのである。

今日のバフィンのポートレート

バフィン、その「理性型」の母親のスタイルを受け入れた大阪の土壌_a0151913_3303557.jpg
バフィンに大いなる感謝の意を捧げたい。

Nikon D5500
AF-S DX NIKKOR 18-300mm f/3.5-6.3G ED VR
SONY HDR-PJ800
(Dec.19 2015 @大阪・天王寺動物園)

(過去関連投稿)
「情愛型」 と 「理性型」、「対象関与型」 と 「対象非関与型」 のそれぞれの母親像の違いを探る
クルミお母さんの母親像を再度考える ~ 「求心性」、「非求心性」の第三の座標軸から見えてくること
クルミ、その特異なる母性へのオマージュ ~ 「母親」 たることを拒絶した、その逆説的母親像への敬意
バフィン、その「理性型」母親像が見せる「非理性型」としての側面 ~ 未完のドラマの始まり
by polarbearmaniac | 2015-12-19 23:50 | しろくま紀行

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