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街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


by polarbearmaniac

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シルカ(Шилка)、その魅力を引き出すもの ~ エンリッチメントの属人化を憂う

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さて、このシルカ(Белая медведица Шилка)に関して今日は良く理解できないことにいくつか遭遇した。
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まず、彼女が登場した時には左後脚を引きずっていた。
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さらに両脚にはまるで血液ではないかと推測されるものがかなり付着している。
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室内でモモを挑発して壁とか扉とかを強く何度も叩きつけたために出血したのだという話も聞いたが私には真偽はわからなかった。そもそもこれが本当に血なのかについても100%の断言は無理ではあるが。
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こういったシルカを見ている私もあまり気分が良くない。
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登場してしばらくはシルカは全く精彩がない。登場して早い時間にこんな場所でこの格好で休むシルカというのは私は初めて見た。

調子が良くなさそうに休むシルカ

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しかし、やがていつものように水に入ると元気を取り戻したような感じもした。
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このおもちゃというものは、ラグビーでの「魔法の水」ともいうべきものらしい。
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おまけに、水に入ると血(らしきもの)は全て洗い流されてしまう。
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これで「何事もなかった」ということになってしまうわけである。要するに、これで血(らしきもの)の件は忘れてよいということなのだろうか。

シルカの水遊び

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今日はいつもの担当の方がお休みだそうである。だからおもちゃを投げ入れてもらうということができないようである。
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ということは、あれだけ見事に行われているシルカへのエンリッチメントは担当の方の個人的な才覚によって行われているだけであって、園という組織としてのものではないということなのだろうか? 非常に腑に落ちない話である。
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やがてシルカはバックステップの常同行動を行い始め、そしてそれを止める気配がない。この常同行動を止めさせようというのがあのエンリッチメントの目的の一つだったはずである。担当の方がお休みならばそのエンリッチメントへの試みが行われないというのは非常におかしな話である。
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かつて北海道の某動物園で某人気個体の担当だった方がいた。その方はあのレオマのクーニャがひどい飼育環境の中で亡くなった時に平然とこう言われたのである、「クーニャはレオマで良く世話をしてもらっていた。」と。 私は唖然とした。 たしかにあそこには手弁当で献身的に働いていた方がいたらしく、クーニャの面倒も時々みていたらしい。それは私も知っていた。しかしそれはあくまで個人レベルでの話なのである。そういった手弁当で働いていた方がいたからといってクーニャはよく面倒を見てもらっていたなどとは言えないのである。問題は組織としてちゃんとクーニャの面倒を見てやっていたかどうかということである。動物園で動物の飼育はあくまでも組織として行っているのであって、個人が行っているわけではないのである。
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天王寺動物園が先日受賞したホッキョクグマその他に関するエンリッチメント大賞というのは組織としての受賞であり、そして組織の名前での受賞だったはずである。それには担当の方の才覚が大いに寄与したはずである。何故そういった担当の方の素晴らしい取り組みを組織として行うようにしていないのか、全く不思議である。何故担当の方が休みだったらこうしてシルカがおもちゃも与えられずに、あたかもまるで放置されたような状態になってしまっているのかが私にはよくわからない。組織としてエンリッチメントの方法を採用しているならば担当の方だろうが代番の方だろうが、それを行うのが筋というのものである。エンリッチメントを、担当の方だけが行う方法であるという、いわゆるエンリッチメントの属人化はおかしいのではないだろうか?
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このシルカというのは実に素晴らしい幼年個体である。しかしそうした彼女の魅力も、担当の方の大きな努力によって初めて我々の眼の前に開示されているのだということがよくわかる。 つまりホッキョクグマの幼年個体が母親と離された後にも輝きと魅力を放つためには担当の方の努力が不可欠なのだということである。天王寺動物園はシルカの魅力を我々に開示することに成功した。ただし、それは担当の方が勤務していらっしゃる日だけのようである。
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この大阪にも札幌とはまた別の問題が存在しているようにも感じられなくはない。

Nikon D5500
AF-S DX NIKKOR 18-300mm f/3.5-6.3G ED VR
SONY HDR-PJ800
(Dec.19 2015 @大阪・天王寺動物園)
by polarbearmaniac | 2015-12-19 23:55 | しろくま紀行

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