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街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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ロシア・イジェフスク動物園の双子の赤ちゃんが戸外へ ~ ドゥムカお母さんが病気で人工哺育となる

ロシア・イジェフスク動物園の双子の赤ちゃんが戸外へ ~ ドゥムカお母さんが病気で人工哺育となる_a0151913_4441861.jpg
産室内で病気になってしまったドゥムカお母さん
(Белая медведица Думка / Dumka the polar bear)

(2014年9月18日撮影 於 イジェフスク動物園)

昨年11月にロシア連邦ウドムルト共和国のイジェフスク動物園(現在では公式にはウドムルト動物園 - Зоопарк Удмуртии)でドゥムカお母さんから誕生した双子の赤ちゃんですが、大変に困ったことになってしまいました。それは、現在11歳で野生出身のこのドゥムカお母さんが産室内で病気になってしまったために急遽人工哺育に切り替えられたそうです。
ロシア・イジェフスク動物園の双子の赤ちゃんが戸外へ ~ ドゥムカお母さんが病気で人工哺育となる_a0151913_512482.jpg
ロシア・イジェフスク動物園の双子の赤ちゃんが戸外へ ~ ドゥムカお母さんが病気で人工哺育となる_a0151913_515082.jpg
Photo(C)Зоопарк Удмуртии

ホッキョクグマの母親が産室内で病気になったときは本当に大変です。まず授乳ができなくなるわけです。これでは赤ちゃんたちの生命に致命的な打撃を与えてしまうわけです。このドゥムカお母さんの病気が具体的にどのようなものなのかは明らかにされていません。そういったことで二ヶ月前からこの双子の赤ちゃんたちは人工哺育となり、そして昨日2月24日に飼育員さんとともに戸外に初登場したそうです。その映像を見ていただきましょう。園長さんは少し冴えない顔でインタビューに答えていますが、人工哺育のためのミルクの調整に非常に骨が折れたそうです。イジェフスク動物園ではホッキョクグマの人工哺育は初体験だったということです。音声はonにして下さい。







この双子の赤ちゃんたちの性別は両方ともに雄(オス)だそうです。名前の公募を始めるようです。この赤ちゃんたちにとって不幸中の幸いは、彼らが一頭ではなく二頭一緒であり、そして性別が雄(オス)であるという点です。人工哺育されたホッキョクグマでも雄(オス)というのは将来の繁殖にはほとんど影響はないわけです。有名な例ではチェコ・ブルノ動物園のウムカですが彼はカザフスタンのアルマトイ動物園で人工哺育されたもののブルノ動物園では現在産室内の赤ちゃんも含めすでに五頭の父親となっています。それから今回のドゥムカお母さんの例とはやや異なりますが産室内で母乳が出なくなってしまった母親の例としてはペルミ動物園のあの偉大なるアンデルマが挙げられます。アンデルマは白浜のゴーゴの出産の一つ前の出産であるアイリシャ(現 チェリャビンスク動物園)を産室内で育児中に急に母乳が出なくなりアイリシャは急遽、人工哺育に切り替えられたわけです。幸いなことに次のゴーゴの出産の時にはちゃんと母乳が出たそうでペルミ動物園のスタッフは胸をなで下ろしたそうです。

ドゥムカお母さんがいったいどのような病気なのかが公表されていませんが、かなり心配です。単に母乳が出なくなってしまっただけかもしれませんが、私の感じでは前回の投稿でしっかりと授乳していた姿をご紹介していますので、やはり単に母乳が出なくなったという単純なことではなく、やはり病気なのだと思います。一つのマスコミは「育児放棄」だと報じていますが、それは多分違うでしょう。こういったことはイジェフスク動物園というのは情報を隠匿する傾向が非常に強いわけです。それも気になるところです。何故かと言えば今年の1月下旬にコムソモリスカヤ・プラウダ紙が同園の広報部門に取材したときには親子共に産室内で元気であるという回答が同園からあったわけです。実はこの時にはもう人工哺育に切り替えられていたはずだからです。ですから同園のこの時の回答は事実ではなかったことになります。

それから、この赤ちゃんたちはもうドゥムカお母さんと再び同居させることはしないそうで、別飼育となると同園は語っています。まあそれはしょうがないでしょうね。それから、この赤ちゃんたちの権利は全てモスクワ動物園にあると語っていますが、それはその通りです。このことは以前にもご紹介していました。結局この双子はモスクワ動物園によってロシア国外に売却されることになる可能性が高いでしょう。

ちなみにこの下の映像は2014年9月に私がイジェフスク動物園で撮影したドゥムカお母さんが最初の子供である雄のニッサン(現 イギリス・ヨークシャー野生動物公園)に対する授乳のシーンです。

Dumka the polar bear nurses Nissan, her male cub, at Izhevsk Zoo, Russia (Sep.18 2014)

(資料)
Зоопарк Удмуртии (Последние новости/Feb.24 2016 - Давайте познакомимся!)
Моя Удмуртия (Feb.24 2016 - В Зоопарке посетителям впервые показали белых медвежат)

(過去関連投稿)
ロシア連邦ウドムルト共和国のイジェフスク動物園でホッキョクグマの双子の赤ちゃん誕生!
ロシア連邦・ウドムルト共和国、イジェフスク動物園で誕生の双子の赤ちゃんは順調に成育

(*2014年9月 イジェフスク動物園訪問記)
イジェフスク動物園へ ~ ドゥムカ親子と野生孤児バルーとの対面
ニッサン君の素顔とその性格 ~ 開園5年でホッキョクグマの繁殖に成功したイジェフスク動物園
ドゥムカお母さんの素顔とその性格 ~ 「母親の権威」を無用と考える極めて豪放かつ鷹揚な母親像
野生孤児バルーの素顔 ~ 野生個体の不幸の上に成り立つ動物園という悲しき真実
イジェフスク動物園二日目 ~ ドゥムカお母さん、ニッサン君、バルー君、お元気で! (投稿準備中)
by polarbearmaniac | 2016-02-25 03:30 | Polarbearology

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