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街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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カザフスタン・アルマトイ動物園がアリコルのパートナー探しを開始 ~ 旧ソ連圏の事情の背景を読む

カザフスタン・アルマトイ動物園がアリコルのパートナー探しを開始 ~ 旧ソ連圏の事情の背景を読む_a0151913_22543861.jpg
アリコル (Белый медведь Алькор) Photo(C)Total.kz

旧ソ連の中央アジア・カザフスタンのアルマトイ動物園で飼育されている現在は26歳になっている雄のホッキョクグマであるアリコルについては、ホッキョクグマに関する非常に情報の少ない地域であるカザフスタンの報道などを細かくチェックして可能な限りご紹介してきたつもりです。さて、このアリコルに関して、いささか背後の真意を勘ぐってみたくなる報道がなされていますので内容をご紹介しておきます。
カザフスタン・アルマトイ動物園がアリコルのパートナー探しを開始 ~ 旧ソ連圏の事情の背景を読む_a0151913_23123389.jpg
発言しているのは「アルマトイ動物園支援基金(Социальный фонд помощи алматинскому зоопарку)」の理事長であるバタロフ氏なのですが、その趣旨は「このアリコルはまだまだ繁殖可能な年齢なのでパートナーが必要であり、その雌を導入するためには『国際基準』を満たすホッキョクグマ飼育展示場が必要であり、プールの水の冷却装置はもちろんのこと、まず広い場所が必要である。現在は財務面と建設に関するプラン作成に取り組んであり、間もなくその新施設建設の日程を明らかにすることができるだろう。」という内容です。アルマトイ動物園はこのアリコルのパートナー探しを開始することも明らかにしています。

さて、このアリコルは繁殖能力が証明されており、彼の息子であるチェコ・ブルノ動物園のウムカはあのコーラのパートナーとなっており、コーラとの間ですでに5頭の子供たちがいるわけです。アリコルのパートナーだったクリスティーナ(上野動物園の故レイコの妹)は2009年に亡くなっており、それ以来アリコルは一頭で飼育されてきたわけです。今頃になってアリコルのパートナー探しをしようというのは、いささかおかしな話です。以前に「デンマークのオールボー動物園が雌のメーリクとヴィクトリアのパートナー候補の雄を世界中に求めて調査中 」という投稿を行い、デンマークのオールボー動物園がEAZAのコーディネーターの力を全く借りずに当時同園で飼育されていた二頭の雌であるメーリクとヴィクトリアのパートナー探しを行った際に白羽の矢が立ったのがこのアルマトイ動物園のアリコルだったわけでした。当時アルマトイ動物園はオールボー動物園に積極的な返事をしなかったわけで、この話は流れてしまったという経緯がありました。
カザフスタン・アルマトイ動物園がアリコルのパートナー探しを開始 ~ 旧ソ連圏の事情の背景を読む_a0151913_2304860.jpg
アリコル Photo(C)Total.kz

今回このアリコルのパートナー探し問題が出てきた背景には私は欧州もしくは旧ソ連圏のどこかの動物園がアリコルを欲しいと言ってきている事実があるのだろうと推測します。つまり、アルマトイ動物園のホッキョクグマ飼育展示場はあまりに環境が貧弱であり、そういった場所でアリコルを飼育し続けることは「動物福祉(Animal welfare)」上も好ましくないといったことをアルマトイ動物園が言われているのではないかということです。ここでアルマトイ動物園での先日の「国際ホッキョクグマの日」のアリコルの映像でご紹介していなかったものを下でご覧いただきたく思います。



推測の上に推測を積み上げれば、このアリコルを欲しいと言ってきているのはモスクワ動物園だろうと考えるわけです。モスクワ動物園はこのアリコルをパートナーのいなくなったムルマの新しいパートナーにしようと考えていて全くおかしくないわけです。ムルマは現在はウランゲリを暫定的にパートナーとしていますが、ムルマとウランゲリは私が現地で見た限りでも相性が良くないように感じましたし、モスクワ動物園もそう述べています。そうするとこのアリコルは年齢的にもムルマにぴったりですし、アリコルは繁殖能力が完全に証明されているわけです。アルマトイ動物園は前回のオールボー動物園の申し入れには冷ややかでいられたものの、モスクワ動物園からの申し入れには対応に苦慮するあろうことは目に見えており、そのためにこうして今頃になって「新飼育展示場」建設計画を盾にとってアリコルを自園で飼育し続ようと必死の構えであるように私には思えます。
カザフスタン・アルマトイ動物園がアリコルのパートナー探しを開始 ~ 旧ソ連圏の事情の背景を読む_a0151913_2322859.jpg
アリコル Photo(C)Total.kz

ロシアを中心としたスラヴ圏、そして旧ソ連圏においては、表向きの話しとその背後にある状況について一種独特の相反する矛盾と同時に解釈上の奇妙な調和が存在していることを私は常々感じているのですが、この旧ソ連圏におけるホッキョクグマ事情をこうして何年も調べてきた経験でも、彼らがこれこれこういう言い方をした時には事実は別のことを意味している場合があるということを学んできたつもりです。今回のアリコルのパートナー探しとそれに関連した「新飼育展示場建設問題」の急進展には、明らかにアリコルを守りたいアルマトイ動物園の意向が反映していると私は考えます。ただし、モスクワ動物園のムルマのパートナーとしてはこのアリコルはピッタリであるという気もしているわけで彼にはモスクワに来てほしいという気持ちもあるわけです。しばらくカザフスタンにおける報道を注意して見ていきたいと思っています。

(資料)
BNews.kz - Новости Казахстана (Apr.6 2016 - Полярному медведю в Алматинском зоопарке найдут вторую половинку)

(過去関連投稿)
カザフスタン・アルマトイ動物園、アリコルの独居の「孤独」
カザフスタン ・ アルマトイ動物園に暮らすアリコルへの朗報 ~ 動物園大改修計画による飼育環境改善へ
カザフスタン・アルマトイ動物園のアリコルの近況 ~ 地元のファンの温かいまなざし
カザフスタン・アルマトイ動物園の「国際ホッキョクグマの日」のアリコルの姿 ~ 氷のケーキのプレゼント
カザフスタン・アルマトイ動物園のアリコルの夏の日 ~ 情報の少ない旧ソ連圏のホッキョクグマたち
カザフスタン・アルマトイ動物園のアリコルが飼育展示場で三匹の猫たちと平和に共存
カザフスタン・アルマトイ動物園、アリコル(Алькор) の「国際ホッキョクグマの日」
デンマークのオールボー動物園が雌のメーリクとヴィクトリアのパートナー候補の雄を世界中に求めて調査中
by polarbearmaniac | 2016-04-07 00:15 | Polarbearology

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