人気ブログランキング | 話題のタグを見る


街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


by polarbearmaniac

S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28

カザフスタン・アルマトイ動物園がモスクワ動物園主任獣医の診断に反発 ~ アリコルのX線検査は様子見へ

カザフスタン・アルマトイ動物園がモスクワ動物園主任獣医の診断に反発 ~ アリコルのX線検査は様子見へ_a0151913_215319.jpg
アリコル (Белый медведь Алькор)
Photo(C)Алматинский зоопарк

昨夜に引き続いてカザフスタン・アルマトイ動物園における騒動の続報です。実はこれを動物はホッキョクグマだけを対象としている本ブログで扱うのはやや苦しいのですが、同園のホッキョクグマのアリコルにも一部関係していますので、それに引っ掛けて投稿しています。なにしろカザフスタンという国から発せられる動物園の情報は非常に少なく、そういったもののなかにホッキョクグマに関するものがあれば漏らさずに投稿しているわけですが、今回の件はアルマトイ動物園の抱えている大きな問題が関係していますので、ここでさらに詳しくご紹介しておいたほうがよいだろうと考えているからです。

一昨日の投稿で、モスクワ動物園の主任獣医であるミハイル・アリシネツキー氏が「アルマトイ動物園支援基金(Социальный фонд помощи алматинскому зоопарку)」の理事長である実業家のバタロフ氏の要請でアルマトイ動物園で現在健康状態が問題となっている動物たちの診断のためにアルマトイ動物園を訪問し、そして意見を述べたことを御紹介しています。現在問題となっている重病のアムールトラのクラライ(Куралай)についてアリシネツキー獣医は、病状が進行していてもう治療には手遅れとなっているため苦痛から解放してやるためにクラライを安楽死させることを提案しています。ホッキョクグマのアリコルの歯の状態については抜歯治療を行うかどうかはX線検査で判定したいという診断でした。



さてこのモスクワ動物園から出張してきたアリシネツキー獣医の診断についてアルマトイ動物園当局の反応ですが、副園長のアクバイ・アジバエフ(Акбай Ажибаев)氏はこのアリシネツキー獣医の診断に反発しています。「それはアリシネツキー氏の意見であり提案である。我々には我々の考え方があって、実際に動物たちの命のために奮闘しているのはあくまでも我々である。アリシネツキー氏は昨日やってきて動物たちを見ただけであるが我々は毎日問題の動物たちを見ているが、彼らの病状は我々の行っている治療で好転に向かっているのだ。」と語っています。ホッキョクグマのアリコルに対するX線検査も急がない方針だそうです。つまり、事実上は「やらない」ということなのでしょう。

こうしたアルマトイ動物園当局の反応はある意味では予想されたことでした。モスクワ動物園のアリシネツキー獣医はアルマトイ動物園が招聘したものではなく、あくまでも「アルマトイ動物園支援基金」の理事長であるバタロフ氏が個人的に連れてきて同園の動物たちを見ただけであり、その結果としてアリシネツキー獣医が何をアドバイスしようが、それに対して自分たちは従う義務などないということです。確かにこういう反発が生じてくるのも無理からぬところであり、基金の理事長であるバタロフ氏は事前に同園の園長に対してアリシネツキー獣医の訪問について理解を求め、そしてその診断を尊重してほしいという了解をとっていなかったのではないでしょうか。そういった根回しを行っていないと折角モスクワから獣医を連れてきても逆効果になってしまうのです。実に困った状況になってきたようです。

アルマトイ動物園は昨日になってSNSのページに以下のように現在のクラライの状態について報告しています。彼女の病状は好転しているということを示したいのでしょう。しかし私の見たところ檻の位置関係からして、これはクラライではなくて別のアムールトラだと思いますが。(*後記 - クラライは5月7日未明に死亡しました。アルマトイ動物園はやはり事実ではないことを言っていたということになるでしょう。)



実はこのアルマトイ動物園は重病となっているクラライについて十分な治療を行ってきたという形跡がないようで、これはあくまでも噂ですが祈祷師が呪術によってクラライの回復を祈って飲み水に呪術を施したりなどしていることもあったそうです。何かもう救いようのない気持ちになってきます。

同園を一昨日取材した記者によればホッキョクグマのアリコルは気持ちよさそうな表情で昼寝をしていたそうですから(下の写真)、彼に関してはまあそれほど心配する必要はないのかもしれません。
カザフスタン・アルマトイ動物園がモスクワ動物園主任獣医の診断に反発 ~ アリコルのX線検査は様子見へ_a0151913_23274395.jpg
昼寝をするアリコル Photo(C)ktk.kz

さて、このアルマトイ動物園は1998~99年にホッキョクグマの人工哺育に成功しているわけです。その時の赤ちゃんは現在チェコのブルノ動物園のあのコーラのパートナーであるウムカなのです。ですから決して飼育技術に劣っているという動物園ではないはずなのですが、今回のアムールトラのクラライの件についてはまったくいただけません。そしてこういった同園を取り巻く複雑な外部の状況も憂慮すべき点でしょう。カザフスタンもウクライナと同じく魑魅魍魎とした社会状況であることは間違いないのです。謎の実業家バタロフ氏は本当にアルマトイ動物園の救世主なのか、それとも策士なのかペテン師なのか、これも全くわかりません。

(資料)
Казахстанский портал NUR.KZ (May.5 2016 - В зоопарке Алматы не слушают московского врача и отказываются усыплять тигрицу)
Телеканал КТК (May.5 2016 - В Алматинском зоопарке не слушают московского специалиста и продолжают мучить Куралай)
informburo.kz (May.5 2016 - В алматинском зоопарке отказываются выполнять рекомендации московского ветеринара)
(*後記資料)
Tengrinews.kz (May.7 2016 - В Алматинском зоопарке умерла тигрица Куралай)
Zakon.kz (May.7 2016 - В зоопарке Алматы умерла тигрица Куралай)

(過去関連投稿)
カザフスタン・アルマトイ動物園、アリコルの独居の「孤独」
カザフスタン ・ アルマトイ動物園に暮らすアリコルへの朗報 ~ 動物園大改修計画による飼育環境改善へ
カザフスタン・アルマトイ動物園のアリコルの近況 ~ 地元のファンの温かいまなざし
カザフスタン・アルマトイ動物園の「国際ホッキョクグマの日」のアリコルの姿 ~ 氷のケーキのプレゼント
カザフスタン・アルマトイ動物園のアリコルの夏の日 ~ 情報の少ない旧ソ連圏のホッキョクグマたち
カザフスタン・アルマトイ動物園のアリコルが飼育展示場で三匹の猫たちと平和に共存
カザフスタン・アルマトイ動物園、アリコル(Алькор) の「国際ホッキョクグマの日」
デンマークのオールボー動物園が雌のメーリクとヴィクトリアのパートナー候補の雄を世界中に求めて調査中
カザフスタン・アルマトイ動物園がアリコルのパートナー探しを開始 ~ 旧ソ連圏の事情の背景を読む
カザフスタン・アルマトイ動物園のアリコルの近況、そして同園のスキャンダルと背後の「黒い影」
カザフスタン・アルマトイ動物園のアリコル、抜歯治療はX線検査の結果次第とモスクワ動物園主任獣医が診断
by polarbearmaniac | 2016-05-06 01:00 | Polarbearology

カテゴリ

全体
Polarbearology
しろくま紀行
異国旅日記
動物園一般
Daily memorabilia
倭国旅日記
しろくまの写真撮影
旅の風景
幻のクーニャ
飼育・繁殖記録
街角にて
未分類

最新の記事

........and so..
at 2023-03-27 06:00
モスクワ動物園のディクソン(..
at 2023-03-26 03:00
ロシア・ノヴォシビルスク動物..
at 2023-03-25 02:00
ロシア・西シベリア、ボリシェ..
at 2023-03-24 02:00
鹿児島・平川動物公園でライト..
at 2023-03-23 01:00
ロシア・ノヴォシビルスク動物..
at 2023-03-22 03:00
名古屋・東山動植物園でフブキ..
at 2023-03-21 01:00
ロシア・ノヴォシビルスク動物..
at 2023-03-20 02:00
モスクワ動物園のディクソン ..
at 2023-03-18 22:20
ロシア・サンクトペテルブルク..
at 2023-03-18 03:00

以前の記事

2023年 03月
2023年 02月
2023年 01月
2022年 12月
2022年 11月
2022年 10月
2022年 09月
2022年 08月
2022年 07月
2022年 06月
2022年 05月
2022年 04月
2022年 03月
2022年 02月
2022年 01月
2021年 12月
2021年 11月
2021年 10月
2021年 09月
2021年 08月
2021年 07月
2021年 06月
2021年 05月
2021年 04月
2021年 03月
2021年 02月
2021年 01月
2020年 12月
2020年 11月
2020年 10月
2020年 09月
2020年 08月
2020年 07月
2020年 06月
2020年 05月
2020年 04月
2020年 03月
2020年 02月
2020年 01月
2019年 12月
2019年 11月
2019年 10月
2019年 09月
2019年 08月
2019年 07月
2019年 06月
2019年 05月
2019年 04月
2019年 03月
2019年 02月
2019年 01月
2018年 12月
2018年 11月
2018年 10月
2018年 09月
2018年 08月
2018年 07月
2018年 06月
2018年 05月
2018年 04月
2018年 03月
2018年 02月
2018年 01月
2017年 12月
2017年 11月
2017年 10月
2017年 09月
2017年 08月
2017年 07月
2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月

検索