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街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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モスクワ動物園・ヴォロコラムスク附属保護施設に移送された野生孤児は雌(メス)で「ニカ」と命名

モスクワ動物園・ヴォロコラムスク附属保護施設に移送された野生孤児は雌(メス)で「ニカ」と命名_a0151913_2004323.jpg
ニカ (Белый медвежонок Ника)
Photo(C)Московский Зоопарк

ロシア極北・チュクチ自治管区のリィルカイピ村で保護された野生孤児がモスクワ動物園のヴォロコラムスク附属保護施設で保護・飼育されることになり軍の輸送機でモスクワに輸送された件については「ロシア極北で保護のホッキョクグマの野生孤児のモスクワへの移送の様子が公開 ~ ロシア軍が輸送に協力」という投稿を行っています。全ての輸送行程に約40時間を要してモスクワ動物園のヴォロコラムスク附属保護施設に到着したこの野生孤児についてモスクワ動物園のスヴェトラーナ・アクーロヴァ園長は、この孤児個体が野生出身であるため飼育下のホッキョクグマの血統の多様性を維持することに貢献できることについて触れ、モスクワ動物園におけるホッキョクグマの繫殖計画に参加させる意向であることを明らかにしました。さらに、この生後推定9ヶ月の野生孤児個体はやはり雌(メス)だそうで、名前は「ニカ (Ника)」と命名されたそうです。
モスクワ動物園・ヴォロコラムスク附属保護施設に移送された野生孤児は雌(メス)で「ニカ」と命名_a0151913_13173824.jpg
ニカ (Белый медвежонок Ника)
Photo(C)mos.ru/Московский Зоопарк

ヴォロコラムスク附属保護施設でのニカの様子を報じるTVのニュース映像を御紹介しておきます。ニュース映像の一部には同じくこの施設にいるアイオンとミラーナの姿も登場しています。モスクワ動物園の新園長(女性)であるアクーロヴァさんも登場しており「新血統」、それも野生出身の雌(メス)の出現にご機嫌の様子です。それからモスクワ動物園の獣医さんのドミートリイ・エゴロフ氏と飼育担当のアレクサンドル・エゴロフ氏も登場していますが、この方々は同園のホッキョクグマ担当主任のイーゴリ・エゴロフ氏の息子さんでしょうか?






モスクワ動物園はもともと将来国外の動物園に移動する個体については正式な命名を行わず名前のないまま血統登録を行う場合が非常に多いわけですが、飼育員さんたちはそういった個体についてもニックネームは付けているわけです。しかしこのニカはモスクワ動物園で繁殖の舞台に立つとなれば、この名前は単なるニックネームではなく正式な名であると理解してよいように思います。いよいよシモーナ(現在21歳)やムルマ(現在25歳)の後継となる雌(メス)のホッキョクグマとしてニカがモスクワ動物園のホッキョクグマの主役となることが大いに期待されるという状況になってきたようです。年齢的に言ってもシモーナの後継となる可能性は極めて強いと言わざるを得ません。シモーナはウスラーダの長女というホッキョクグマ界のエリートなのですが、一方でニカは野生出身ということで血統的にニカに対する期待は非常に大きいでしょう。こうしてロシアのホッキョクグマ界は当分安泰であるということです。そしてモスクワ動物園というところは、繁殖の主役に据えた雌(メス)のホッキョクグマはことごとく繁殖に成功させるという凄腕の飼育技術があるわけです。自国内の領土にホッキョクグマの生息地を持つロシアの強みということも言えましょう。
モスクワ動物園・ヴォロコラムスク附属保護施設に移送された野生孤児は雌(メス)で「ニカ」と命名_a0151913_392361.jpg
ニカ Photo(C)Московский Зоопарк

(*追記)ノヴォシビルスクにお住まいのファンの方々は、このニカこそシルカの弟であるロスチクのパートナーにぴったりだという感じで盛り上がっているようです。確かにニカとロスチクは同じ年齢なのですが、しかしどうでしょうか、モスクワ動物園はおそらくクラスノヤルスク動物園のフェリックスとオーロラという野生孤児個体のペアの間に今年の年末に誕生が期待されている赤ちゃんが雄だったときに、その個体をニカのパートナーにしようとするような気がします。そのほうが血統的にずっと有利だからです。そう考えてみるとこのニカはララファミリーの雌の個体にとっても超難敵のライバルの出現だろうと思います。野生孤児個体の雌(メス)は飼育下誕生の雌(メス)よりもはるかに貴重だからです。

(*追記2)実は今日、モスクワ動物園のヴォロコラムスク附属保護施設をレポーターが訪問し生中継を行ったTV局があります。その映像でこのヴォロコラムスク附属保護施設のホッキョクグマたちがどういった区画で飼育されているのかがよくわかり非常に貴重な映像だと思います。横浜のジャンブイや姫路のホクトはこの場所で暮らした経験があるわけです。さて、この映像の中で今回のニカの他にもう一頭の幼年・若年個体の姿が確認できます(手前側)。これはひょっとしてシモーナが一昨年の11月に産んだ双子のうちの一頭であるように私には見えますがそう言い切る確証はありません。しかしそうだとしますと、その個体は間もなくロシア国外に移動するためにこの施設で待機しているのだということになるでしょう。これは興味津々の映像でした。


(資料)
Московский Зоопарк (Новости/Sep.16 2016 - В Московский зоопарк приехал найденный на Чукотке белый медвежонок)
mos.ru (Sep.16 2016 - Спасённый на Чукотке белый медвежонок переехал в зоопарк)
NEWSru.com (Sep.16 2016 - Спасенного на Чукотке медвежонка Нику несколькими самолетами доставили в Московский зоопарк)
Агентство "Москва" (Sep.16 2016 - Найденный на Чукотке белый медвежонок доставлен в Московский зоопарк)
Газета Вечерняя Москва (Sep.16 2016 - Найденный на Чукотке медвежонок доставлен в Московский зоопарк)
Первый канал (Sep.16 2016 - В питомнике Московского зоопарка выхаживают спасенного на Чукотке полярного медвежонка)
Life.ru (Sep.16 2016 - Военные Минобороны спасли белого медвежонка, потерявшего мать)
ЗВЕЗДА (Sep.16 2016 - Белый медвежонок, спасенный по приказу Шойгу, переехал в Москву на ПМЖ)
ТВ Центр (Sep.16 2016 - Медвежонка Нику поселили в питомник Московского зоопарка)
Комсомольская правда (Sep.16 2016 - Московский зоопарк спас белого медвежонка, которого нашли на Чукотке)
МТРК «Мир» (Sep.16 2016 - История «военного» спасения медвежонка-сироты с Чукотки)
Телеканал 360 (Sep.16 2016 - Спасенного на Чукотке белого медвежонка разместили в питомнике в МО)

(過去関連投稿)
ロシア極北・チュクチ自治管区 リィルカイピ村でホッキョクグマの生後約8ヶ月の孤児が発見・保護される
ロシア極北 リィルカイピ村で保護された推定生後8ヶ月の孤児はモスクワ動物園で保護・飼育が決定
ロシア極北で保護されたホッキョクグマの野生孤児がモスクワ動物園・ヴォロコラムスク附属保護施設に到着
ロシア極北で保護のホッキョクグマの野生孤児のモスクワへの移送の様子が公開 ~ ロシア軍が輸送に協力

by polarbearmaniac | 2016-09-16 13:30 | Polarbearology

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