人気ブログランキング | 話題のタグを見る


街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


by polarbearmaniac

S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

アメリカ・ユタ州ソルトレイクシティ、ホーグル動物園で繁殖に寄与せず悠々と暮らすリッツォ

アメリカ・ユタ州ソルトレイクシティ、ホーグル動物園で繁殖に寄与せず悠々と暮らすリッツォ_a0151913_127936.jpg
リッツォ (Rizzo the Polar bear) Photo(C)tripadvisor

アメリカ・ユタ州ソルトレイクシティのホーグル動物園(Hogle Zoo)といえば札幌・円山動物園のデナリの生まれ故郷であることは有名です。日本のホッキョクグマ界において過去から現在に至るまでアメリカの動物園で生まれたホッキョクグマといえば非常に少なく、現在ではデナリの他では旭山動物園のサツキがやはりアメリカ生まれ(クリーヴランドのメトロパークス動物園)であるぐらいでしょう。ホーグル動物園におけるデナリや、彼の母親、兄弟姉妹についてはかなり調べてありますので過去関連投稿を是非御参照下さい。
アメリカ・ユタ州ソルトレイクシティ、ホーグル動物園で繁殖に寄与せず悠々と暮らすリッツォ_a0151913_3254887.jpg
Photo(C)tripadvisor

デナリの母親である故シヌック (1977 ~ 2002)は10頭の子供たちを育て上げた実に偉大なホッキョクグマであったわけで、彼女がホーグル動物園に君臨していた時代のホーグル動物園はアメリカにおける重要なホッキョクグマの繁殖基地だったわけですが、そのシヌックが亡くなってからというもののしばらく経ってホーグル動物園にはホッキョクグマが不在になるという状態が非常に長く続いたわけでした。しかし2012年になって9年振りにこの動物園にホッキョクグマが戻ってきたわけです。それが1997年12月生まれの雌ノホッキョクグマであるリッツォ (Rizzo)です。非常に短いですがこのリッツォの最新の映像を見てみましょう。



欧州の動物園にしてもアメリカの動物園にしても、ホッキョクグマについてどうもよくわからない点があるのですが、このリッツォに関してです。彼女はホーグル動物園に来園したときは14歳であり、そして現在は18歳なのですが、彼女に何故パートナーがいないのかという点です。雌(メス)のホッキョクグマであるのもかかわらず彼女は繁殖に全く寄与していないという不思議さです。伝え聞くところによれば、このリッツォがホーグル動物園に移動(2012年4月)に移動する直前に飼育されていたシンシナティ動物園で雄のリトルワンとの間で何回か繁殖行為があったそうですが、本来ならばシンシナティ動物園でその年の年末に出産準備で産室に入るべきはずのものを、リッツォはそのままホーグル動物園に移動したということだそうです。これが事実とすれば大きな問題だと思います。要するにホッキョクグマの出産準備のために環境を変えないでやるということよりもホーグル動物園の新しいホッキョクグマ飼育展示場のオープンに間に合うように2012年4月に移動させたということを意味するわけで、これは全く感心できません。その当時にはもうトレド動物園のメイヤーソン女史がAZAのSSPを主導していたはずですから、事前に彼女の移動は決まっていたにしても何故このような時期にわざわざリッツォをソルトレイクシティに移動することに同意したのかということです。このあたりがアメリカのホッキョクグマ界の問題なのです。少なくとも日本ではこういったことはないでしょう。
アメリカ・ユタ州ソルトレイクシティ、ホーグル動物園で繁殖に寄与せず悠々と暮らすリッツォ_a0151913_2594647.jpg
リッツォ Photo(C)tripadvisor

このホーグル動物園はこうして4年前に Rocky Shores というホッキョクグマの新しい飼育展示場をオープンさせたわけで、まさか産室の設備がないなどということは有り得ないと思います。この動物園で一頭で飼育展示場を独占して暮らしているリッツォは気分的には気楽なのかもしれません。あと二つほどこのリッツォの映像を見てみましょう。「悠々と暮らしている」というよりは「暇を持て余している」というほうが正確なのかもしれません。





どのような事情があるかは知りませんが、このリッツォのように繁殖に寄与させずに一頭で飼育しているということならばコロンバス動物園で生まれたノーラはオレゴン動物園にではなくこのホーグル動物園に移動させて、若いリッツォにノーラの相手をさせてやればよかったわけです。何も31歳になったタサルにその役をあてがう必要などなかったのです。

さて、このホーグル動物園も今年で85周年だそうです。ホーグル動物園の歴史を振り返った番組をご紹介しておきます。残念なことにホッキョクグマは登場していません。



さて、話を故シヌックに戻しますが、この偉大なるシヌックの息子(デナリ)を日本で見ることができるというのは日本のファンにとっての大きな幸運と喜びなのです。
アメリカ・ユタ州ソルトレイクシティ、ホーグル動物園で繁殖に寄与せず悠々と暮らすリッツォ_a0151913_35057.jpg
デナリ (Denali the Polar bear/Белый медведь Денали)
(2015年4月1日撮影 於 札幌・円山動物園)

ララが世界的にも偉大なホッキョクグマであることは間違いないにしても、ララファミリー(Lara & Co.)の子供たちは母親であるララの偉大さの背後に、このホーグル動物園で飼育されていたシヌックのさらに偉大な影が大きく投影されていると私は考えています。ここをクリックしていただくと御理解いただけると思いますが、これはもう並のホッキョクグマの母親の姿ではありません。全身から母性が発散し、そして輝いているという姿なのです。デナリはこの母親の息子としてホーグル動物園で生まれ、そしてこの母親に育てられたというわけです。そのホーグル動物園でリッツォが繁殖に寄与せず一頭で暮らしているという現状はおかしな話なのです。

(資料)
Goof4Utah (Oct.30 2016 - Wirth Watching - The Grand History of Utah's Hogle Zoo)
Deseret News Utah (Dec.19 2002 - Hogle Zoo workers mourn polar bear mom 'Chinook')

(過去関連投稿)
デナリ(現・円山動物園)の1994年一般公開初日の様子 ~ 雄の「偉大さ」とは?
デナリ(札幌・円山動物園)の母シヌックの「育児記録写真集」  ~ “Project Polar Bear”
デナリの義父の悲劇的な死の真相 (前)
デナリの義父の悲劇的な死の真相 (後)
「偉大なる男」デナリを生んだ「偉大なる母」の姿
デナリ (円山動物園) とその母親、兄弟姉妹たちの姿 ~ ユタ州・ソルトレイクシティーの地元紙の記録
アメリカ・ユタ州、ソルトレイクシティーのホーグル動物園、取り戻せるか過去の繁殖の栄光
大きく成長を遂げつつあるポロロ ~ クーニャよりもシヌックの影を強く感じるララファミリーの子供たち
アメリカ・ユタ州、ホーグル動物園のシヌック(1977~2002 デナリの母)が最後まで殉じた母親役
アメリカ・ユタ州、ソルトレイクシティーのホーグル動物園に9年ぶりにホッキョクグマ戻る
アメリカ・ユタ州、ソルトレイクシティーのホーグル動物園で新展示場のRocky Shores がオープン
by polarbearmaniac | 2016-11-22 06:00 | Polarbearology

カテゴリ

全体
Polarbearology
しろくま紀行
異国旅日記
動物園一般
Daily memorabilia
倭国旅日記
しろくまの写真撮影
旅の風景
幻のクーニャ
飼育・繁殖記録
街角にて
未分類

最新の記事

........and so..
at 2023-03-27 06:00
モスクワ動物園のディクソン(..
at 2023-03-26 03:00
ロシア・ノヴォシビルスク動物..
at 2023-03-25 02:00
ロシア・西シベリア、ボリシェ..
at 2023-03-24 02:00
鹿児島・平川動物公園でライト..
at 2023-03-23 01:00
ロシア・ノヴォシビルスク動物..
at 2023-03-22 03:00
名古屋・東山動植物園でフブキ..
at 2023-03-21 01:00
ロシア・ノヴォシビルスク動物..
at 2023-03-20 02:00
モスクワ動物園のディクソン ..
at 2023-03-18 22:20
ロシア・サンクトペテルブルク..
at 2023-03-18 03:00

以前の記事

2023年 03月
2023年 02月
2023年 01月
2022年 12月
2022年 11月
2022年 10月
2022年 09月
2022年 08月
2022年 07月
2022年 06月
2022年 05月
2022年 04月
2022年 03月
2022年 02月
2022年 01月
2021年 12月
2021年 11月
2021年 10月
2021年 09月
2021年 08月
2021年 07月
2021年 06月
2021年 05月
2021年 04月
2021年 03月
2021年 02月
2021年 01月
2020年 12月
2020年 11月
2020年 10月
2020年 09月
2020年 08月
2020年 07月
2020年 06月
2020年 05月
2020年 04月
2020年 03月
2020年 02月
2020年 01月
2019年 12月
2019年 11月
2019年 10月
2019年 09月
2019年 08月
2019年 07月
2019年 06月
2019年 05月
2019年 04月
2019年 03月
2019年 02月
2019年 01月
2018年 12月
2018年 11月
2018年 10月
2018年 09月
2018年 08月
2018年 07月
2018年 06月
2018年 05月
2018年 04月
2018年 03月
2018年 02月
2018年 01月
2017年 12月
2017年 11月
2017年 10月
2017年 09月
2017年 08月
2017年 07月
2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月

検索