人気ブログランキング | 話題のタグを見る


街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


by polarbearmaniac

S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

ロシア北東部サハ共和国で北極海岸より700キロも離れた内陸で野生孤児が目撃 ~ 保護に動く自然管理監督局

ロシア北東部サハ共和国で北極海岸より700キロも離れた内陸で野生孤児が目撃 ~ 保護に動く自然管理監督局_a0151913_0135817.jpg
Photo: С сайта Минприроды РС

非常に気になる報道がロシアから流れてきています。野生孤児の目撃情報に対してロシアの連邦政府の自然管理監督局がこの個体の保護に動きだし、モスクワ動物園がその捕獲作戦に協力する構えを見せているという現在進行形のニュースです。複数のソースは細部において内容がかなり錯綜していますが内容をまとめると以下のようなことだそうです。
ロシア北東部サハ共和国で北極海岸より700キロも離れた内陸で野生孤児が目撃 ~ 保護に動く自然管理監督局_a0151913_18304359.jpg
事の発端は9月の初旬のことだそうです。ロシア北東部のサハ共和国のスレドネコルィムスク地区の村に住む漁師が付近で一頭のホッキョクグマを目撃した情報が当局に寄せられたためその地区の自然保護官が確認に向かったものの、ホッキョクグマは発見できなかったそうです。そして数日後になってコルィマ河付近のスルギヤタールという村に一頭のホッキョクグマが現れ犬と遊んだりしていたものの、連絡を受けた自然保護官が到着する前にホッキョクグマは姿を消してしまったそうです。9月19日と22日に再びホッキョクグマは姿を現したそうです。その際に撮影された映像をご紹介しておきます。下をワンクリックして下さい。
ロシア北東部サハ共和国で北極海岸より700キロも離れた内陸で野生孤児が目撃 ~ 保護に動く自然管理監督局_a0151913_155032.jpg

この一頭のホッキョクグマは一歳と思われる幼年個体であり(ロシア大統領府は推定生後約9ヶ月だと述べていますが)、このような年齢のホッキョクグマは単独では生きていけないということと、この地域に生息している別種の熊たちに襲われる危険性があるため自然保護官はサハ共和国にある連邦政府の自然管理監督局の出先部署に連絡し、このホッキョクグマを保護するための捕獲の許可を求め、その許可を受けたとのことです(この許可がありませんとロシアでは野生のホッキョクグマの保護のための捕獲ができません)。この幼年個体は多分コルィマ河流域を移動するだろうという予測のもとで、サハ共和国の自然管理局は至急に捕獲のための専門家チームを集め、それにモスクワ動物園のスタッフも合流してなんとかこの幼年個体を保護したいと動き始めたそうです。しかし何故ホッキョクグマの本来の生息地である北極海の海岸から約700キロも離れた場所でホッキョクグマの幼年個体が単独で歩いていたのかは謎であると地元の報道は伝えています。

モスクワ動物園は実に素早い動きを見せていますね。多分連邦政府の自然管理監督局に対して日頃から、こういった野生個体が見つかったら保護に協力したいと申し出ていたのでしょう。うまく保護できればモスクワ動物園のヴォロコラムスク附属保護施設に収容するのでしょう。そしてロシアにおける飼育下のホッキョクグマの血統の遺伝的多様性の維持に協力してもらいたいということでしょう。ロシアにおけるホッキョクグマの野生孤児個体の保護政策とロシアの動物園における飼育下のホッキョクグマの個体数維持をこうした形で結び付けようとしているわけです。しかし最も重要なことは野生のホッキョクグマの生命を守るということにあります。飼育下のホッキョクグマの血統の多様性維持という問題はその次の話であることは言うまでもありません。

そういったことはともかくとして、なんとか今回目撃された野生の幼年個体を無事保護してもらいたいと思います。これから数日が正念場となるでしょう。ロシア大統領府のHP内のプーチン大統領のホッキョクグマ保護に関するサイトでも今回出現したホッキョクグマについて述べられており、ロシア政府の全面的な支援のもとでの捕獲・保護作戦となっています。

(資料)
Администрация президента России (ПРОГРАММА «БЕЛЫЙ МЕДВЕДЬ» Sep.22 2017 - В Якутии пытаются спасти белого медвежонка)
SAKHALIFE.RU (Sep.22 2017 - В Среднеколымском районе рыбаки заметили белого медведя. Мишка их тоже заметил)
РИА Новости (Sep.22 2017 - В Якутии пытаются спасти белого медвежонка)
SakhaNews (Sep.23 2017 - В Среднеколымском районе появился… белый медведь)
Российской газеты (Sep.23 2017 - В Якутии белого медвежонка заметили в 700 километрах от берега моря)
YakutiaMedia.ru (Sep.22 2017 - Белого медведя заметили рыбаки на реке Колыма в Среднеколымском районе Якутии)

(過去関連投稿)
ロシア極北で負傷、ペルミ動物園で保護されたセリクについて ~ ロシアでの野生孤児の個体保護の問題点
ロシア極北・チュクチ自治管区 リィルカイピ村でホッキョクグマの生後約8ヶ月の孤児が発見・保護される
by polarbearmaniac | 2017-09-23 22:00 | Polarbearology

カテゴリ

全体
Polarbearology
しろくま紀行
異国旅日記
動物園一般
Daily memorabilia
倭国旅日記
しろくまの写真撮影
旅の風景
幻のクーニャ
飼育・繁殖記録
街角にて
未分類

最新の記事

........and so..
at 2023-03-27 06:00
モスクワ動物園のディクソン(..
at 2023-03-26 03:00
ロシア・ノヴォシビルスク動物..
at 2023-03-25 02:00
ロシア・西シベリア、ボリシェ..
at 2023-03-24 02:00
鹿児島・平川動物公園でライト..
at 2023-03-23 01:00
ロシア・ノヴォシビルスク動物..
at 2023-03-22 03:00
名古屋・東山動植物園でフブキ..
at 2023-03-21 01:00
ロシア・ノヴォシビルスク動物..
at 2023-03-20 02:00
モスクワ動物園のディクソン ..
at 2023-03-18 22:20
ロシア・サンクトペテルブルク..
at 2023-03-18 03:00

以前の記事

2023年 03月
2023年 02月
2023年 01月
2022年 12月
2022年 11月
2022年 10月
2022年 09月
2022年 08月
2022年 07月
2022年 06月
2022年 05月
2022年 04月
2022年 03月
2022年 02月
2022年 01月
2021年 12月
2021年 11月
2021年 10月
2021年 09月
2021年 08月
2021年 07月
2021年 06月
2021年 05月
2021年 04月
2021年 03月
2021年 02月
2021年 01月
2020年 12月
2020年 11月
2020年 10月
2020年 09月
2020年 08月
2020年 07月
2020年 06月
2020年 05月
2020年 04月
2020年 03月
2020年 02月
2020年 01月
2019年 12月
2019年 11月
2019年 10月
2019年 09月
2019年 08月
2019年 07月
2019年 06月
2019年 05月
2019年 04月
2019年 03月
2019年 02月
2019年 01月
2018年 12月
2018年 11月
2018年 10月
2018年 09月
2018年 08月
2018年 07月
2018年 06月
2018年 05月
2018年 04月
2018年 03月
2018年 02月
2018年 01月
2017年 12月
2017年 11月
2017年 10月
2017年 09月
2017年 08月
2017年 07月
2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月

検索