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街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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ロシア北東部 ヤクーツク動物園のハールチャーナが満一歳となる ~ ゲルダ/シルカの先例を危惧する同園

ロシア北東部 ヤクーツク動物園のハールチャーナが満一歳となる ~ ゲルダ/シルカの先例を危惧する同園_a0151913_194696.jpg
コルィマーナ (Колымана) お母さんとハールチャーナ (Хаарчаана)
Photo(C)Якутское-Саха Информационное Агентство

ロシア北東部サハ共和国のヤクーツク動物園で昨年2016年の11月30日にコルィマーナ (Колымана) お母さんから誕生した雌(メス)のハールチャーナ (Хаарчаана) が満一歳となりました。同園によりますと彼女の現在の体重は100kgsだそうです。サンクトペテルブルクのレニングラード動物園への移動の日が迫っているハールチャーナですが、すでに一昨日からヤクーツク動物園のホッキョクグマ飼育展示場はハールチャーナの移動準備を理由として一般来園者に対しては閉鎖されている状態のようです。
ロシア北東部 ヤクーツク動物園のハールチャーナが満一歳となる ~ ゲルダ/シルカの先例を危惧する同園_a0151913_2050396.jpg
Photo(C)Якутское-Саха Информационное Агентство

室内には先週にレニングラード動物園から届いた移動用ケージが置かれておりハールチャーナが自由意思でそこに入れるような内部に彼女の好物などが置かれているそうで、これは一種の「訓練」といったものとして行われているようです。
ロシア北東部 ヤクーツク動物園のハールチャーナが満一歳となる ~ ゲルダ/シルカの先例を危惧する同園_a0151913_20542884.jpg
Photo(C)Якутское-Саха Информационное Агентство

ここにきてヤクーツク動物園は、この親子を引き離した後の母親のコルィマーナについてやや危惧するようになっているそうです。こうしたホッキョクグマ親子の別れについて同園は他園での過去の様子などを知りつつあり、その中でもノヴォシビルスク動物園における2014年11月のゲルダとシルカとの別離後のゲルダの様子について例に注目しているそうでゲルダが長い時間、食べることもせずにいなくなったシルカの姿を探して歩き回り続けたことをヤクーツク動物園のスタッフは気にかけているそうです。

ヤクーツク動物園のスタッフはこの親子の一年間の姿を回想しつつ感慨深げに想い出を地元メディアに語っているのですが、その内容は実に感動的で心に迫るものがあります。ハールチャーナが初めて産室から屋外に出た時のことや、その後のコルィマーナお母さんの娘に対するきめ細かい配慮や教育についても語られていますが最初の頃はハールチャーナが単独で飼育展示場に出ないようにコルィマーナは自分の体で屋外への出口をブロックしていたという話は興味深いです。秋になるとコルィマーナは娘を必要以上に監視することは止め、ハールチャーナが遊んでいる時には安心して昼寝をしていたそうです。
ロシア北東部 ヤクーツク動物園のハールチャーナが満一歳となる ~ ゲルダ/シルカの先例を危惧する同園_a0151913_2120355.jpg
コルィマーナ (Колымана) お母さんとハールチャーナ (Хаарчаана)
Photo(C)Якутское-Саха Информационное Агентство

このコルィマーナとハールチャーナの別れについて地元の人々は心の痛みを感じているそうで、ヤクーツク動物園のこれまでの歴史において最も悲しい日になるだろうと考えているようです。ロシア国内とはいえサンクトペテルブルクはあまりにヤクーツクとは離れた場所にあります。それはノヴォシビルスクから大阪までの距離以上のはずです。しかしヤクーツク動物園のスタッフは園長さんをはじめとして心の優しい方が多いと思います。私は現在でもノヴォシビルスク動物園のゲルダとシルカの別れからシルカの日本への旅立ちについては故シロ園長のやり方には納得ができないままです。あのやり方は人の心を傷付けるやり方でした。しかし今回のヤクーツク動物園の方々の心構えは故シロ園長のあのやり方とは正反対だと言えましょう。

この親子に会いに行かなかったことは私がホッキョクグマファンになって以来の最大の失敗でしたね。結局この親子がどのような親子であるのかが私にとってはわからないままでした。ヤクーツク動物園は初めてのホッキョクグマ繁殖に成功したためにこの親子の関係が他の親子の関係と比較してどういった特異な違いがあるかなどという問題意識は持っていないとは思いますが、しかし私の感じでは同園はかなり的確にこの親子の特徴を捉え、そしてメディアに語っているのではないかと思っています。私が想像するに、このコルィマーナとハールチャーナの親子はゲルダとシルカの親子よりも安定度において高い点数が付くのではないかと思っています。

(資料)
ЯСИА (Nov.30 2017 - Ком в горле: Как Колымана проводит последние дни со своим медвежонком Хаарчааной)
YakutiaMedia (Nov.30 2017 - Якутскому медвежонку Хаарчаане Ломоносовне сегодня исполнился 1 год)
НВК САХА (Nov.25 2017 - Белый медвежонок Хаарчаана готовится к переезду в Санкт-Петербург) (Nov.29 2017 - Экспозицию «Белые медведи» закрыли в зоопарке «Орто Дойду» в связи с отъездом Хаарчааны)

(過去関連投稿)
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ロシア・サハ共和国、ヤクーツク動物園のハールチャーナが間もなく満一歳へ
ロシア・サンクトペテルブルク、レニングラード動物園がヤクーツク動物園のハールチャーナの12月来園を告知
ロシア北東部 ヤクーツク動物園のコルィマーナが娘ハールチャーナとの別れが迫ったことを直感的に理解
by polarbearmaniac | 2017-12-01 00:30 | Polarbearology

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