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街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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熊本市動植物園のマルルが一年八か月ぶりに一般公開 ~ 「熊本のマルル」という不幸度のバロメーター

熊本市動植物園のマルルが一年八か月ぶりに一般公開 ~ 「熊本のマルル」という不幸度のバロメーター_a0151913_18454713.jpg
(C)熊本県民テレビ



熊本市動植物園で飼育されている現在は5歳となっている雌(メス)のマルルが2016年4月に熊本を襲った大地震によって同園が大きな被害を被って復旧工事のための閉園を余儀なくされて以来約1年8カ月ぶりに12月23日に一般公開されたそうです (上の写真をワンクリックしていただくとニュース映像開始画面に飛びます)。非常に長かったと言えます。とくにこうした年齢の若年個体のホッキョクグマにとっては本来はひときわ意義のあるべき時期であったとも言えます。


生後三ヶ月のマルルとポロロ - Polar Bear twin cubs (Marle and Porolo) at Sapporo Maruyama Zoo, on Mar.30 2013.

同園はこのマルルを札幌・円山動物園から預託を受けて飼育しているわけですが、その預託期間の延長を希望しているという報道もなされていました。札幌・円山動物園には新飼育展示場が完成しましたが円山動物園で今度どのような形で繁殖がなされていくかの展望は示されておらず、また日本の他の動物園で十分なホッキョクグマの飼育展示場が存在していないという現実から考えれば円山動物園は熊本市動植物園からのマルルの預託期間延長の要請を結果的には受け入れることとなるでしょう。日本におけるホッキョクグマの繁殖の展望が明らかではないわけですからマルルが他園に移動しようにも移動する場所がないということなのです。私はこうしておけば正解だったろうと思うのは、2016年6月にバフィン親子が大阪から浜松に移動した時に同時にマルルを熊本から大阪に移すべきだったろうということです。そしてシルカとの同居を行わせるべきでした。今後を考えればマルルは札幌に帰還することを除外して考えれば、神戸か名古屋に行くのが良いでしょう。ただし神戸や名古屋でどうやってパートナーを得て繁殖に貢献していけるかについてはほとんど展望はないわけですが、それは日本のホッキョクグマ界全体の問題として捉えるべきことなのです。とくしま動物園はマルルと双子姉妹であるポロロの預託期間の延長をやはり希望しているものの、繁殖という大きな問題の存在がポロロの残留問題の前に立ちはだかっていることをしっかりと理解しているようです。つまり日本のホッキョクグマ界が突き当たっている問題を理解しているということです。しかし熊本市動植物園が預託期間延長の問題に関してマルルの繁殖問題を考慮している気配は少なくとも私には全く感じられません。


ララとマルル、ポロロの双子姉妹 - Lara the Polar Bear and her twin cubs, Marle and Porolo, at Sapporo Maruyama Zoo, on Feb.28 2014.

こういったことから言える結論は、「熊本のマルル」という状態が続けば続くほどそれは「日本のホッキョクグマ界の無策」を意味することになるというわけです。「熊本のマルル」はまさに日本のホッキョクグマ界の不幸度のバロメーターに他ならないわけです。マルルも現在の状態でしたらBLでハバロフスク動物園に移動してハバルのパートナーになったほうが、よほどよいでしょう。札幌からでしたらハバロフスクは東京よりも近い位置にあります。

(資料)
熊本日日新聞 (Dec.24 2017 - マルル会いたかったよ 熊本市動植物園でXマス夜間開園)
熊本県民テレビ (Dec.24 2017 - 地震後初!ホッキョクグマのマルル公開)
Asahi Shimbun (Dec.25 2017 - Self-taught polar bear in Kyushu puts on a show after the quakes)

(過去関連投稿)
(*札幌よりのポロロ、マルルの旅立ち関連)
札幌・円山動物園での 「マルルとポロロを送る会」 ~ "Auf Flügeln des Gesanges..."
ララお母さんとマルル、ポロロの最後の一日
全てを察知し、全てを理解し、そして最後に全てを諦念で受け入れた偉大なる母、ララの姿
マルルとポロロの札幌よりの旅立ち ~ いささかの心残り
娘たちの去った日のララお母さん、心の葛藤、そして虚脱感、そして哀しさの片隅に希望への眼差し
(*徳島のポロロ、熊本のマルル関連)
とくしま動物園でのポロロ歓迎式、そしてポロロの自信に溢れた徳島での公式デビュー
ポロロ、その優れた適応性、そしてその執着力が予感させる器の大きさ ~ 大輪晩開の花
熊本市動植物園での、いささか精彩に欠いたマルルの熊本公式デビュー ~ "Marle of Our Time"
マルル、その「正統派ホッキョクグマ」 が克服を期待される試練 ~ 「我らが時代」のホッキョクグマの姿
熊本市動植物園でマルルの歓迎会が開催される
大きく成長を遂げつつあるポロロ ~ クーニャよりもシヌックの影を強く感じるララファミリーの子供たち
冷雨の日曜日、間近に見るポロロの表情 ~ 亡きシロー爺さんに見守られているポロロが優位に立つ
マルルの "Perpetuum mobile" ~ 公開後、約一か月が経過したマルル
マルルに当分の苦境は続くか? ~ "Every cloud has a silver lining."
マルル、まどろみの日曜日
ポロロとマルルが暮らす徳島と熊本の二つの動物園の印象 ~ 「組織の徳島、人の熊本」
マルルが取り戻した快活さの裏側 ~ 多大な労力で「幻影」の維持を強いられる飼育員さんへの同情
熊本の夏の入り口の暑さにも動きが鈍らないマルル ~ in/outdoorの扉開放方式の試験的導入が成功
夏の暑さの到来した徳島にあっても、立ち止まることなく前進するポロロの「快進撃」
ポロロこそララの後継熊なのか? ~ マルルを突き放し姉のアイラに肉薄する稀有の逸材の歩む道
真夏日の徳島、ポロロのゆったりとした日曜日
「正統派・アポロ的ホッキョクグマ」であるマルルの逆襲の条件を探る ~ 精神の自由の付与で「快適さ」へ
ポロロの二つの「動と静」のドラマ (前) ~ 水中での避暑と遊びとを共存させ 「痛みを経ての快感」 へ
ポロロの二つの「動と静」のドラマ (後) ~ 休息と外界よりの刺激(おもちゃとおやつ)が無理なく共存
猛暑の熊本に見たマルル ~ 失わない爽快な動き
ようやく自分の世界を確立したマルル ~ ポロロへの追い上げ態勢に入る
蒸し暑い曇天の日曜日のマルル ~ 飼育員さんからの刺激を日常生活の重要な部分に取り込み糧とする
「雨ニモマケズ雷鳴ニモマケズ...」 ポロロの悠然とした台風接近の日の土曜日
確固とした存在感を確立し、さらに進化を遂げつつあるポロロ ~ その非凡なるホッキョクグマの姿
豪雨の日曜日にポロロの奏でる遊びのファンタジー
尊重されるポロロの自由意思、そして有益な死角の存在 ~ 日本で一番大事にされた個体となったか?
爽快な秋晴れの徳島、二ヶ月半振りのポロロとの再会 ~ 持久力と集中力の増した輝かしい成長
ポロロ、その行動と思索 ~ 「哲人的ホッキョクグマ」 という前人未到の領域への進化・発展を目指す
連日の秋晴れ、ポロロの日曜日 ~ ポロロとマルル・ミルクを隔てるものは 「伸びしろ」 の大きさか?
秋の熊本に到来した札幌の夏、そしてマルルのハロウィン ~ "Make-believe Halloween" の楽しみ
マルル、その「正統派・アポロ的」かつ天恵の存在の成長と、五里霧中の将来の展望が醸し出す悲哀感
マルル、その淡々とした歩みの日曜日
ポロロ (とくしま動物園) が飼育展示場の水槽の一部を破壊する! ~ 補修工事中の数日間は展示中止 
冬の到来を拒否する熊本の陽光、青空の下でのマルル ~ 北の街から来た仲間 「聖なるもの」 と共に
天恵のホッキョクグマ、マルルの歩むべき道
阿波の国をも襲った冬の寒波、山々の冠雪と展示場に復活した薄毛のポロロのゆったりとした土曜日
ポロロの二歳の誕生会 ~ 集中力、持久力を増した揺るぎ無き成長を続けるポロロの快活な日曜日
梅雨入りを吹き飛ばす絶好調ポロロの豪快な快進撃 ~ 「アーチ型」のポロロと「パルス型」のミルク
二歳半となったポロロ、その揺るぎない成長  ~ 徳島で「ララ・ファミリー」を考える
典型的な梅雨期の曇天の下、ポロロの過ごす日曜日 ~ 何故ポロロは円盤状のものが好きなのか?
一年ぶりの熊本、マルルの成長を追って ~ 「天恵のホッキョクグマ」の待機期間
熊本市動植物園のマルルを想う
by polarbearmaniac | 2017-12-25 00:30 | Polarbearology

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