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街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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ベルリン動物公園で誕生の赤ちゃんが死亡 ~ 名状し難き不安感

ベルリン動物公園で誕生の赤ちゃんが死亡 ~ 名状し難き不安感_a0151913_16352840.jpg
Photo(C)Tierpark Berlin

ドイツ・旧東ベルリンのフリードリヒスフェルデにあるベルリン動物公園より発表がありました。同園で12月7日にトーニャお母さんから誕生した赤ちゃんは1月2日朝(報道によれば3時半)に死亡したそうです。現在、ライプニッツ研究所により詳しい死因の特定作業が行われているそうです。報道によればクニーリエム園長は赤ちゃんの死後に簡単な検死を行ったそうで、園長さんによれば赤ちゃんは脱水状態だったようです。そして通常の赤ちゃんの場合よりはかなり体が小さい状態であったとのことです。赤ちゃんは12時間から15時間ほど母乳が摂取できない状態のまま眠ってしまい、そのままの状態で赤ちゃんは死んでしまったという所見を述べています。クニーリエム園長の説明を聞いてみましょう。二番目の映像はワンクリックしていただくとブランデンブルク放送のニュース映像に飛びます。


ベルリン動物公園で誕生の赤ちゃんが死亡 ~ 名状し難き不安感_a0151913_17322525.jpg

生後一か月目を目前にして残念なことになりました。昨年のフリッツ同様に赤ちゃんが母親に連れられて早春に屋外に登場するシーンを見ることはできなくなったわけです。私はこのベルリン動物公園での赤ちゃん誕生のニュースを一昨年の秋にも昨年の秋にも知った瞬間には心の中である種の大きな不安を感じたものでした。不安は的中してしまいました。トーニャはモスクワ動物園で誕生したホッキョクグマです。血統登録情報によれば母親はムルマです。私の仮説によれば母親はシモーナです。ムルマであれシモーナであれ、そう簡単に赤ちゃんを死なせてしまうということのない母親であり、トーニャを見ていてもそういった優れたロシアの母親たちの能力を受け継いでいることは明らかなのです。現にクニーリエム園長は赤ちゃんが母乳をほとんど摂れない状態だったことに対して「母親であるトーニャに過失があったとはみられない」と語っています。昨年のフリッツも今年の赤ちゃんも、誕生後2~3日で死亡したというのならばともかく、ある程度落ち着いた状態になってなにか「勝手にこけてしまった」という感じで亡くなってしまいました。もうこれ以上は述べませんが、仮に以前から本ブログを読んでいただいていた方がいましたら、私の言う「不安」は何が原因なのかについてある程度推察していただけるでしょう。つまり、「あること」が原因で赤ちゃんの免疫機能が十分ではないのではないかということです。「トーニャの素顔、そしてその血統の謎に迫る ~ 北京に負けたベルリン」、及び「ベルリン動物公園のヴァロージャ(Володя/Wolodja)の来園の経緯 ~ 霧の中に浮かぶ真相」という投稿を御参照頂ければ私の抱いている大きな不安感について理解していただくことが可能でしょう。単に「ベルリン動物公園の赤ちゃんが亡くなった。可哀想だ。」というのは今回のニュースだけを取り上げた表面的な話ですが、実は視野を世界に拡大していきますと、そこには驚くべき実相が隠されている可能性があるというわけなのです。モスクワ、北京、ベルリンという不気味な三角形の存在の可能性を認識することこそが重要なわけです。記者会見でクニーリエム園長に対してヴァロージャとトーニャの血統(と赤ちゃんの死との関係)について質問した記者があったようです。それに対して園長さんは「証拠がない」と語り、これからもこのペアでの繁殖を目指すと語っています。確かにトーニャの母親がシモーナであることの直接証拠はありません。しかし状況証拠ならばいくつもあるのです。以下の血統図(つまり血統登録情報)、これは事実を反映していないというのが私の考え方です(ワンクリックで拡大しますので是非大きくしてみて下さい)。現に姫路のホクトについてこの血統図は間違っているのです。そしてモスクワ動物園は日本よりの指摘によって調査が行われてホクトの血統情報を訂正したという経緯があるのです。ですからホクト(Hokuto)と書かれた場所にはイワン(旭川)が入るのが正しいわけです。現在の血統登録情報はそう訂正されています。
ベルリン動物公園で誕生の赤ちゃんが死亡 ~ 名状し難き不安感_a0151913_1915444.jpg

ベルリン動物公園は今後は赤ちゃん誕生とその産室内での成長についてあまり頻繁に発表しない方がよいのではないでしょうか? 誕生の事実の発表と一般公開日の発表を同時に、しかも一般公開日の直前に行ってしまうモスクワ動物園やカザン市動物園、あるいはアメリカのバッファロー動物園のようなやり方のほうがよいのではないかと思います。ベルリン動物公園は可能な限りのことを公開し、そしていざ何か事が起これば懸命に説明しようという真摯な姿勢には大きな敬意を払いますが、しかしその一方で「ああだ、こうだ」といった一般からの憶測を生じかねない危険なものがあるようにも思います。

(追記)上でご紹介した血統図ではノヴォシビルスク動物園のカイ(クラーシン)もゲルダも右側の山に該当します(血統図にはカイ/クラーシンの名前は登場していませんが)。血統登録情報によればそうなるわけです。しかし以前から主張しています通り、ゲルダは左側の山に属するというのが私の見解です。私は円山動物園がロスチクをリラのパートナーとして札幌に導入することは賛成ですが、その前にロスチクの母親であるゲルダは右の山ではなく左の山に属することが明らかでなければいけない(つまり現在の血統登録情報を否定することが必要)と考えるわけです。ゲルダが左の山に属することを証明するためには私が年末の投稿で述べた通りゲルダの娘であるシルカと男鹿の豪太との血統関係の有無をDNA鑑定することが必要なのです。血統関係があればゲルダは右の山ではなく左の山に属することが証明できるわけです。仮にゲルダの血統が血統登録情報の通りだったとすれば.....それは大阪にとっても札幌にとってもあまりよい状況とは言えないでしょう。

(資料)
Tierpark Berlin (Jan.2 2018 - Eisbären-Jungtier gestorben)
B.Z. Berlin (Jan.2 2018 - Drama im Tierpark Berlin – das Eisbär-Baby ist tot!)
rbb24 (Jan.2 2018 - Eisbärjunges im Berliner Tierpark gestorben) (Jan.2 2018 - Tod nach 26 Tagen: Eisbären-Baby trank zu wenig)
Berliner Morgenpost (Jan.2 2018 - Zoodirektor Knieriem: Eisbären-Baby hat zu wenig getrunken)

(過去関連投稿)
ベルリン動物公園がトーニャの出産準備体制へ ~ 自ら産室に入ったトーニャの出産は間近か?
ベルリン動物公園でホッキョクグマの双子の赤ちゃん誕生! ~ 一頭は死産でもう一頭は生存中
ベルリン動物公園で誕生の赤ちゃん、元気に生後四日目が経過
ベルリン動物公園で誕生の赤ちゃんが生後一週間を無事に経過
ベルリン動物公園で誕生の赤ちゃんが無事に生後十日目を経過 ~ 1992年撮影の謎の映像は故ホクトの姿か?
ベルリン動物公園のホッキョクグマ担当主事による解説のライブ中継が行われる
ベルリン動物公園で誕生の赤ちゃんが順調に推移 ~ 授乳間隔が広がり始める
ベルリン動物公園で誕生の赤ちゃん、生後三週間となり遂に両目を開く
(*フリッツ関連)
ベルリン動物公園の赤ちゃんのフリッツが肝臓に広範囲の炎症で重体となる ~ 憂慮すべき病状
ベルリン動物公園の生後四カ月の赤ちゃんのフリッツが死亡! ~ さようならフリッツ......
ベルリン動物公園のトーニャが息子のフリッツと引き離された後の状態 ~ 難しい今年のシーズンの繁殖再挑戦
ベルリン動物公園のトーニャが息子フリッツの死後初めて屋外に登場 ~ 世界中からの弔意に感謝する同園
ベルリン動物公園で死亡した赤ちゃん、フリッツの死因が依然として不明 ~ ヴァロージャが同園に帰還へ
by polarbearmaniac | 2018-01-03 16:00 | Polarbearology

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