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街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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札幌・円山動物園の新施設である「ホッキョクグマ館」が開館 ~ 急務である「新血統」の導入

札幌・円山動物園の新施設である「ホッキョクグマ館」が開館 ~ 急務である「新血統」の導入_a0151913_1718026.jpg
ララ(左)とリラ(右) Photo(C)札幌市・円山動物園

札幌の円山動物園ですでに昨年11月に建設が完成していましたホッキョクグマの新しい飼育展示施設である「ホッキョクグマ館」が本日4月13日に開館の記念式典が行われ一般に対してオープンとなりました。その様子を報じる地元局のニュース映像を見てみましょう。





以下の二つは画面はワンクリックして下さい。
札幌・円山動物園の新施設である「ホッキョクグマ館」が開館 ~ 急務である「新血統」の導入_a0151913_19532559.jpg
札幌・円山動物園の新施設である「ホッキョクグマ館」が開館 ~ 急務である「新血統」の導入_a0151913_17442475.jpg

重要なことは、この新施設には水中回廊があってプールの中のホッキョクグマたちの姿を下から見ることができるといったようなことではありません。この施設でいかにホッキョクグマの繁殖を成功させて日本国内の飼育頭数の減少のスピードを遅らせることができるかということにあるわけです。同園が以前から目的としている国外個体の導入をどうやって実現させていくかが大きな問題です。実現の暁にはその導入個体は欧州とロシアからやってくることになるわけですが、これは徹底的に血統の問題が最重要視されることとなります。以下にその導入個体としての候補をグループに分けて述べておきます。

(Group A) -「新血統」個体
・クラスノヤルスク動物園のオーロラとフェリックスの間での繁殖個体
・イジェフスク動物園でのドゥムカとアイオンの間での繁殖個体

(Group B) - 「新血統」の有力候補個体
・モスクワ動物園の野生孤児ニカの将来の繁殖個体
・モスクワ動物園の野生孤児アヤーナの将来の繁殖個体
・ゲレンジーク・サファリパークの野生孤児スネジンカの将来の繁殖個体
・ゲレンジーク・サファリパークの野生孤児セレシュカの将来の繁殖個体
・ペンザ動物園の野生孤児ベルィの将来の繁殖個体

(Group C) -「新血統」ではないが既存個体との血の近親関係の薄い個体
・ペルミ動物園のミルカ(ユムカ)とセリクの間での繁殖個体
・欧州の「ロストック系」

(Grpup D) - 「旧血統」に属し入手は困難ではないと思われる個体
・ヤクーツク動物園のコルィマーナとロモノーソフとの間での繁殖個体
・イジェフスク動物園のザバーヴァとバルーとの間での繁殖個体

まず (Group A) は最も入手の難易度が高いですが導入個体としては最も理想的です。すでにロシア動物園水族館協会 (СоЗАР/RUZA) と欧州動物園水族館協会 (EAZA) との間でこの繁殖個体の供給に関する事実上の協力関係が構築されていますから円山動物園はJAZAを通じてロシアと欧州との協力関係の中に入り込む必要があります。

(Group B) で挙げた個体は全て野生孤児出身ですが、まだパートナーが決まっていません。仮に彼女たち(ベルィだけは雄ですが)のパートナーに野生孤児個体が選ばれますと (Group A) と同じことになりますのでやはり入手の難易度は高くロシア動物園水族館協会 (СоЗАР/RUZA) と欧州動物園水族館協会 (EAZA) との間の関係に参加する必要があります。

(Group C) の場合はペルミ動物園のケースならばロシア動物園水族館協会 (СоЗАР/RUZA) を通してペルミ動物園と直接交渉が可能なようにも思いますが何とも言えません。「ロストック系」の場合はEAZAとの交渉が必要です。

(Group D) の場合はロシア動物園水族館協会 (СоЗАР/RUZA) は直接強力に関与してくる可能性は薄いような気がします。交渉の相手方はレニングラード動物園になるはずです。ただしロモノーソフもザバーヴァもウスラーダの子供ですから、その彼らの子供を日本に導入するのは血統的に考えればかなりの熟慮が必要だと思います。

円山動物園がこの新しい「ホッキョクグマ館」でララの後継世代の繁殖を狙うならば、(Group A)、(Group B)、(Group C) の優先の順番で個体の導入を狙うべきです。(Group D) は現時点では回避すべきと思います。さてこうして考えてみると、円山動物園は (JAZA を経由して)早くロシア動物園水族館協会 (СоЗАР/RUZA) と接触してホッキョクグマ繁殖に関する協力関係を構築する必要があるということです。その中心の対象はやはりRUZAを主導しているモスクワ動物園でしょう。

(資料)
時事通信 (Mar.13 2018 - 頭上で泳ぐホッキョクグマ―円山動物園にオープン)
NHK (Mar.13 2018 - 円山動物園にホッキョクグマ館)

(過去関連投稿)
札幌・円山動物園の「新ホッキョクグマ飼育展示場」が竣工 ~ その経緯と意義を考える
札幌・円山動物園で完成の「ホッキョクグマ館」が報道関係者に公開される
札幌・円山動物園のデナリが新飼育展示場(ホッキョクグマ館)に登場 ~ 同園の馴致訓練の戦略を推理する
札幌・円山動物園のララとリラが新飼育展示場である「ホッキョクグマ館」に非公開で登場
札幌・円山動物園でのララとリラの新飼育展示場への初登場の様子を報じた映像
札幌・円山動物園の新施設「ホッキョクグマ館」の内部が報道陣に公開
by polarbearmaniac | 2018-03-13 20:30 | Polarbearology

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