街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


by polarbearmaniac

プロフィールを見る
通知を受け取る

札幌・円山動物園の「ホッキョクグマ館 (Polar Bear Museum)」の問題点を探る (1)

a0151913_206698.jpg
昨日に続いて円山動物園にやってきた。
a0151913_201026100.jpg
今日は昨日とは打って変わって曇天。雨の降り出しそうな天気である。
a0151913_20224597.jpg
ララさん、リラちゃん、今日もよろしくお願いいたします。
a0151913_2029229.jpg
水の中では互いに刺激を与え合うこの親子である。
a0151913_2016241.jpg
互いにとっては相手の存在そのものがまるでエンリッチメントの実現でもあるかのように作用する。


水の中のララとリラ - Lara and Lilas the Polaer Bears together in the water at Sapporo Maruyama Zoo, Japan, on Jun.20 2018.

a0151913_22115698.jpg
ホッキョクグマ館、この壁が大きな問題である。この壁こそがホッキョクグマ観察を極めて不自由なものにしているのだ。要するにこの壁は邪魔なのである。
a0151913_21105452.jpg
飼育展示場側から見るとこの部分である。何故ここの部分をガラスにして来園者側から飼育展示場が見えるようにしなかったのかが大きな疑問である。この点がこの新しいホッキョクグマ館の来園者側からの最も大きな欠陥であるように思う。ある方のお話によると、これは耐震構造の維持に関係があるということだが、しかしそれはコーナーの部分に太い柱を設置すればクリアしたはずである。
a0151913_20553420.jpg
それからもう一つ不思議なことがある。
a0151913_211375.jpg
この親子は広い飼育展示場の約半分ほどしか活動範囲としていないように見えることである。
a0151913_2145917.jpg
飼育展示場の左側のこの部分、ここをララ親子はほとんど活動領域としていないように見えるのである。それには理由があるように私には思われる。
a0151913_21294314.jpg
リラはプールに飛び込んで水中で見えるものに非常に大きな興味を示す。
a0151913_21305783.jpg
彼女の好奇心は同年齢の他の幼年・若年個体をかなり上回っているように思う。
a0151913_21341248.jpg
ララについても似た要素がある。
a0151913_21352361.jpg
ララは私が予想していた以上にプールに入ることを好むようになっている。


水の中のララ - Lara the Polar Bear in the water, at the "Polar Bear Museum" of Sapporo Maruyama Zoo, Japan, on Jun.20 2018.

a0151913_21364767.jpg
つまりリラもララも、自分なりにこの飼育展示場において水に入ることを好んでいるのである。
a0151913_21412299.jpg
つまり、プールから遠い場所にあるこの左側の場所を彼らが自分たちの活動範囲にすることには気が向かないということなのである。 加えて、左側のこの場所には彼らにとって活動のインセンティブとなるものが乏しいように見える。つまりこのことが彼らはこちらの側には滅多に来ないということの理由だと私は考える。この場所に彼らが頻繁に来てくれると写真撮影には有利である。何故ならここには来園者とホッキョクグマたちを隔てるガラスボードがないからである。
a0151913_2156882.jpg
私は円山動物園のこの新しい飼育展示場を基本的には評価するが、しかし一つだけ本質的な問題点を指摘しておきたい。それは、この飼育展示場のプールに付与されている性格である。
a0151913_22281344.jpg
このプールはホッキョクグマたちをある特定の方向性をもった行動に駆り立ててしまっているということである。
a0151913_21592628.jpg
それを具体的に言えば、アザラシというものに対する反応を半ば強制でもしているかのように私には思えるのである。プールにはそのような「仕掛け」は不要であると考える。彼らが水に入りたい時に自らの意思で彼ら自身の時間を過ごさせてやればそれでよいのである。先月訪問したタリン動物園のプールはホッキョクグマたちをある一定の方向の行動に導くような「仕掛け」がない。だから彼らの自由意思と行動が自然に保障されているのである。
a0151913_2227171.jpg
飼育展示場の一部にホッキョクグマたちがある特定の行動を行うように仕向けた「仕掛け」があるのを私は支持しない。ところがその「仕掛け」が存在していのがこの動物園のホッキョクグマ館なのである。それを私は残念に思う。これはあくまで私個人の意見である。
a0151913_22315028.jpg
ただしかし、円山動物園のこの新飼育展示場は男鹿水族館や上野動物園のいわゆる「基準をクリアしている」とされる施設よりもはるかに優れていることは間違いない。


背中を掻くララ - Lara the Polar Bear, scratching her back on the ground at Sapporo Maruyama Zoo, Japan, on Jun.20 2018.

動物園からホテルに帰る際にタクシーに乗ったが、その運転手が言うには、今年の春以降は円山動物園正門前のタクシー乗り場で客待ち待機しているタクシーの回転が非常に早くなっているそうである。そしてその理由について彼はホッキョクグマ館のオープンがこれに寄与していると言っていた。このことから考えるに、おそらく今まで動物園に来たことの無い人々が動物園にやってきていることを示しているように思う。要するにそういった人々がタクシーを利用しているということだろうと思われる。常連客は通常は帰路にタクシーを利用しないからである。ホッキョクグマ館の話題を聞いてやってきた「一見客」を常連客にするためにはホッキョクグマの個体差を理解するように誘導していくことが望ましいと思われる。個体差を理解するとホッキョクグマ館、ひいては動物園そのものの常連客になる可能性が比較的高くなるからである。そのためにはいかにしてイベントを行っていくかもポイントとなるだろう。

SONY DSC-RX10M4
Panasonic HC-W870M
(Jun.20 2018 @札幌・円山動物園)
by polarbearmaniac | 2018-06-20 23:00 | しろくま紀行

カテゴリ

全体
Polarbearology
しろくま紀行
異国旅日記
動物園一般
Daily memorabilia
倭国旅日記
しろくまの写真撮影
旅の風景
幻のクーニャ
エッセイ、コラム
街角にて
未分類

最新の記事

昨年2017年の繁殖シーズン..
at 2018-09-21 00:30
ポーランドのワルシャワから成..
at 2018-09-20 13:00
ワルシャワのショパン博物館 ..
at 2018-09-19 06:45
ワルシャワ、旧ゲットー地区を..
at 2018-09-18 06:45
ワルシャワ、プラガ地区を歩く..
at 2018-09-18 06:30
ワルシャワ、旧ゲットー地区を..
at 2018-09-17 06:45
ワルシャワ動物園の秋晴れとホ..
at 2018-09-17 06:30
ワルシャワ、旧ドイツ国家秘密..
at 2018-09-16 06:30
ワルシャワ、旧ゲットー地区を..
at 2018-09-15 08:30
ワルシャワ、旧ゲットー地区を..
at 2018-09-14 06:45

以前の記事

2018年 09月
2018年 08月
2018年 07月
2018年 06月
2018年 05月
2018年 04月
2018年 03月
2018年 02月
2018年 01月
2017年 12月
2017年 11月
2017年 10月
2017年 09月
2017年 08月
2017年 07月
2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月

検索

ブログパーツ

  • このブログに掲載されている写真・画像・イラストを無断で使用することを禁じます。

ライフログ


人生と運命 1


スターリン―青春と革命の時代


モスクワは本のゆりかご


私のモスクワ、心の記憶


自壊する帝国 (新潮文庫)


甦るロシア帝国 (文春文庫)


嘘つきアーニャの真っ赤な真実 (角川文庫)


ロシア 春のソナタ、秋のワルツ-1999-21st


それからのエリス いま明らかになる鴎外「舞姫」の面影


ミチコ・タナカ 男たちへの讃歌 (新潮文庫)


わがユダヤ・ドイツ・ポーランド―マルセル・ライヒ=ラニツキ自伝


ベルリン戦争 (朝日選書)


Hof――ベルリンの記憶


カチンの森――ポーランド指導階級の抹殺


北京烈烈―文化大革命とは何であったか (講談社学術文庫)


慟哭の通州――昭和十二年夏の虐殺事件


主題と変奏―ブルーノ・ワルター回想録 (1965年)


藤田嗣治 異邦人の生涯


Barle's Story: One Polar Bear's Amazing Recovery from Life As a Circus Act


Lenin's Tomb: The Last Days of the Soviet Empire


Resurrection: The Struggle for a New Russia


Hotel Adlon: Das Berliner Hotel, in dem die grosse Welt zu Gast war


Ein seltsamer Mann


Alma Rose: Vienna to Auschwitz


St Petersburg: A Cultural History


Gulag