街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


by polarbearmaniac

プロフィールを見る
更新通知を受け取る

アメリカ・ソルトレイクシティ、ホーグル動物園のノーラとホープの夏の日

a0151913_2224692.jpg
ホープとノーラ Photo(C)Rick Egan/The Salt Lake Tribune

アメリカ・ユタ州、ソルトレイクシティのホーグル動物園で暮らしている共に二歳半の雌(メス)のホッキョクグマであるノーラ (Nora) とホープ (Hope) については今まで何回か投稿してきました。オハイオ州のコロンバス動物園で生まれ人工哺育で育てられてオレゴン動物園を経てホーグル動物園に移動してきたノーラについてはその誕生から成長の過程を細かく追ってきたつもりです。ホープについてはオハイオ州のトレド動物園で育児能力の点で全米では最高という評価の高いクリスタルから誕生した双子の一頭で、ノーラの遊び友達となるべくトレド動物園からホーグル動物園に移動してきました。この二頭はホーグル動物園で同居を開始したのは昨年の10月のことでした。

人工哺育で育てられたノーラには幼少期から代謝性骨疾患 (Metabolic bone disease)の持病があり、さらに初期の関節炎の徴候もみられることについては前回の「アメリカ・ソルトレイクシティ、ホーグル動物園のノーラの成長 ~ スタッフの強い意思と苦闘の最前線」という投稿で述べていますので是非それを御参照下さい。さて、このノーラ、そして彼女の遊び友達となったホープの最近の様子について、これも以前からご紹介していますようにポートランドのメディアである The Oregonian紙の記者であるケイル・ウィリアムス (Kale Williams) 氏はこのノーラの成長の過程を追って素晴らしいレポートを書き続けており、このノーラの最近の様子を再び "Nora, Portland's favorite polar bear cub, said to be thriving in Utah"という記事にまとめています。それによりますと、ノーラの体重は前回の報告の165キロから現在では225キロに増加しており依然として関節炎の治療として投薬は行われており、また歩く時に前脚がいくらか曲がるということはあるにせよ、陸上でも水の中でも彼女が痛みを感じているような兆候を見せていないということがホーグル動物園の担当者の言葉を引用して述べられています。また、ノーラとホープとの関係はとても良好でありこの二頭と飼育員さんたちとの関係もとてもよいそうです。この二頭の最新の映像を見てみましょう。



次の映像は一ヶ月ほど前にホーグル動物園がホッキョクグマの飼育展示場から魚の特別給餌の様子をライブ中継した約20分ほどの映像です。開始から二分分ほどしてから音声が入ります。下の写真をワンクリックして下さい。
a0151913_2251418.jpg
Image: Hogle Zoo

飼育員さんがこの二頭について説明していますが、なかなか的を得た素晴らしい説明だと思います。画質はあまり良くないのですがノーラとホープの伸び伸びとした様子がよく感じ取れるライブ映像だと思います。

この人工哺育されたノーラの「適応化 (socialization)」ついてコロンバス動物園、オレゴン動物園、そしてホーグル動物園の三園の担当者と獣医さんは協力して懸命に取り組んでいる様子に非常に勇気づけられます。それは今までアメリカの動物園がホッキョクグマの飼育の長い歴史から集積してきた知識や経験の体系化、それによって得られた知見を総動員しているということです。ここには欧州やロシアとはまた違ったホッキョクグマ飼育に関する科学と哲学の実践の結合が見て取れるというわけです。日本の動物園がホッキョクグマ飼育に関してアメリカや欧州から学ばねばならないことは非常に多いだろうと思います。ロシアについては個々のホッキョクグマの性格を見抜く抜群の洞察力といったものがロシア人には備わっていて、これはなかなか学ぶことは難しいかもしれません。

(資料)
The Salt Lake Tribune (Jul.6 2018 - Hogle Zoo's polar bears cool off on a hot Utah day)
OregonLive.com (Jul.6 2018 - Nora, Portland's favorite polar bear cub, said to be thriving in Utah)

(過去関連投稿)
アメリカ・ポートランド、オレゴン動物園を去るノーラに寄せた深い想い ~ 同園と地元紙の文章
アメリカ・ポートランド、オレゴン動物園でのノーラの最後の一日 ~ 彼女との別れを惜しむ地元の人々
アメリカ・オレゴン動物園のノーラがソルトレイクシティのホーグル動物園に無事到着
アメリカ・トレド動物園のホープがソルトレイクシティのホーグル動物園に無事到着
アメリカ・ソルトレイクシティ、ホーグル動物園でノーラとホープが同居を開始し、一般公開となる
アメリカ・ソルトレイクシティ、ホーグル動物園のノーラが満二歳へ ~ 必読の 'The Loneliest Polar Bear'
アメリカ・ソルトレイクシティ、ホーグル動物園でのノーラとホープの同居が充実への兆しを見せる
「ノーラの物語 "The Loneliest Polar Bear"」がダウンロード可能となる
アメリカ・ソルトレイクシティ、ホーグル動物園のノーラの成長 ~ スタッフの強い意思と苦闘の最前線
by polarbearmaniac | 2018-07-14 02:00 | Polarbearology

カテゴリ

全体
Polarbearology
しろくま紀行
異国旅日記
動物園一般
Daily memorabilia
倭国旅日記
しろくまの写真撮影
旅の風景
幻のクーニャ
エッセイ、コラム
街角にて
未分類

最新の記事

ベルリン動物公園で誕生の赤ち..
at 2018-12-19 00:30
"Polar Bear of..
at 2018-12-18 03:00
ロシア・シベリア中部、クラス..
at 2018-12-17 02:00
ロシア・西シベリア、セヴェル..
at 2018-12-16 03:00
カナダ・サンフェリシアン原生..
at 2018-12-15 02:00
オランダ・ヌエネンの「動物帝..
at 2018-12-15 00:30
カナダ・サンフェリシアン原生..
at 2018-12-15 00:15
ロシア・クラスノヤルスク動物..
at 2018-12-14 03:00
ドイツ・ブレーマーハーフェン..
at 2018-12-14 00:30
デンマーク・コペンハーゲン動..
at 2018-12-13 17:00

以前の記事

2018年 12月
2018年 11月
2018年 10月
2018年 09月
2018年 08月
2018年 07月
2018年 06月
2018年 05月
2018年 04月
2018年 03月
2018年 02月
2018年 01月
2017年 12月
2017年 11月
2017年 10月
2017年 09月
2017年 08月
2017年 07月
2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月

検索

ブログパーツ

  • このブログに掲載されている写真・画像・イラストを無断で使用することを禁じます。

ライフログ


人生と運命 1


スターリン―青春と革命の時代


モスクワは本のゆりかご


私のモスクワ、心の記憶


自壊する帝国 (新潮文庫)


甦るロシア帝国 (文春文庫)


嘘つきアーニャの真っ赤な真実 (角川文庫)


ロシア 春のソナタ、秋のワルツ-1999-21st


それからのエリス いま明らかになる鴎外「舞姫」の面影


ミチコ・タナカ 男たちへの讃歌 (新潮文庫)


わがユダヤ・ドイツ・ポーランド―マルセル・ライヒ=ラニツキ自伝


ベルリン戦争 (朝日選書)


Hof――ベルリンの記憶


カチンの森――ポーランド指導階級の抹殺


北京烈烈―文化大革命とは何であったか (講談社学術文庫)


慟哭の通州――昭和十二年夏の虐殺事件


主題と変奏―ブルーノ・ワルター回想録 (1965年)


藤田嗣治 異邦人の生涯


Barle's Story: One Polar Bear's Amazing Recovery from Life As a Circus Act


Lenin's Tomb: The Last Days of the Soviet Empire


Resurrection: The Struggle for a New Russia


Hotel Adlon: Das Berliner Hotel, in dem die grosse Welt zu Gast war


Ein seltsamer Mann


Alma Rose: Vienna to Auschwitz


St Petersburg: A Cultural History


Gulag