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街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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ロシア、ニジニ・ノヴゴロドのニジェゴロド・リンポポ動物園にさらに二頭の個体が来園か?

ロシア、ニジニ・ノヴゴロドのニジェゴロド・リンポポ動物園にさらに二頭の個体が来園か?_a0151913_204953.jpg
シモーナ Photo(C)НИА Нижний Новгород

ロシア第四の都市であるニジニ・ノヴゴロドの動物園(ニジェゴロド・リンポポ動物園)に完成した新しいホッキョクグマ飼育展示場の主としてモスクワ動物園・ヴォロコラムスク附属保護施設で飼育されていた23歳の雌(メス)のホッキョクグマであるシモーナが来園し先週に一般公開が開始されたことはすでに投稿しています(「ロシア、ニジニ・ノヴゴロドのニジェゴロド・リンポポ動物園でシモーナが一般公開となる」)。ニジニ・ノヴゴロドのファンも地元の動物園で初めて目にするホッキョクグマの姿が非常に話題になっていることはいくつもの報道で見て取ることができます。
ロシア、ニジニ・ノヴゴロドのニジェゴロド・リンポポ動物園にさらに二頭の個体が来園か?_a0151913_20532897.jpg
シモーナ Photo(C)НИА Нижний Новгород

さて、ところが一つだけ気になる報道があります。それはコムソモリスカヤ・プラウダ紙がニジェゴロド・リンポポ動物園の広報担当者にインタビューした記事の中でその担当者が語っている内容です。この担当者は「シモーナがモスクワ動物園ですでに14頭もの子供たちを育て上げ、そしてすでに15頭もの孫がいるためにもう繁殖からは引退させて余生を過ごさせてやることになった。」という内容を語っていますが、これは私がすでにいくつかの情報を総合して本ブログでもその強い可能性を述べていた内容と一致しています。さて、問題はこれからです。この広報担当者は不明瞭なロシアゴで非常に奇妙な内容を語り始めます。「シモーナがニジニ・ノヴゴロドに来たのは六か月間(をここで過ごす)のためであり、やがてサハ共和国の北極海(インタビューでは「ヤクーチア海」という俗称で答えています)の海岸で保護された雌(メス)の個体が来園して将来ずっとこの動物園で暮らすこととなり、そして雄(オス)の個体も来園します。その雄(オス)の個体のためにプールなどの別の場所を建設します。」という内容を答え、そしてこのペアによって繁殖を狙うという内容を語っているのです。

"Как оказалось, Симона приехала в Нижний Новгород только на полгода. Потом в вольере поселится медведица, которую спасли на берегах Якутского моря. Молодая хищница проживет в зоопарке всю жизнь, к ней подселят и самца:
- Только для него нужно будет строить отдельный бассейн. Потому что самец с самкой не уживаются и, как правило, проводят время вместе только для размножения."

ちょっとわかりにくいロシア語ですが、この内容に間違いないと思います。さて、そうなるとシモーナは半年後にまた別の動物園に移動するということになるようです。これは実に不思議な話です。モスクワ動物園は先日このシモーナのニジニ・ノヴィゴロドへの移動を正式に発表していますが、その内容はシモーナが暫定的にニジニ・ノヴィゴロドへ移動したとは読めない内容です。そもそもアクーロヴァ園長は繁殖年齢を過ぎた個体は地方都市の設備の新設された動物園に移動させるという意図をすでに表明していたわけで、その線からいってもシモーナはニジニ・ノヴゴロドで余生を送るというのはこのアクーロヴァ園長の意図に合致しているわけで、それにもかかわらずシモーナのニジニ・ノヴゴロドの滞在が六か月だけというのは不思議な話です。

そしてニジニ・ノヴゴロドにやってくる雌(メス)の個体は野生出身でサハ共和国で保護された個体だというのですから、そうなると候補はモスクワ動物園・ヴォロコラムスク附属保護施設で暮らしている野生孤児出身の二歳半のニカ一歳半のアヤーナ(正式にはウムカ-アヤーナ)に絞られてくるわけです。ゲレンジーク・サファリパークの野生孤児出身のスネジンカとセレシュカはノーヴァヤ・ゼムリャー島付近で保護されていますのでサハ共和国の出身の野生個体ではありませんので候補からは外れます。さてところがモスクワ動物園はこのニカとアヤーナについては自園で繁殖させていく強い意向を持っているわけですしアクーロヴァ園長はすでに「ロシアにおけるホッキョクグマの繁殖は今まで過去に繁殖成功の実績のある動物園だけで行う。」という方針を表明しているのです。ということは、ニカやアヤーナがニジニ・ノヴゴロドに移動してくるということは考えられない話です。


ニカ(モスクワ動物園・ヴォロコラムスク附属保護施設)


アヤーナ(正式にはウムカ-アヤーナ)(モスクワ動物園・ヴォロコラムスク附属保護施設)

これは実に奇妙な話です。これはあくまでも私の憶測ですが、ニジニ・ノヴゴロドのニジェゴロド・リンポポ動物園は以前からホッキョクグマの繁殖を希望しており個体の入手をモスクワ動物園に懇願したものの、モスクワ動物園は表向きはニカやアヤーナをニジニ・ノヴゴロドに移動させることを約束はしたものの本心はその気がなく、シモーナをその代わりにニジニ・ノヴゴロドに移動させたのではないかということです。もう一つの可能性は、コムソモリスカヤ・プラウダ紙の記者がニジェゴロド・リンポポ動物園の広報担当者の話を間違って理解して記事を書いているのではないかということです。そもそも今までホッキョクグマの飼育経験すらなかったニジェゴロド・リンポポ動物園に繁殖など無理な話です。ましてやニカやアヤーナは野生出身の貴重な個体なのです。しかし仮にニカやアヤーナがニジニ・ノヴゴロドに移動するとすればそのパートナーはノヴォシビルスク動物園のロスチクになるでしょう。しかしロスチクのような「アンデルマ・ウスラーダ系(カザン血統)」を野生出身個体とペアにして繁殖を試みるのでは「新血統」の誕生にはならないわけです。
ロシア、ニジニ・ノヴゴロドのニジェゴロド・リンポポ動物園にさらに二頭の個体が来園か?_a0151913_265591.jpg
シモーナ Photo(C)НИА Нижний Новгород

さて、こういった状況ですから早くニジニ・ノヴゴロドに行ってシモーナに会ってこようと思っています。8~9月中にはニジニ・ノヴゴロドを訪問してシモーナに再会するつもりです。

(資料)
Комсомольская Правда (Jul.27 2018 - Для полярной Умки в Нижнем Новгороде воссоздали кусочек Северного полюса)
НИА Нижний Новгород (Jul.27 2018 - Вольер с белым медведем открылся в нижегородском зоопарке "Лимпопо")
Патриоты Нижнего (Jul.30 2018 - 27 июля в зоопарке «Лимпопо» открылся вольер с белым медведем)

(過去関連投稿)
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のロスチクがニジニ・ノヴゴロドのニジェゴロド動物園への移動が濃厚となる
モスクワ動物園のアクーロヴァ園長が語る飼育下のホッキョクグマの再配置方針 ~ ムルマが他園に移動か?
ロシア、ニジニ・ノヴゴロドのニジェゴロド動物園に7月29日に登場するのはロスチクか?
モスクワ動物園のシモーナがニジニ・ノヴゴロドのニジェゴロド動物園 (リンポポ動物園)に到着!
ロシア、ニジニ・ノヴゴロドのニジェゴロド・リンポポ動物園でシモーナが一般公開となる
by polarbearmaniac | 2018-07-31 02:30 | Polarbearology

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