街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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ベルリン動物公園の故フリッツの死因、いまだに解明できず ~ 壊死した肝臓の謎

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故フリッツ Photo(C)Tierpark Berlin

旧東ベルリンのベルリン動物公園 (Tierpark Berlin) で2016年11月3日にトーニャお母さんから生まれたものの翌年2017年3月6日に死亡してしまった雄(オス)のフリッツについてベルリンのライプニッツ(野生動物)研究所はその死因について懸命に解明を試みてきたのののフリッツの死後約一年半を経過した現在でも死因が特定できていないことをが科学ジャーナル誌に発表された記事によって明らかにされました。このライプニッツ研究所というのはドイツにおいて最も権威ある野生動物に関する研究を行う機関であり、あのクヌートの死因について解明を行った機関として記憶に残っています。生後僅か4カ月のホッキョクグマの赤ちゃんの死因を徹底的に追及してみても果たして成果が上がるのかという疑問を私は持っていたのですが、これはやはり国民性でしょうか、ドイツ人はこういったことについて非常に執念を持って取り組むようです。

さて、故フリッツの死因について特定はまだできてはいないものの、いくつか判明したこともあったようです。まず、フリッツの血液と組織細胞のなかから未知のアデノウイルスが検出されたそうです。しかしフリッツが感染していたこの未知のウィルスが彼の死因にはならなかったということも明らかにされました。また、フリッツの肝臓は一部が壊死していたそうですが、その原因は炎症によってでもなく、またウィルスの感染によってでもなかったそうで、一体何が原因でフリッツの肝臓に障害が生じたのかが不明だそうです。フリッツが何故死亡したのかについての仮説としては、ウィルスの感染によって体力を減少させたフリッツに何かもう一つの要因が加わって彼に死をもたらせたという考え方、あるいはその逆にフリッツの肝臓に生じた障害が彼の免疫性を弱くしたためにウィルスに感染しやすくなったのではないかといったことも述べられていますが推測の域を出ないようです。フリッツの死因については今後もさらに追及を継続していく意向のようです。
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故フリッツ Photo(C)Tierpark Berlin

このフリッツの死亡した同じ年の2017年12月7日にトーニャは二度目の出産を果たしたわけですが、生まれた赤ちゃんは生後一ヶ月になる前にやはり死亡しています。この赤ちゃんの死因については肺炎であることはすでに明らかになっています。以前にも述べたのですがトーニャのようにモスクワ動物園で誕生したホッキョクグマは非常に高い確率で繁殖に成功するわけで、二度も続けて赤ちゃんが産室内で死亡するということはあまり例がないような気がします。トーニャから生まれた赤ちゃんは何かの事情によって免疫性が弱いのではないかと思います。その「事情」というものについて私には思い当たるものがあるのですが、それについてはここでは繰り返しません。今年の年末に期待されているトーニャの三度目の出産について注目して見守りたいと思っています。

(資料)
Informationsdienst Wissenschaft (Jul.31 2018 - Eisbär Fritz war mit neuartigem Adenovirus infiziert, starb aber nicht daran)
Berliner Zeitung (Jul.31 2018 - Todesursache von Eisbär Fritz bleibt ein Rätsel)
TAG24 (Jul.31 2018 - Ratlose Wissenschaftler: Todesursache von Eisbär-Baby Fritz wird immer mysteriöser)

(過去関連投稿)
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by polarbearmaniac | 2018-08-01 02:00 | Polarbearology

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