街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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カナダ・ケベック州、サンフェリシアン原生動物園の新飼育展示場に登場したイレ、エサクバク、ミラクの三頭

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Photo(C)Zoo sauvage de Saint-Félicien

カナダ・ケペック州のサンフェリシアン原生動物園 (Zoo sauvage de Saint-Félicien) といえば、2009年の11月にエサクバク (Aisaqvaq /Aisakvak)から誕生したタイガとガヌークの双子兄弟の誕生とその成長過程を映像で見事に発信したことがいまだに鮮明に記憶されています。そういった同園ですが、それ以降は期待されている繁殖には成功しないままで現在に至っています。しかし同園では二年前から総額3250万カナダドル(約27億円 - そのうち2600万カナダドルはケベック州政府の補助金)を費やすホッキョクグマの新しい飼育展示場の建設が計画されて建設が進み、そしてそれが完成して先月7月には雄(オス)のイレ、雌(メス)のエサクバク、ミラクという三頭のホッキョクグマたちは新しい飼育展示場に登場したことが報じられています。
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Photo(C)Zoo sauvage de Saint-Félicien

1995年に建設された以前の飼育展示場と比較すると、今回の新しい飼育展示場は以前よりも10倍の6300㎡の面積があるそうです。プールの他に芝、土、岩があってホッキョクグマたちの日常の暮らしに刺激を与える設計となっているとのことで、秋には隣接した場所にさらに拡大された区画が加わるそうです。その区画が加わって総面積が6300㎡ となるということのようです。以下の写真をワンクリックしていただくと地元のニュース映像を見ることができます。
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下の映像はこの新しい飼育展示場に慣れるためにホッキョクグマたちを初めて出した際の映像です。まず最初の映像は雄(オス)のイレですね。



それから数日経過して雌(メス)のエサクバクとミラクが登場したのが下の映像です。



ホッキョクグマを飼育している世界中の動物園では飼育環境を改善するために次から次へと新しい飼育展示場が完成しています。日本はといえば、そういった歩みは非常に停滞しています。ホッキョクグマを飼育するということは他の動物の場合と比較すると、飼育環境という点で最も世界の趨勢と向き合っていかねばならないという特殊な事情があります。そういったことの理解が遅れているのが日本の動物園でしょう。ホッキョクグマの飼育に関して言うならば、それは日本国内を見ただけの内向きの姿勢ではいられないということなのです。6月に札幌の円山動物園を訪問した際に、ある来園者が "Polar Bear Museum" を見て「何故ホッキョクグマだけがこれだけ広い場所で悠々と暮らしているのか? 不公平ですね。」といった声を聞いたのですが、ホッキョクグマたちが「豪邸」で暮らしているというのは世界で名の通った動物園では普通のことであるわけで、円山動物園もその仲間入りをしたということにすぎません。本来の生息環境、気候から大きく異なる場所で飼育される動物は、より「豪邸」に住む資格があるのだと考えるべきでしょう。

(資料)
LaPresse.ca (Aug.11 2018 - Le Zoo sauvage de Saint-Félicien fait peau neuve)
Le Quotidien (Jul.16 2018 - Zoo de Saint-Félicien: plus de place pour les ours polaires)
Radio-Canada (Jul.15 2018 - Un environnement plus vaste pour les ours polaires de Saint-Félicien)

(過去関連投稿)
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by polarbearmaniac | 2018-08-13 03:00 | Polarbearology

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