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ロシア・ノヴォシビルスク動物園のロスチクの近況 ~ 不透明な今後の状況

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ロスチク Image:Татьяна Горячева

ロシア・西シベリアのノヴォシビルスク動物園で2015年の12月7日に当時8歳のゲルダお母さんから誕生した雄(オス)のロスチク (Ростик) は2017年3月に母親であるゲルダと別飼育になって以来、依然として同園に留まっています。彼が母親であるゲルダと引き離された最も大きな理由はモスクワ動物園が主導しているロシアの動物園が欧州のEAZAとの間でのホッキョクグマ繁殖計画に参加する形でロシア国内の個体を欧州に移動させるスキームの中にロスチクが入ったからです。それに基づいてノヴォシビルスク動物園はEAZAとモスクワ動物園からのロスチクの移動先に関する指示を待つためにロスチクを移動待機の状態に置いたわけです。もう一つの理由はゲルダがパートナーであるカイ(クラーシン)との間での次の繁殖を狙うためには3月頃までにロスチクを母親から引き離しておく必要があったためです。

ところがEAZAやモスクワ動物園からはその後ロスチクの移動先についてノヴォシビルスク動物園に対して何らの通知もなく、結局ロスチクの欧州への移動は宙に浮いたままとなり、そしてさらにその後にロスチクは欧州における繁殖計画には加わらない個体であることがほぼ明らかになったというのが現在までの経緯です。こういったロスチクを巡る状況の変化を私は大変興味を持って見つめてきたというのは事実です。誤解されることを覚悟で敢えて言えば、ロスチクは一種の「余剰個体」となってしまっているというのが現実です。彼が他園に移動しようとすればそれはロシア国内の動物園か、あるいは日本の動物園でしょう。円山動物園(札幌市)がその気になればロスチクの入手はかなりの確率で可能な状況です。ただしかし、事前に相当の熟慮が必要でしょう。その理由はロスチクの導入が日本のホッキョクグマ界にもたらす血統面での危惧にあるからです。私はロスチクの今後について非常に危惧の念を持っていますし彼に大いに同情しています。
さて、ここで最近のロスチクの様子を見ておきましょう。









昨日のウクライナのムィコラーイウ動物園に関する投稿の中で紹介したトプチィイ園長のインタビュー記事ではホッキョクグマ以外の動物についていろいろなことが語られていました。その内容の中に私には一つ気になることが含まれていました。EAZAはウクライナの動物園に欧州では「余剰」となった個体を移動させようという案が出ている可能性があります。血統面で繁殖に適さない個体を去勢させて欧州域外(つまりウクライナ)に移動させようという案が出ている可能性が示唆されているように私には感じられます。仮にそれが事実だとすると、それがホッキョクグマにまで及んでくる可能性がないわけではありません。欧州というのは徹底的に血統重視なのです。ですから欧州ではロスチクとリラという組み合わせはありますがゴーゴとシルカという組み合わせは行わないのです。私はノヴォシビルスク動物園がゲルダの本当の母親が誰なのかについてDNA鑑定などを用いて明らかにしたほいがよいと考えます。これについては「「ロシア血統の謎」に迫る(1) ~ ラスプーチン、ゲルダ、血統番号2893個体の三頭の謎を追う」、及び「ベルリン動物公園で誕生の赤ちゃんが死亡 ~ 名状し難き不安感」という投稿を御参照下さい。今までとは言い方を変えてみましょう。ゲルダは現在の血統情報では旭川のイワンの妹です。しかし私の仮説ではゲルダは男鹿の豪太の妹ではないかということです。ゲルダはイワン(旭川)と豪太(男鹿)のどちらに似ているでしょうか? イワンに似ているというのならば現在の血統情報が正しいということになります。豪太に似ているというのならば現在の血統情報は正しくないということです。

(過去関連投稿)
ロシア・ノヴォシビルスク動物園の「国際ホッキョクグマの日」 ~ ゲルダ親子を愛する「草の根のファン」
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のゲルダとロスチク、親子としての一つの「完成形」を達成か?
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のロスチクが母親ゲルダと別居となる ~ シルカもいた同園内の別の場所へ
ロシア・ノヴォシビルスク動物園の「二つの愛の心」 ~ "Два любящих сердца"
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のロスチクが母親ゲルダと別居となる ~ シルカもいた同園内の別の場所へ
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ロシア・ノヴォシビルスク動物園でゲルダとクラーシン(カイ)の同居が始まる ~ 従来の繫殖方針維持
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のロスチクの欧州への移動は2018年以降の可能性が高い?
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のホッキョクグマ飼育展示場にガラスフェンスが設置の予定 ~ 減じる魅力
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のロスチクの近況から、彼の今後の移動問題を考える
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のシロ園長がロスチクの移動問題について語る ~ 決断できぬ欧州側
ロシア・ノヴォシビルスク動物園の「カイとゲルダ」の最近の話題 ~ このペアの名前の由来の真相を考える
ロシア・ノヴォシビルスク動物園が開園70周年を祝う ~ ホッキョクグマ飼育展示場に人工雪製造機が導入
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のロスチクの待機続く ~ 移動先候補にフランスのセルザ動物園が急浮上か?
ロシア・ノヴォシビルスク動物園で本格的な冬の到来を待つホッキョクグマたち ~ 「美しさ」への視点
ロシア・ノヴォシビルスク動物園で二歳となったロスチク ~ 欧州行きの可能性は消えた模様
ロシア・ノヴォシビルスク動物園での2014年のゲルダとシルカの親子の思い出のページ
ロシア・ノヴォシビルスク動物園の動物たちの暮らしを記録し続ける常連の来園者に大きな賞賛の声
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のホッキョクグマたちの冬の日の光景 ~ 掴めぬロシア国内の繁殖計画の情報
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のロスチクがニジニ・ノヴゴロドのニジェゴロド動物園への移動が濃厚となる
ロシア、ニジニ・ノヴゴロドのニジェゴロド動物園に7月29日に登場するのはロスチクか?
by polarbearmaniac | 2018-08-16 03:00 | Polarbearology

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