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街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


by polarbearmaniac

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ワルシャワ、旧ゲットー地区を歩く(7)~ コルチャク最後の孤児院、そしてゲットー南端の風景

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日本では「コルチャック先生」と呼ばれているヤヌシュ・コルチャク (Janusz Korczak 1878~1942) と彼が院長を務めていたユダヤ人孤児のための孤児院である「ドム・シェロト(孤児たちの家)」については「ワルシャワ、旧ゲットー地区を歩く(3)」で述べた通りであるが、その孤児院はゲットー設置の際に二度もゲットー内の別の場所に移動を余儀なくされ最終的にはシェンナ通り16番地/シリスカ通り9番地 (Sienna 16 / Śliska 9) に移転した。この場所は戦後にできたスターリン建築の文化科学宮殿の敷地の一部に該当する。そこに立っているのがこの記念像である。
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1942年8月5日(あるいは6日)にコルチャクはこの場所から約200人の孤児院の子供たちとともにゲットー内をウムシュラークプラッツ (Umschlagplatz - 積替場/集荷場)へと行進し、そこから貨車でトレブリンカ絶滅収容所に運ばれたのである。地下組織はコルチャクに対して安全な場所の提供などの便宜を申し出ていたがコルチャクはそれを断り子供たちと運命を共にする道を選んだのである。
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コルチャクと孤児院の子供たちのウムシュラークプラッツ (Umschlagplatz - 積替場/集荷場)までの行進を実際に目撃したゲットー内のユダヤ人は何人もいたそうである。コルチャクと子供たちの歩いた経路を特定する作業も行われているそうで大部分はそういった研究で判明しているそうである。
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それによるとまずシェンナ通りを彼らは歩いたらしい。
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この通りの古い建物である。
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この写真の左側に写っているのが上のシェンナ通りの古い建物、右のクリーム色の建物が私の泊まっているメルキュールホテルである。
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これはシェンナ通りの古い建物とメルキュールホテルの間の部分だが実はここにゲットーの壁があった。シェンナ通りの古い建物はゲットー内(左)、メルキュールホテルはゲットーの外(右)である。
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つまりこのシェンナ通りの古い建物(この写真はメルキュールホテル側)はゲットー内でありこの建物に詰め込まれていたユダヤ人たちはコルチャクと子供たちのウムシュラークプラッツ (Umschlagplatz) までの行進を目撃した可能性がある。ただしそういったユダヤ人たちもすぐ後でトレブリンカ絶滅収容所に移送されただろう。
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ここからヤン・パヴェウ二世大通りを挟んで先日訪れたゲットーの残存している壁を換算600mmで撮影してみた。生々しい。
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さて、それから彼らはシリスカ通りに入ったらしい。
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この通りにはもう古い建物は残っていない。
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ヤン・パヴェウ二世大通りを渡って反対側にさらに伸びているシリスカ通りを歩いてみる。
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そのシリスカ通りの51番地に現存しているのがかつてのベルソンズ・バウマンズ子供病院の建物である。かつてユダヤ人子供病院として1878年に完成した建物だそうである。
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コルチャクは第一次大戦以前に小児科医として長年ここで働いていたそうである。
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1944年のワルシャワ蜂起の際にはこの病院は蜂起軍兵士の病院としても機能していたそうである。
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シェンナ通り側に回ってみる。
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これがシェンナ通り側から見た子供病院である。
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自分の宿泊しているホテルのすぐそばが歴史の重要な一コマとなっていた。感慨深い夕方の散策だった。
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現在のこの周辺の地図。
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そしてゲットーの存在していた時代の地図である。

SONY DSC-RX10M4
(Sep.16 2018@ポーランド、ワルシャワ)

(資料)
記憶するワルシャワ : 抵抗・蜂起とユダヤ人援助組織Zegota「ジェゴタ」
ワルシャワから : 記憶の案内書 : トレブリンカ、ティコチン、パルミルィ、プルシュクフへ
by polarbearmaniac | 2018-09-17 06:45 | 異国旅日記

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