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街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


by polarbearmaniac

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ワルシャワのショパン博物館 (Muzeum Fryderyka Chopina w Warszawie) を訪問して

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ワルシャワにまた夏が到来したような気温と天気である。今日はショパン博物館 (Muzeum Fryderyka Chopina w Warszawie) を訪問することにした。
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ここは私が前回2009年にワルシャワに来た時には改装工事とかで閉館していた。いったいどのような展示になったのかを知りたくてやってきた。
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入り口を入るとアール・ヌーヴォー調である。
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フレデリック・ショパン (Fryderyk Chopin/Frédéric Chopin - 1810~1849) が彼の晩年に使用したピアノが展示されている。
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プレイエルのピアノである。
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さて、このショパン博物館ではショパンがきれいに清書した自筆譜は何枚も展示されているものの書き直しや訂正のある自筆譜は上のたった二枚だけの展示だった。ショパンという作曲家は実は一度書いたものを何度も修正や訂正をほどこした作曲家なのである。その点ではモーツァルトやシューベルトなどと違ってむしろこの点ではショパンはベートーヴェンに近いのである。ショパンというと何かいつもインスピレーションにまかせてどんどんと作曲を進めていったという印象を持つが、実際はそうではなく推敲を重ねながら創作していったという面がかなりあるのだ(こういったことは日本語で書かれたショパンに関する本にはほとんど記述されていない)。ところがこのショパン博物館の展示を見ていてもそういったことは全く教えてはくれない。きれいに清書された自筆譜を多く展示すれば、実は彼が作曲の過程で推敲や訂正を多く行ったという事実があるにもかかわらず、それとは全く逆の印象を訪問者に与える可能性は大きい。つまりこの博物館はショパンの創作の過程とその独自の音楽の秘密といったものの実像を突っ込んで訪問者に提示しようなどという意思はないということである。こういうことを「薄っぺらい展示」というのである。
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ショパンの書いた手紙などを見ると基本的には彼は字の巧い書き手である。ということは、彼はその早熟な音楽的才能と比較すると言語的能力はさほどでもなかったということを意味しているように考えられる。言語的能力に優れた人間の多くは非常に早い年齢から書に親しんだりする。ところがそういった人間の多くは大人になっても字が下手な場合が多い。反対に字の巧い人間は言語的能力が比較的高くない場合が多いのである。「あなたは字がお上手ですね。」と言われたら「あなたはあまり言語的能力は高くはないですね。」と言われたことと同じだと考えたほうがよいのである。
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さて、こうして言語的能力はあまり優れていなかったらしいショパンだが、その持っている音楽的才能は研ぎ澄まされたスラヴ的感性が土台にあったと私は考えている。そしてショパンはニヒリストであったという故遠山一行氏の意見に私は賛成である。そしてショパンは彼自身の内面を容易には外に表さない人間であったとも思う。
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私が今回初めて見たのはショパンがクララ・ヴィーク(後のローベルト・シューマンの夫人)にあてて書いた献呈の辞である。
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1836年9月のものらしい。この頃クララ・ヴィークはローベルト・シューマンと恋愛関係にあったはずである。ショパンとクララとの間のことを考えてみることも意外におもしろいかもしれない。
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さてこのショパン博物館、私にはちっともおもしろくなかった。私はショパンに興味がないどころではなく数多くの名ピアニストの弾くショパンの作品の演奏も実演で聞いてきたし今まで欧米で出版されたショパンに関する本をかなり読んできた。そういった身で感じることは、このワルシャワのショパン博物館は彼の音楽の秘密を解くせめてものヒントすら訪問者に提示しようなどという気はまるでなく、ごく少ない量の展示物を単純に並べただけといったものである。実につまらない。ここに来たのは時間の無駄だった。
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新世界 (ノヴィ・シフィャト - Nowy Świat) 通りに出て聖十字架教会にやってきた。
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この教会にはショパンの心臓がおさめられている。
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この中にあるらしい。
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ショパンは20歳の時にポーランド(ワルシャワ)を去った。その理由はあくまで政治的なものであり彼の内的動機によるものではないというのが実相である。

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(Sep.18 2018@ポーランド、ワルシャワ)


Vladimir Horowitz plays Mazurka in b minor Op.33 No. 4 by Frédéric Chopin


Alfred Cortot plays Nocturne Op.55 No 2 by Frédéric Chopin
by polarbearmaniac | 2018-09-19 06:45 | 異国旅日記

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