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街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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ロシア、ニジニ・ノヴゴロドのニジェゴロド・リンポポ動物園で本格的な冬の到来を待つシモーナ

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シモーナ (Белая медведица Симона в Нижегородском зоопарке "Лимпопо")(2018年10月14日撮影 於 ロシア、ニジニ・ノヴゴロド、ニジェゴロド・リンポポ動物園)

モスクワから東に約400kmの距離に位置する人口130万人の都市であるニジニ・ノヴゴロドにあるニジェゴロド・リンポポ動物園 (Нижегородский зоопарк "Лимпопо") に一頭で暮らしているのは間もなく24歳になる雌(メス)のホッキョクグマであるシモーナです。このシモーナは札幌のララとたった一週間しか誕生日が違うだけで年齢は同じです。シモーナの誕生(1994年11月27日)はララの誕生(1994年11月20日)から一週間後のことでした。彼女が誕生したのはサンクトペテルブルクのレニングラード動物園で母親はあの有名なウスラーダです。父親はもちろん故メンシコフです。ということは今更言うまでもなく彼女は仙台のラダゴル(カイ)、静岡のピョートル(ロッシー)の姉に当たるわけです。一週間しか誕生日が異ならないシモーナと札幌のララはどちらも後年「偉大なる母」となったわけでした。そのシモーナの第一子が旭川のイワンということです。イワンは双子の一頭として生まれていますが、その兄弟は中国に移動後の正確な消息 (whereabout) は不明です。
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シモーナ (Белая медведица Симона/Eisbärin Simona)
(2018年10月14日撮影 於 ロシア、ニジニ・ノヴゴロド、ニジェゴロド・リンポポ動物園)

さて、そのシモーナが長く暮らしたのはモスクワ動物園であり、彼女はそこで野生出身の雄(オス)のウランゲリとペアを組んで繁殖に素晴らしい成果を挙げました。シモーナがいったい何頭の子供たちの育児に成功したかはモスクワ動物園が行った血統登録情報には謎の部分がいくつかあり、そして同時に混乱や誤りもあるために正確には言えませんが現在では私は13頭が正解であると考えています(一番に問題となるのは彼女が2007年暮れに産んだのが双子だったのか、それとも一頭だったのかについてなのですが、以前にもTVニュース映像でご紹介しています通りこれは一頭が正しいのです。そうしますと13頭が正解となるはずです)。母親がウスラーダ、祖母が故アンデルマというまさにロシアを代表する「名家」の血統に生まれたシモーナが順調に繁殖に成功したためにロシアのホッキョクグマ界における血統の偏りを防ぐためにモスクワ動物園は彼女を繁殖からは引退させて2017年4月頃に同園のヴォロコラムスク附属保護施設に移動させてしまったわけでした。このヴォロコラムスク附属保護施設というのは原則的に一般には非公開の施設であり私はシモーナにもう会えなくなってしまったことを非常に残念に思ったというわけです。しかし彼女は今年2018年の7月にニジニ・ノヴゴロドにあるニジェゴロド・リンポポ動物園に姿を現し、そして私は先月の10月に彼女に会いにニジニ・ノヴゴロドにまで出かけて行ったというわけでした。
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シモーナ((2018年10月14日撮影 於 ニジェゴロド・リンポポ動物園)

さて、このシモーナがニジェゴロド・リンポポ動物園に来園してから三ヶ月になっていますが現在この動物園で最も人気のある動物となっており同園は来園者からの質問に答えるという形でその彼女の最近の様子について述べています。その内容によりますとシモーナは来園者との「コミュニケーション」を好んでいるそうでプールで泳ぐときにはそういった来園者の立っているガラス越しの場所に接近していくそうです(私が行った時には彼女はプールには入りませんでしたが)。シモーナは「朝食」を早朝に食べるそうで、そういった間に担当者は飼育展示場の掃除を行うようです。それが終わると開園時間となる」となるそうです。シモーナの一日の給餌は肉、魚、野菜、果物、パンなどに加えて蜂蜜やジャムも与えられるそうです。彼女がこの動物園に来園して三ヶ月の間に体重は21kg 増加しているそうです。おそらくこれは彼女が今まで繁殖に挑戦していたときに出産に備えて多くの量の食糧を口にして体重を増やしていたという習慣的なものが繁殖から引退してもまだ残っているからだろうと思います。これはレニングラード動物園のウスラーダについても同じような習慣があることをレニングラード動物園の担当者の方が述べていたのを読んだことがあります。ニジェゴロド・リンポポ動物ではシモーナの食事については細心の注意を払っているそうです。同園はホッキョクグマの飼育についてはロシア動物園・水族館協会が2016年に新しく作成・採択された「ホッキョクグマ飼育ガイドライン ("МЕТОДИЧЕСКИЕ РЕКОМЕНДАЦИИ по содержанию белых медведей в условиях зоопарков России")」(pdf) に忠実に沿って行っているそうで、これからの冬に備えてホッキョクグマの飼育展示場も小さな改良をいくつか行う予定であり、少しでも極北の自然に近い形にしていきたいと抱負を述べています。冬はホッキョクグマの季節なので是非シモーナに会いに来てほしいと同園は市民に呼びかけています。
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シモーナ((2018年10月14日撮影 於 ニジェゴロド・リンポポ動物園)

さて、同園がシモーナの近況について語っている記事を読みますと、以前に報道されていたようなシモーナのさらなる他園への移動は少なくとも近いうちにはない模様です。幾分ホッとした気持ちになりました。しかし私はやはりノヴォシビルスク動物園のロスチクはこのニジェゴロド・リンポポ動物園に移動してくるだろうという気がします。ただし近日中ということは考えにくくなったとも思っています。ロシアの動物園におけるホッキョクグマ飼育に関する近年の考え方については是非「モスクワ動物園が、今後ロシア国内で誕生の個体はロシア国内と欧州だけで飼育の意向を表明」、及び「モスクワ動物園のシモーナがヴォロコラムスク附属保護施設に移る ~ 血統調整で繁殖の舞台から引退か?」という投稿を御参照下さい。また、シモーナの母であるウスラーダ、そしてその娘であるシモーナとの性格的な相違点については「理性のウスラーダと情愛のシモーナ ~ 偉大なるホッキョクグマ母娘の性格の違い」という投稿を御参照下さい。

(資料)
Зоопарк «Лимпопо» (Oct.26 2018 - Белая медведица в «Лимпопо» - как живется Симоне в новом доме?)
Открытый Нижний (Oct.26 2018 - Белая медведица Симона за три месяца жизни в «Лимпопо» набрала 21 килограмм веса)

(過去関連投稿)
モスクワ動物園が、今後ロシア国内で誕生の個体はロシア国内と欧州だけで飼育の意向を表明
モスクワ動物園のシモーナがヴォロコラムスク附属保護施設に移る ~ 血統調整で繁殖の舞台から引退か?
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のロスチクがニジニ・ノヴゴロドのニジェゴロド動物園への移動が濃厚となる
モスクワ動物園のアクーロヴァ園長が語る飼育下のホッキョクグマの再配置方針 ~ ムルマが他園に移動か?
ロシア、ニジニ・ノヴゴロドのニジェゴロド動物園に7月29日に登場するのはロスチクか?
モスクワ動物園のシモーナがニジニ・ノヴゴロドのニジェゴロド動物園 (リンポポ動物園)に到着!
ロシア、ニジニ・ノヴゴロドのニジェゴロド・リンポポ動物園でシモーナが一般公開となる
ロシア、ニジニ・ノヴゴロドのニジェゴロド・リンポポ動物園にさらに二頭の個体が来園か?
ロシア、ニジニ・ノヴゴロドのニジェゴロド・リンポポ動物園のシモーナの近況とロシアのホッキョクグマ界
(*2018年10月 ニジェゴロド・リンポポ動物園訪問記)
・ニジェゴロド・リンポポ動物園でシモーナと三年振りの再会
・シモーナ (Белая медведица Симона)、世界最高の母親としての素顔
・ニジェゴロド・リンポポ動物園訪問二日目 ~ 矛盾を内包したシモーナの来園
by polarbearmaniac | 2018-11-13 03:00 | Polarbearology

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