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街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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ベルリン動物園のヴァロージャがオランダ・レネンのアウヴェハンス動物園へ ~ 欧州の苦渋の選択

ベルリン動物園のヴァロージャがオランダ・レネンのアウヴェハンス動物園へ ~ 欧州の苦渋の選択_a0151913_21295138.jpg
ヴァロージャ (Eisbär Wolodja/Белый медведь Володя)
(2013年12月29日撮影 於 ベルリン動物公園)

欧州のホッキョクグマ界における深刻な雄(オス)不足の苦しさを物語るニュースが入ってきました。旧東ベルリンのベルリン動物公園 (Tierpark Berlin)で飼育されていたもののパートナーであるトーニャの出産準備のために旧西ベルリンのベルリン動物園 (Zoo Berlin/Der Zoologische Garten Berlin) に暫定的に移動していた7歳の雄(オス)のヴァロージャ (Володя/Wolodja) が昨日水曜日の夜にオランダ・レネンのアウヴェハンス動物園に到着したとのことです。彼のオランダ行きはもちろん繁殖目的であり、アウヴェハンス動物園における彼のパートナーは25歳のフギース (フヒース - Huggies)と17歳のフリーダムということになります。いずれも欧州屈指の繁殖実績のある雌(メス)のホッキョクグマであり、当ブログでも今まで何回も投稿してきたと同時に私もオランダでつぶささに母親としてその育児中の姿を見てきた二頭のホッキョクグマです。フギースがどのようなホッキョクグマであるかについては「フギースお母さんの性格と子育て」、フリーダムがどのような母親であるかについては「フリーダム、偉大なる母のその素顔」というそれぞれの投稿を御参照下さい。
ベルリン動物園のヴァロージャがオランダ・レネンのアウヴェハンス動物園へ ~ 欧州の苦渋の選択_a0151913_21393595.jpg
フギース (Eisbärin Huggies)
(2012年3月23日撮影 於 オランダ・レネン、アウヴェハンス動物園)
ベルリン動物園のヴァロージャがオランダ・レネンのアウヴェハンス動物園へ ~ 欧州の苦渋の選択_a0151913_2141479.jpg
フリーダム (Eisbärin Freedom)
(2015年5月3日撮影 於 オランダ・レネン、アウヴェハンス動物園)

本来でしたら15~20歳くらいの雄(オス)がフギースやフリーダムのパートナーとなるべきわけですが、要するにその年齢帯で繁殖実績のあり、そして血統的に適合する雄(オス)が欧州ではほとんど見当たらなくなってしまったというわけで、そこで白羽の矢が立ったのがシモーナがモスクワ動物園で2011年11月に産んだ三つ子の一頭である「アンデルマ/ウスラーダ系(カザン血統)」の、そしてまだ7歳のヴァロージャだったというわけです。当ブログのページの右側下の「以前の記事」のところで2012年3月のところをクリックしていただくと、当時の私の行動がわかります。私は3月中旬にモスクワ動物園でシモーナと三つ子の赤ちゃんたちに会い、そして下旬にはそのままオランダに行ってアウヴェハンス動物園でフギースと双子の赤ちゃんたちに会っており、そして再びオランダからロシアに戻ってまたモスクワ動物園でシモーナと三つ子の赤ちゃんたちに会っています。あの時の三つ子のうちの一頭であるヴァロージャが、今度はその当時すでに「偉大なる母」となっていたフギース(そしてフリーダム)とペアを組むことになるとは想像もできませんでした。

ヴァロージャのオランダ滞在は2~3年となる模様です。欧州の雄(オス)不足が深刻であることを示すニュースです。



(*追記)オランダの報道によりますとヴァロージャは水曜日の午後6時にアウヴェハンス動物園に到着したそうで、早ければ金曜日の午後に同園の飼育展示場に登場する可能性があるそうです。そして仮に今年の繁殖シーズンにフギースやフリーダムが出産するようなことがあれば冬の前には他園に移動する可能性が高いとアウヴェハンス動物園の担当者が語っているようです。つまり彼はベルリンにはすぐには帰還せずに、今度は欧州域内でパートナーがいなくなってしまった複数の雌(メス)のホッキョクグマのパートナーとなるべく、さらに移動することになるようです。

(資料)
Tierpark Berlin (Jan.31 2019 - Umzug mit Mission)
Berliner Morgenpost (Jan.31 2019 - Eisbär-Papa Wolodja hat Berlin verlassen)
B.Z. Berlin (Jan.31 2019 - Eisbär-Papa Wolodja muss in die Niederlande umziehen)
(*追加資料)
De Telegraaf (Jan.31 2019 - ’Rustige’ ijsbeer Wolodja veilig aangekomen in Nederland)

(過去関連投稿)
(*2013年12月 ベルリン動物公園訪問記)
・ベルリン動物公園 (Tierpark Berlin) を訪問 ~ アイカ、トーニャ、ヴァロージャの奇妙な三頭同居
・33歳になったアイカ、その誇り高きプライド ~ 心配される足腰の衰え
・ヴァロージャ (Володя) の素顔 ~ シモーナお母さんの三つ子の一頭は「慎重派ちゃん」?
・トーニャの素顔、そしてその血統の謎に迫る ~ 北京に負けたベルリン
(*アウヴェハンス動物園訪問記)
(2011年5月)
・遂にレネン、アウヴェハンス動物園に到着!
・シークーとセシ、その伸びやかさと無邪気さの大きな魅力
・フリーダムを称える
(2012年3月)
・レネン、アウヴェハンス動物園でホッキョクグマたちに御挨拶
・アウヴェハンス動物園のフギースお母さんの双子の性格
・フギースお母さんの性格と子育て
・フリーダムお母さんと1歳になったシークーとセシの双子
(2015年5月)
・フリーダムお母さんお久しぶりです、二頭の赤ちゃん、初めまして! ~ レネン、アウヴェハンス動物園へ
・欧州屈指の偉大なる母フギースは今何を考える?
・アウヴェハンス動物園二日目 ~ 三世代同居の問題点
・アウヴェハンス動物園の双子の赤ちゃんの性格と素顔 ~ 「冒険家ちゃん」 と 「甘えっ子ちゃん」
・フリーダム、偉大なる母のその素顔 ~ 「細心さ」から「鷹揚さ」を取り込み、咲かせた大輪の花
by polarbearmaniac | 2019-01-31 21:30 | Polarbearology

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