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街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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ムルマ (Белая медведица Мурма)、その受動的生き方の美学

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この雌(メス)のムルマは野生孤児出身で現在28歳である。彼女は男鹿水族館の豪太の母であることで日本のホッキョクグマ界とのつながりがある。
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2000年代から2010年代にかけてこのムルマはシモーナと共にモスクワ動物園の二枚看板として繁殖に成功してきた。彼女はモスクワ動物園において8頭の出産と育児に成功しているから札幌のララと同数である。ただし出産(成功)回数ではムルマは7回、ララは6回である。ララは双子を二回出産しているがムルマは一回だからである。そのムルマの2007年の双子の出産に関しては誕生したのはどの個体なのかについて血統情報は周辺の客観情報とは矛盾した情報を記載してきた。私の説ではラスプーチン(南仏アンティーブ、マリンランド)とゲルダ(ノヴォシビルスク動物園)であり現在の血統情報ではラスプーチンと中国・大連の個体となっている。その他にもムルマが2011年に産んだ一頭の雄(オス)の成長の経緯に不明な点が多く、この個体はノヴォシビルスク動物園を経てやはり中国に行っている。
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ムルマの子供たちには共通した性格や特徴といったものを見いたすことは難しい。これがウスラーダとその子供たちやシモーナとその子供たちなどの場合とは大きく違う点である。ムルマの8頭の子供たちのうち最初の二頭を除き、その他は全て彼女がウムカ(ウンタイ)をパートナーとして繁殖に成功した個体である。このウムカ(ウンタイ)は2013年の6月にこの世を去っているが、私が実際に彼に会って受けた印象では際立って個性的というホッキョクグマではなかった。しかし体が柔らかくて運動神経の発達した個体だった。しかしウランゲリほどの存在感はなかったのである。そして豪太もラスプーチンも際立った個性や存在感を発散する個体ではない。そしてそれは彼らの母親であるムルマ自身も同様なのである。だたし私は釧路市動物園のミルクの運動神経は彼女の祖父であるウムカ(ウンタイ)から引き継いでいるような気がする。
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このムルマは「筋の一本通ったホッキョクグマ」という感じはあまりしない。彼女は周囲の状況に流されやすいタイプの個体であると私は感じている。性格的にムルマはそう強い特徴を持つホッキョクグマではない。彼女は受動的な要素を多く内包したホッキョクグマでると私は思っている。そういった点で言えばシモーナと比較してみるとムルマへの評価は高くなりにくいのである。そしてそれはシモーナの子供たちとムルマの子供たちを比較してみても同様のことが言える。
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ただし私がムルマを見ていて素晴らしいと思うのは、その年齢と比較して姿が若々しいことである。老け込んだホッキョクグマという感じはまるでしない。


モスクワ動物園のムルマの表情 - Murma the Polar Bear (Белая медведица Мурма), her profile at Moscow Zoo, Russia, on Aug.7 2019.
ムルマ (Белая медведица Мурма)、その受動的生き方の美学_a0151913_225921.jpg
ともかく、このムルマが真に偉大なホッキョクグマであるかどうかは彼女の子供たちのこれからの活躍によってフィードバックされてくるものが多いかどうかだろうと思われる。
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ムルマの長寿を期待したい。
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ムルマ (Белая медведица Мурма)、その受動的生き方の美学_a0151913_2525717.jpg
Olympus OM-D E-M1 Mark II
LEICA DG VARIO-ELMARIT 50-200mm / F2.8-4.0 ASPH.
M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO
Panasonic HC-W870M
(Aug.7 2019@モスクワ動物園)

(過去関連投稿)
モスクワ動物園のムルマ(1) ~ 巨体の醸し出す貫禄
モスクワ動物園のムルマ(2) ~ 鷹揚で懐の深い母性
モスクワ動物園のムルマ(3) ~ 初産、そして訪れた危機
モスクワ動物園のムルマ(4) ~ 危機の克服、そして豪太の誕生
モスクワ動物園のムルマ(5) ~ 豪太の日本への旅立ち
豪太(男鹿水族館) のモスクワ動物園での初公開日の映像
モスクワ動物園のムルマお母さんと息子の豪太との関係 ~ ミルクの運動神経は豪太の父のウムカ譲りか?
モスクワ動物園のウムカ (ウンタイ – 男鹿水族館・豪太の父) 闘病生活の後、すでに死亡の模様
モスクワ動物園のムルマの2003年の繁殖挑戦を振り返る ~ 5月の交尾で出産に成功したムルマとララ
モスクワ動物園五日目 ~ ムルマ(豪太の母)とウランゲリ(イワンの父)はやはり相性が悪い?
ムルマ(Белая медведица Мурма)の置かれた苦境 ~ ウランゲリとの微妙な関係
ムルマ (Белая медведица Мурма)、快適に過ごさせてやりたいその余生
モスクワ動物園でホッキョクグマの赤ちゃんが1月に誕生した模様 ~ 27歳のムルマに咲いた最後の花
モスクワ動物園のムルマが雪の上に登場 ~ 出産の有無を明らかにしない同園と偉大な一つの時代の終わり
ムルマ (Белая медведица Мурма)、その自然体の素顔
モスクワ動物園のムルマ (Белая медведица Мурма) の初夏の日の憂鬱
ムルマ (Белая медведица Мурма)、その「月見草」としての存在を考える
モスクワ動物園の女性スタッフが突進してきたムルマを冷静にホウキで追い払う
by polarbearmaniac | 2019-08-08 05:00 | 異国旅日記

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