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街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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ブラジル・サンパウロ水族館のピリグリムとオーロラの近況 ~ はたして本当にカザン市動物園に帰還するか?

ブラジル・サンパウロ水族館のピリグリムとオーロラの近況 ~ はたして本当にカザン市動物園に帰還するか?_a0151913_3122616.jpg
オーロラ(奥)とピリグリム(手前) Photo:Aquário de São Paulo

世界の飼育下のホッキョクグマたちのなかで最も奥歯に何かが挟まったような感じの存在なのが南米ブラジルのサンパウロ水族館 (Aquário de São Paulo)で飼育されている雄(オス)のピリグリム (Пилигрим) と雌(メス)のオーロラ (Аврора) という共に9歳の二頭です。 ピリグリムは昨日も触れたカザン市動物園のマレイシュカの息子でありオーロラは野生孤児出身で現在クラスノヤルスク動物園で飼育されているオーロラ(本名ヴィクトリア)と双子姉妹です。先日も申し上げましたがロシアにおける野生出身の個体は2000年あたりを境にしてロシア国外には出られないことになっているのですが、このサンパウロ水族館のオーロラはその唯一の例外となってしまっているわけです。ピリグリムはカザン市動物園におけるスペースの問題でイジェフスク動物園に移動し、そしてオーロラは当初保護されていたクラスノヤルスク動物園からイジェフスク動物園に移動したわけですが、ロシアの自然管理局 (RPN - Росприроднадзор) の指定によって本来はカザン市動物園で飼育されるべきものをやはり同園のスペースも問題でカザン市動物園はオーロラをイジェフスク動物園に預けることとなったためにオーロラはクラスノヤルスク動物園から直接イジェフスク動物園に移動したわけです。さて、ところがカザン市動物園はイジェフスク動物園に対してこの二頭をブラジルのサンパウロ水族館にローンで移動させるように要請したためイジェフスク動物園はそれに従ったというわけです。野生孤児出身のオーロラがロシア国外に出たのは明らかに脱法(or 違法)行為によるもので、そのことが発覚した後になってカザン市動物園はあわてて「ピリグリムとオーロラはロシア(カザン市動物園)に戻す」ということを公に表明せねばならない状態に追い込まれたわけでした。この一連の経緯は非常に複雑であり真相は依然として闇に包まれているのですが、過去関連投稿の(ピリグリムとオーロラ関連)をお読みいただければかなりのことが理解していただけるだろうと思います。ここで比較的最近のサンパウロ水族館におけるピリグリムとオーロラの様子を御紹介しておきます。





さて、このサンパウロ水族館というのは現在大阪の天王寺動物園で飼育胃されているシルカを入手しようとしてノヴォシビルスク動物園と交渉を重ね、一時はシルカ獲得の最有力候補となったわけですがモスクワ動物園からシルカの売却先の動物園にはシルカのパートナーとなり得る個体がいなければならない(つまりそうでないと個体移動が繁殖計画に寄与するための移動とはならない)という条件をノヴォシビルスク動物園に示したためにシルカのパートナーとなり得る雄(オス)の個体の入手の目途が付かなかったサンパウロ動物園はシルカ獲得競争から脱落したわけでした。さて、ここでまたピリグリムとオーロラの最も最新の様子を御紹介します。以下の写真をワンクリックしていただき開いたページで映像をご覧下さい。
ブラジル・サンパウロ水族館のピリグリムとオーロラの近況 ~ はたして本当にカザン市動物園に帰還するか?_a0151913_132279.jpg
オーロラとピリグリム Photo(C)Aquário de São Paulo

さて、サンパウロ水族館はノヴォシビルスク動物園のシルカの獲得の挫折後もホッキョクグマ入手への強い意欲をあきらめずに間髪を入れずに次に触手を伸ばしたのがカザン市動物園であり、カザン市動物園はサンパウロ水族館の希望を聞き入れて2014年12月にピリグリムとオーロラを同水族館に移動させることにしたわけですがローンなのか売却なのかを公式には一切明らかにしませんでした。サンパウロ水族館もこの二頭の飼育については永続的なものか期間限定のものなのかを現在に至るまで公式には一切明らかにしていません。カザン市動物園とサンパウロ水族館との関係には極めて不透明な事情が存在していることだけは間違いないでしょう。しかし昨日の投稿でも触れましたようにカザン市動物園が新しい動物園として来年オープンするとすれば、現在サンパウロ水族館に暮らすピリグリムとオーロラはカザンの新動物園の新飼育展示場に本来ならば戻ってくるはずです。果たして本当にそうなるかどうかを注目して見守りたいと思います。仮にそうなるとすればサンパウロ水族館にはホッキョクグマ不在となりますので同水族館は今度はまたノヴォシビルスク動物園と交渉してノルジとシャイナのどちらか一頭の入手を狙ってくることは確実でしょう。ここでまた比較的最近のピリグリムとオーロラの姿を御紹介しておきましょう。





一般的に(日本の)動物園というものは海外から来日した個体についてその経緯を我々ファンに語る時には事実とは異なることを話す場合が非常に多いわけです。それはその(日本の)動物園が我々ファンにウソを話しているのではなく海外の動物園が伝えてきたことをそのまま私たちファンに話しているからです。要するに(海外の)動物園は事実ではない話を送り出し先の(日本の)動物園に話す場合が多く、受け入れ側の(日本の)動物園はこれを事実として受け入れる以外に検証のしようがないからです。たとえばレニングラード動物園が日本平動物園に語ったロッシーの話とか、あるいはひょっとしてノヴォシビルスク動物園が天王寺動物園に語った(らしい)シルカ来日の話とかについては真相とは異なるということを当ブログでは各種の検証の結果としてご紹介してきました。ホッキョクグマに関して当ブログは各種の現地情報から真相を追求しようと絶えず努力しているつもりです。たとえばある日本のファンの方はノヴォシビルスク動物園の方から直接聞いたロスチクに関する情報を最近私に伝えてくれました。ところが私が7月に得た情報とはそれは全く異なるものでした。情報ソースは申し上げられませんがロスチクの所有権はロスチクを購入した動物園(A)からすでに第三者(B)に移転されているというのが私の得た有力な情報です。「個体の所有権の移転」と「個体の移動」は同時に生じるとは限りません。たとえばAという会社がXというものを購入した後に自分の資産にはせずにAの子会社であるBに権利を移転してもXは依然としてAの占有(権)のもとにあるというケースはザラにある話です。ということでロスチクが現在どこにいるかということと権利の第三者への移転との関係は別の問題なのですが、この情報の裏付けを得るのは容易ではありません。以下の二つのケースが想定できます。

1.ノヴォシビルスク動物園が中国の動物園(A)に売却したロスチク(X)はさらに所有権の移転が行われて別の動物園(B)の所有となっており(X)はすでに(A)から(B)へと飼育場所が移動している。

2.ノヴォシビルスク動物園が中国の動物園(A)に売却したロスチク(X)はさらに所有権の移転が行われて別の動物園(B)の所有となっているものの依然として(A)が占有している。

上のうち2が真相であるならば日本のファンの方が得た情報と私の得た情報は結果的には矛盾しません。しかし1が真相であるならば(B)はどの動物園なのかが問題となります。私の現時点での感触では2が正しいように思いますが裏付けのある根拠がありません。そもそもロスチクが本当に中国に行ったのかどうかについても確証がありません。彼がまだロシア国内にいるという可能性はあり得なくはないですが、しかしそうなると彼は巡回動物園以外の場所を想定することは難しくなり、その可能性は低いと思われます。ただし言えることは、ノヴォシビルスク動物園はロスチクに関する真相を我々ファンに対して全部は語っていないだろうと考えるほうが正しいということです。カザン市動物園がピリグリムとオーロラのブラジル行きの本当の経緯とロシアへの帰還の見通しを我々には正確には語らないことと根本的に同じなのです。そこには何か共通した「後ろめたい事情」の存在を否定することは難しいでしょう。

(資料)
Aquário de São Paulo (Urso Polar)

(過去関連投稿)
(*以下、ピリグリム関連)
ロシア・カザン市動物園でホッキョクグマの赤ちゃん誕生!!
ロシア・カザン市動物園で生まれた赤ちゃん(続報)動画公開!
モスクワ動物園、ロシア国内の幼少ホッキョクグマの売却一元管理を開始か?
ロシア・ウドムルト共和国のイジェフスク動物園 ~ 「さすらいのホッキョクグマ」ピムの安住の地となるか
モスクワ動物園がカザン市動物園に1頭のホッキョクグマを贈与 ~ 帰属意識と権利関係の狭間で
(*以下、オーロラ関連)
ロシア極北・タイミール半島でホッキョクグマの2頭の赤ちゃんを保護!
ロシア・タイミール半島で保護された赤ちゃん孤児の続報
ロシア・クラスノヤルスク動物園の2頭の赤ちゃん孤児、同市に留まり同居の継続が決定!
ロシア・クラスノヤルスク動物園で暮らすタイミール半島で保護された双子の孤児の名前が決まる
ロシア・クラスノヤルスク動物園で保護の双子の孤児に別れの時来る ~ オーロラがイジェフスク動物園へ
(*以下、ピリグリムとオーロラ関連)
ロシア・ウドムルト共和国イジェフスク動物園でピリグリムとオーロラが「結婚式」 ~ 新しい繁殖基地へ
ロシア・イジェフスク動物園のピリグリムとオーロラ、同園から忽然と姿を消す ~ ブラジル行きの真相と深層
ブラジル・サンパウロ水族館に忽然と姿を現したロシア・イジェフスク動物園のピリグリムとオーロラ
ロシア・カザン市動物園がブラジル・サンパウロ水族館のピリグリムとオーロラの売却否定に追い込まれる
ブラジル・サンパウロ水族館のピリグリムとオーロラの近況 ~ シルカ購入を狙っていた同水族館
ブラジル・サンパウロ水族館のピリグリムとオーロラの近況 ~ 早急に行われるべきロシアへの帰還
by polarbearmaniac | 2019-08-24 23:45 | Polarbearology

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