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街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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大分・別府「ラクテンチ」の苦闘の繁殖記録 ~ 最後に輝いた星であるルル (Lulu) とララ (Lara)

大分・別府「ラクテンチ」の苦闘の繁殖記録 ~ 最後に輝いた星であるルル (Lulu) とララ (Lara)_a0151913_20471035.jpg
ララ (Lara the Polar Bear/Белая медведица Лара)
(2014年7月21日撮影 於 札幌・円山動物園)

大分・別府「ラクテンチ」の苦闘の繁殖記録 ~ 最後に輝いた星であるルル (Lulu) とララ (Lara)_a0151913_20573610.jpg
ルル (Lulu the Polar Bear/Белая медведица Лулу)
(2012年10月27日撮影 於 旭川・旭山動物園)


大分県・別府市にあるラクテンチ.....日本のホッキョクグマ界においてこの場所はすでに記憶の忘却の彼方にあるといっても過言ではないでしょう。しかしたった一つの事実をもってこのラクテンチが日本のホッキョクグマ界に多大な貢献をなしたということは決して否定できないでしょう。1994年11月20日にこの場所でルル(Lulu - 現 旭山動物園)とララ(Lara - 現 円山動物園)という双子姉妹が誕生したわけです。そしてララに関しては私のこれまでの知見で言えば、まさに世界屈指のホッキョクグマの母親として日本だけではなく世界のホッキョクグマ界に君臨しているのだと考えています。ウスラーダ、シモーナ、ララ、オリンカ、フギース、フリーダム......偉大なるホッキョクグマの母親の系譜に連なるのが8頭の子供たちを育て上げたララだと言えましょう。

さて、この別府のラクテンチにおける過去のホッキョクグア飼育と繁殖の記録をドイツのロストック動物園が収集した記録から紐解いてみたいと思います。今回ご紹介するデータにはひょっとして漏れがあるかもしえませんが、少なくとも現時点で辿ることのできる確度の高いものであると考えます。

ラクテンチにおいてホッキョクグマの飼育が開始されたのは1956年からのようです。それ以降、二組のペアが飼育された記録が残っています。まず1956年6月に野生出身の雌(メス)の個体が入園していますが、これはおそらく前年11~12月に誕生した個体だと思われます。間違いなくカナダ出身でしょう。名前は不明です。雄(オス)についてはやはり前年暮れにカナダで誕生したと思われる野生出身の個体です。名前はやはり不明です。二頭共に動物商から購入したものと思われます。この二頭の間で以下のような繁殖記録が残っています。

① 1961年11月16日 1頭誕生 性別不明           同日死亡
② 1968年11月17日 2頭誕生 性別不明         共に同日死亡
③ 1970年11月19日 1頭誕生 性別不明           同日死亡
④ 1971年11月17日 1頭誕生 性別は雌(メス)       同日死亡

さて、上記のペアのうち雄(オス)が1979年4月4日に死亡しています。残った雌(メス)は1980年6月に動物商に売却されたわけですが、その後の消息は不明となっています。ちなみにこの動物商は2018年に倒産した有竹鳥獣店だったようです。ラクテンチはホッキョクグマの飼育はペアでの展示でなければならないと考えていたのでしょう。


瞑想するララ - One autumn late afternoon of Lara, at Sapporo Maruyama Zoo, Japan, on Oct.4 2014.


瞑想するルル - Lulu the polar bear in contemplation at Asahiyama Zoo, Japan, on Oct.11 2014.

次にラクテンチに導入された雌(メス)のホッキョクグマは1979年11~12月に誕生したと思われる野生出身の個体です。これこそがクーニャなのです。彼女の名前のアルファベット表記には揺らぎがありますが私は "Kunya" と表記しておきたいと考えます。彼女は1980年7月29日にラクテンチに来園した記録が残っています。雄(オス)についてですが、これは1979年12月3日に旭山動物園で誕生したポール (Pole) ですが、後日彼はシロ― (Shiro) という名前になっています。彼がラクテンチに来園したのは記録によれば1980年12月12日のことでした。ちなみにこのポール(シロー)は大阪・天王寺動物園で飼育されていたユキオ (Yukio - 1979~1995) とは双子兄弟の関係にあります。さて、ポール(シロー)の母親はユキ (1966~1983)というこれも野生出身の個体です。

さて、このクーニャとポール(シロー)との間では以下のような繁殖記録が残っています。

⑤ 1989年11月6日 2頭誕生 性別は雄(オス)と雌(メス) 共に11月8日死亡
⑥ 1990年12月10日 2頭誕生 性別は雄(オス)が2頭     同日死亡
⑦ 1992年11月21日 1頭誕生 性別不明           同日死亡
⑧ 1994年11月20日 2頭誕生 性別は共に雌(メス)     ルルとララ

.....ということで、ラクテンチは8回目のホッキョクグマの誕生によって初めて成育した個体を持つことに成功したわけでした。血統番号1513であるルルは1997年5月22日に東北サファリパークに移動し、その後2004年10月19日に旭山動物園に移動しています。そして血統番号1514であるララは1996年5月7日に札幌の円山動物園に移動しています。このルルとララの双子姉妹誕生以降、ラクテンチにおけるホッキョクグマ繁殖の記録はなくなってしまうわけです。つまり苦闘を極めたラクテンチにおけるホッキョクグマの繫殖は最後にルルとララという双子姉妹の誕生という果実をもって終了したのだということになります。1961年以来12頭が誕生し、成育したのはそのうち2頭ということになります。この記録を「成育できなかった個体の墓標」とみるか、それとも「ルルとララは最後になって咲いた花」と見るか、これはいろいろな意見があるとは思いますが私は後者だと捉えています。私は確か2008年でしたか、このラクテンチを訪問して当時はもうホッキョクグマのいなくなっていた飼育展示場を見ましたが、その環境はカザン市動物園と大差ないという状態でした。ラクテンチのHPのこちらのページを開いていただくと右にペンギンの飼育展示場の写真が見えますが、その隣がホッキョクグマの飼育展示場だったはずです。ホッキョクグマが飼育されていた当時は境をぶち抜いてこのペンギンの飼育展示場と繋がっていたかもしれません。


芝の上でくつろぐララ - Lara the Polar Bear, having the time of her own on the grass at "Polar Bear Museum" at Sapporo Maruyama Zoo, Japan, on Jun.24 2018.

ルルとララの父親だったポール(シロー)は2004年3月6日にとくしま動物園に移動し、そして2010年7月17日にそこで亡くなっています。母親だったクーニャはレオマアニマルパークに移動し、そしてそこで2010年2月15日に亡くなっています。実に悲しく寂しい死でした。私はクーニャについてはもう語りたくありません。当ブログの右上の「幻のクーニャ」というところをクリックしていただければ私の投稿を参照できます。

(過去関連投稿)
・ララが忘れぬ童心 ~ 新しい感情領域 ("Larasophia") を切り開き、新境地を開拓した名ホッキョクグマ
・ルル、その剛直さ、朴訥さという「東北人」らしい性格の妙味 ~ 現実主義者ルルと理想主義者ララ


by polarbearmaniac | 2020-09-15 00:30 | Polarbearology

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