街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum
by polarbearmaniac
よこはま動物園(野毛山動物園 & ズーラシア)の苦闘の繁殖記録 ~ 健闘の野毛山動物園、不毛なズーラシア




① 1964年12月15日 1頭誕生(#3240) 性別不明 翌日12月16日死亡
② 1965年11月21日 1頭誕生(#3213) 性別不明 同日死亡
③ 1969年12月25日 1頭誕生(#3221) 性別不明 同日死亡
注目すべきなのは雌(メス)のユキが満4歳となって繁殖可能な年齢に達したその年の繫殖シーズンにいきなり出産しているということである。さて、ところがユキの出産が記録されているのはこの3回である。大変残念なことに雄(オス)のシロキチは1972年6月に12歳という若さで亡くなってしまった。パートナーだったシロキチを失ったユキは翌年1973年の8月に鹿児島の平川動物公園に移動し、そこで1975年8月に15歳で亡くなっている。惜しいことをしたものである。

④ 1980年10月16日 2頭誕生(#686 #687) 性別は1頭が雄(オス)他頭は不明 1頭は同日死亡、もう1頭は10月18日に死亡
⑤ 1982年11月11日 1頭誕生(#688) 性別は雄(オス) 11月13日死亡




ところがロストック動物園の記録ではチロが出産した事実は全く見い出せない。そういった状態のままチロは2011年5月に20歳で急死してしまうのである。これでジャンブイ(ヤンブイ)のパートナーはいなくなってしまった。そして彼のパートナーとしてズーラシアに来園したのは愛媛のとべ動物園で飼育されていたバリーバ (Ballyba #976 1990~ ) である。彼女はデンマークのオールボー動物園で近親交配の結果で生まれた個体であるがズーラシアにおいて約4繁殖シーズンにわたって野生出身個体であるジャンブイ(ヤンブイ)とのペアが形成されるという、繁殖資源の大いなる浪費状態を生みつつ2016年2月にとべ動物園に帰還している。ジャンブイ(ヤンブイ)の次なるパートナーとなったのは釧路市動物園から2016年3月に来園したツヨシ (Tsuyoshi #1759 2003~ )である。彼女はロストック動物園の記録、及び血統台帳上では依然として雄(オス)として登録されたままである。このジャンブイ(ヤンブイ)とツヨシとのペアの間での繁殖についてロストック動物園では出産の事実の情報は得ていない。「実は〇〇だった」はあるかもしれない。しかしあくまでもロストック動物園の記録では上記のように述べてきた通りである。
こうしてロストック動物園の情報からまとめると、よこはま動物園(野毛山動物園 & ズーラシア)におけるこれまでのホッキョクグマの繫殖については6頭が誕生したものの成育した(つまり生後半年を超えた)個体はまだないということになる。あくまでもこれはロストック動物園の収集した記録によるものである。
こういったことからわかるのは、ズーラシアがオープンして以降この20年間、ホッキョクグマの繫殖はことごとく失敗しているという事実である。よこはま動物園(野毛山動物園 & ズーラシア)として繁殖を担った雄(オス)は3頭である。シロキチ、カンタ、ジャンブイ(ヤンブイ)である。この三頭のうちパートナーである雌(メス)を一度も出産させることができなかったのはジャンブイ(ヤンブイ)だけである。こうした非情な事実を示しているのがロストック動物園の記録である。


LUMIX G9 PRO
LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-60mm / F2.8-4.0 ASPH.
(Sep.17 2020@横浜・野毛山動物園)
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| 2020-09-18 02:00
| Polarbearology
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