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街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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仙台・八木山動物公園の苦闘の繁殖記録 ~ 悲願である繁殖の成功を担ったナナを含む三世代の奮闘

仙台・八木山動物公園の苦闘の繁殖記録 ~ 悲願である繁殖の成功を担ったナナを含む三世代の奮闘_a0151913_08056.jpg
ナナ (Nana/Winne the Polar Bear) 
(2017年5月26日撮影 於 仙台・八木山動物公園)


仙台市の八木山動物公園はカナダ出身、ロシア出身、欧州出身のホッキョクグマに全て会うとこのできるという世界でも稀な動物園です。この動物園のホッキョクグマ繁殖の試みについてドイツのロストック動物園が収集した記録によって振り返ってみたいと思います。

まず同園で最初にホッキョクグマ繁殖を担ったのは雄(オス)のシロ (Shiro #220 1964~1984) と雌(メス)のユキコ (Yukiko #221 1956~1984) というペアだったようです。シロはカナダ出身と思われる野生出身の個体であり、1965年9月に八木山動物公園に入園した記録が残っています。ユキコは飼育下で誕生した個体だったようですが、世界のどの動物園で誕生したかの記録は明確ではありません。このユキコは1957年から1967年まで名古屋の東山動植物園で飼育されていたのですが、その後の1967年3月に八木山動物公園に入園したことが明らかになっています。このシロとユキコとの間での繁殖の試みの結果についてロストック動物園は以下のように記録しています。

① 1971年12月1日 1頭誕生 性別は雌(メス)#3248    同日死亡

雌(メス)のユキコは1984年2月に亡くなり、そして雄(オス)のシロも彼女の後を追うように同じ年1984年の11月に亡くなっています。八木山動物公園は直ちに次のホッキョクグマのペアの入手に着手したようです。そして雄(オス)のホクト (Hokuto #683 1984~2004) が来園したのはシロとユキコのペアが亡くなった翌年の1985年の5月のことでした。このホクトはカナダ出身と思われる野生出身個体です。当初はフランスの動物園が権利を取得していたようですが八木山動物公園がその権利を譲り受けたようです。そして同じ年の1985年の9月に来園したのが雌(メス)のナナ (Nana #497 1984~ ) でした。カナダ・ウィニペグのアシニボイン公園動物園 (Assiniboine Park Zoo)で生まれ、現在も八木山動物公園で暮らしているこのナナについては今更改めて申し上げることはないでしょう。彼女はカナダで今日でも有名であるデビー (Debby #52 1966~2008) の娘です。デビーについては過去関連投稿を御参照下さい。このデビーのアシニボイン公園動物園の旧飼育展示場における1982年の映像を御紹介しておきましょう。彼女と一緒に映っている双子は1981年12月に誕生したタンブル (Tumble #494 1981~2009) とウォッシュ (Wash #495 1981~2014) でしょう。このナナのすぐ上の姉にあたるこの双子姉妹は1982年9月に共に北アイルランドのベルファスト動物園に移動し、最終的には共にオランダの「動物帝国」に移動してそこで亡くなっています。



また、デビーとナナとの貴重な映像は「カナダ・アシニボイン公園動物園での偉大なる故デビー、そして彼女の末娘ナナ(仙台)の貴重な映像」という投稿ですでにご紹介しています。

このナナという名前がロストック動物園の記録上では依然として "ウィニー (Winnie)" となったままなのは、おそらく八木山動物公園がこのナナがカナダのウィニペグの生まれであることを尊重してウィニペグに由来している当初の彼女の名前の変更をロストック動物園に求めず、"ウィニー (Winnie)" として血統情報上で維持しているからだと考えて間違いないでしょう。こういったあたりに八木山動物公園の良心というものを感じることができます。
仙台・八木山動物公園の苦闘の繁殖記録 ~ 悲願である繁殖の成功を担ったナナを含む三世代の奮闘_a0151913_0354552.jpg
ナナ (Nana/Winne the Polar Bear) 
(2017年5月26日撮影 於 仙台・八木山動物公園)



このホクトとナナとの間での繁殖挑戦の結果についてロストック動物園は以下のように記録しています。

② 1995年9月29日 1頭誕生 性別は雄(オス)#3253  同日死亡
  1995年9月30日 1頭誕生 性別は雌(メス)#3254  同日死亡
③ 2000年11月25日 1頭誕生 性別は雌(メス)#1690  同日死亡

この記録を見て実に驚かざるを得ません。②の1995年9月の双子の出産ですが、ホッキョクグマが双子を出産する場合に最初の出産から数十分、あるいは数時間してから二回目の出産があるのが一般的です。八木山動物公園はナナの最初の出産の後に日付が変わってから二回目の出産があったことを、それぞれ律義にロストック動物園に記録として送っているわけです。一般的にホッキョクグマが双子を産み、その二頭の出産の間で夜中に日付が変わった場合はどちらかの日に誕生日を合わせてしまう動物園が大多数なのですが、八木山動物公園はそういった安易なことをせずに正確に日付を分けて報告しているのです。賞賛に値する真摯で律義な姿勢と言ってよいでしょう。八木山動物公園、好感の持てる動物園だと思います。ナナの1995年の出産は9月というかなり早い時期のものだったわけで、残念な結果となっています。

仙台・八木山動物公園の苦闘の繁殖記録 ~ 悲願である繁殖の成功を担ったナナを含む三世代の奮闘_a0151913_0253265.jpg
ラダゴル(カイ)(Белый медведь Ладогор/Kai the Polar Bear)
(2017年5月25日撮影 於 仙台・八木山動物公園)


さて、ナナのパートナーだった雄(オス)のホクトは2004年9月に亡くなっています。その時にナナは19歳になっていたわけで八木山動物公園はナナを飼育したまま次なるペアの導入を図ったのです。ここで登場してくるのが現在のラダゴル(カイ)とポーラというペアなのです。雄(オス)のラダゴル(カイ Ладогор/Kai #1772 2004~ ) はロシア・サンクトペテルブルクのレニングラード動物園で2004年12月2日にあの偉大なウスラーダから誕生しています。彼はロシアの「カザン血統」の直系に属するホッキョクグマです。彼については過去関連投稿を御参照下さい。彼が八木山動物公園に入園したのは2006年5月のことでした。それに先立つ2005年10月にすでに来園していたのが雌(メス)のポーラ (Paula #1780 2004~ )でした。このポーラは2004年12月5日にセルビアのパリッチ動物園 (Palić zoo) で生まれています。ポーラの母親は現在ハンガリーのソスト動物園で暮らしている シンバ(ゾラ - Simba/Zora #552 1986~ ) です。父親はベルリン動物公園生まれのビョルン・ハインリヒ (Bjoern Heinrich #540 1986~2011)です。
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ポーラ (Paula the Polar Bear)
(2017年5月25日撮影 於 仙台・八木山動物公園)


さて、このラダゴル(カイ)とポーラとの間での繁殖の結果としてロストック動物園の記録は以下のようになっています。

④ 2019年12月28日 1頭誕生 性別は雄(オス)#3466  同日死亡

これは「仙台・八木山動物公園でホッキョクグマの赤ちゃん誕生するも死産と判明 ~ 残念ではあるが朗報と考えるべき」という投稿で述べていた通りです。八木山動物公園における現在までのホッキョクグマの繫殖結果は、5頭誕生、そのうち成育した(つまり生後半年を超えた)個体はまだないということになります。これがロストック動物園の収集した情報による記録です。同園の公式発表では2019年12月28日のポーラの出産は午前3時24分頃だったそうです。上にも述べてきましたようにこういった記録の正確性に大きなこだわりを持つ八木山動物園のホッキョクグマ繁殖に関しては、「実は〇〇だった」というようなことはないでしょう。ですからロストック動物園が得た情報による八木山動物公園に関する記録は全て正しいだろうということです。

ラダゴル(カイ)とポーラのペアによる繁殖挑戦が現在もまだ継続中です。これからのこのペアによる繁殖成功を期待しています。とりわけ雄(オス)の双子の赤ちゃんを期待したいところです。
仙台・八木山動物公園の苦闘の繁殖記録 ~ 悲願である繁殖の成功を担ったナナを含む三世代の奮闘_a0151913_0522763.jpg
手前はポーラ、奥はナナ (Puala-near, Nana-rear)
(2017年5月26日撮影 於 仙台・八木山動物公園)


八木山動物公園のホッキョクグマの繫殖のリレーのバトンはナナ(奥)からポーラ(手前)に確かに受け継がれたのです。

(過去関連投稿)
・カイとポーラの仲良し日記 ~ 日本屈指の青春ペアの土曜日
・ナナからポーラへ ~ 世代を超えて引き渡された繁殖を担う主役のバトン
・台風一過の暑さにも俊敏な動きを披露するポーラ ~ エース級の若年個体が真のエースとなる日
・ポーラに迫りつつある正念場 ~ パートナーに増した威厳によって生じた行動の変化は好機?
・仙台・八木山動物公園、苦心するホッキョクグマの繁殖成功への試み
・シンバ(Simba/Zora - 姫路のユキ、仙台のポーラの母)、その姿と性格
・仙台・八木山動物公園のポーラが出産準備体勢へ
・仙台・八木山動物公園でホッキョクグマの赤ちゃん誕生するも死産と判明 ~ 残念ではあるが朗報と考えるべき
・仙台・八木山動物公園、ラダゴル (Ladogor/Ладогор - カイ/Kai) の夏の日
・仙台・八木山動物公園のポーラ (Paula) とラダゴル (Ладогор - カイ/Kai) の過ぎ行く夏の日々
(*故デビーとナナ関連)
高齢のデビーを愛し、慈しみ、送った人々 (上)
高齢のデビーを愛し、慈しみ、送った人々 (下)
偉大であったホッキョクグマのデビー、その娘であるナナと再会した猛暑の仙台
カナダ・マニトバ州、アシニボイン公園動物園内に建設中のホッキョクグマ保護・厚生センターについて
カナダ・マニトバ州、アシニボイン公園動物園内にホッキョクグマの保護・厚生施設が完成
カナダ・マニトバ州、アシニボイン公園動物園の新展示場施設の建設  ~  偉大なるデビーの遺したもの
ナナからポーラへ ~ 世代を超えて引き渡された繁殖を担う主役のバトン
寒風と冬晴れの空の下での仙台・八木山動物公園のホッキョクグマたちの姿
29歳となったナナ、その決して色褪せぬ優雅さ ~ 伝説化された偉大なホッキョクグマの娘ここにあり!
カナダ・アシニボイン公園動物園での偉大なる故デビー、そして彼女の末娘ナナ(仙台)の貴重な映像

(*ラダゴル/カイ関連)
理性のウスラーダと情愛のシモーナ ~ 偉大なるホッキョクグマ母娘の性格の違い
仙台・八木山動物公園のカイのロシア時代の写真
ウスラーダお母さんの10番目の子供、カイ (八木山動物公園 / ロシア名 : ラダゴル )のロシア時代の姿
ロシアのマスコミ、カイ(仙台)とロッシー(静岡)の地震・津波からの無事を大きく報じる
カイ (仙台・八木山動物公園 / ロシア名:ラダゴル) とウスラーダお母さんの物語
モスクワ動物園の「良妻賢母」シモーナ ~ 母親のウスラーダに似た顔立ち
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ロシア・サンクトペテルブルク、レニングラード動物園の名ペア、ウスラーダとメンシコフの新たなる挑戦
ロシア ・ サンクトペテルブルク建都310年の記念ポスターに登場したメンシコフ ~ 偉大な男が祝った街
女帝ウスラーダとシモーナ、コーラ、リアの三頭の娘たち ~ 偉大な母親たちの三代の系譜
ロシア・サンクトペテルブルク、レニングラード動物園のウスラーダの歩む道 ~ 再説: 繁殖可能年齢上限
ロシア・サンクトペテルブルク、レニングラード動物園の女帝ウスラーダの15頭の子供たちの姿
ロシア・サンクトペテルブルク、レニングラード動物園のウスラーダが満32歳になる ~ その偉大さへの賛辞
仙台・八木山動物公園のラダゴル(カイ)のレニングラード動物園時代の姿
仙台・八木山動物公園、ラダゴル (Ladogor/Ладогор - カイ/Kai) の夏の日

(*ポーラ関連)
25年前の東ドイツにいた「もう一頭のクヌート」 ~ ユキ(姫路)とポーラ(仙台)の父親の物語
セルビア・パリッチ動物園のビョルン・ハインリヒ死す ~ ユキ(姫路〕 とポーラ(仙台) の父親の訃報
セルビア・パリッチ動物園のシンバ (姫路のユキ、仙台のポーラの母) がハンガリーのソスト動物園へ
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ハンガリー・ニーレジハーザ、ソスト動物園でのフィーテの冬の日 ~ 三十歳のシンバとの同居


by polarbearmaniac | 2020-09-19 01:00 | Polarbearology

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