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街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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神戸・王子動物園の苦闘の繁殖記録 ~ 「アイス、みゆき」は「デナリ、ララ」へのアンチテーゼだった....

神戸・王子動物園の苦闘の繁殖記録 ~ 「アイス、みゆき」は「デナリ、ララ」へのアンチテーゼだった...._a0151913_2354485.jpg
みゆき (Miyuki the Polar Bear/Белая медведица Миюки) (2012年4月20日撮影 於 神戸・王子動物園)

神戸の王子動物園といえばホッキョクグマの繫殖といったテーマて語られることの少ない場所のような気がします。ドイツのロストック動物園が収集した世界の飼育下のホッキョクグマの血統情報から、今回は王子動物園におけるホッキョクグマの繁殖について辿っていきたいと思います。
神戸・王子動物園の苦闘の繁殖記録 ~ 「アイス、みゆき」は「デナリ、ララ」へのアンチテーゼだった...._a0151913_23113360.jpg

同園のホッキョクグマの導入の歴史はそう古いものではないようです。少なくともペアとして形成されたことが確認できるのは1970年代ということになります。まず雄(オス)のキタオ (Kitao 1968~1990) が王子動物園に入園したのは1969年5月だったようです。このキタオは野生出身個体であることは確かなようです。そのパートナーとなたのは雌(メス)はキタコ (Kitako 1968~1991) でした。彼女も野生出身個体でありキタオと同じ日の1969年5月に王子動物園に入園した記録が残っています。このキタオとキタコのペアによる繁殖についてロストック動物園は以下の情報を記録しています。

① 1984年1月17日 1頭誕生 性別は雌(メス)        同日死亡

キタコの初めての出産は彼女が15歳になってのことだったことがわかります。非常に遅い出産だたというわけです。さて、雄(オス)のキタオは1990年12月に22歳で亡くなってしまい、そして彼のパートナーだったキタコも半年後の翌年1991年の6月にやはり22歳で亡くなっています。キタオとキタコのペアが君臨していた時代の1975年1月にカナダのアシニボイン公園動物園から1973年生まれと思われる1頭の雌(メス)野生出身個体(個体番号2552)が王子動物園に入園した形跡があるのですが、その後の消息は不明となっています。
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アイス (Ice the Polar Bear/Белый медведь Айс) (1990~2015) (2012年4月20日撮影 於 神戸・王子動物園)

このキタオとキタコの時代の次の時代は私たちもよく知るペアが登場してきるわけです。まず雄(オス)のアイス (Ice 1990~2015)です。彼は1990年12月18日に釧路市動物園で三つ子の一頭として生まれています。彼の母親はコロ (Coro 1974~2008)、父親は血統台帳上は "フロスティ二世" (Frosty II 1973~1999) として記録されている、出自が非常に深い謎に包まれている個体です。この件については前投稿である「名古屋・東山動植物園の苦闘の繁殖記録 ~ ユキコ、そして二世代の「トロイカ体制」実らず」を御参照下さい。アイスは1991年11月16日に王子動物園に入園した記録が残っています。


Ice (1990~2015) the Polar Bear, with ice, at Kobe Oji Zoo, Japan (2012)


Ice (1990~2015) the Polar Bear, his days at Kobe Oji Zoo, Japan (2011)

次に来園したのが1990年11月に大阪の天王寺動物園で生まれた雌(メス)のみゆき (Miyuki 1990~ )です。このみゆきの両親、その他については「大阪・天王寺動物園の苦闘の繁殖記録 ~ 残念な幼年期での早世個体の多さ」という投稿を御参照下さい。


Miyuki the Polar Bear with ice, at Kobe Oji Zoo, Japan (2020)

ロストック動物園の記録ではこのアイスとみゆきのペアの間の繁殖に関して、みゆきの出産の記録は全く存在していません。


Ice and Miyuki, on one summer day at Kobe Oji Zoo, Japan (2013)

アイスは2015年の5月21日に24歳で亡くなってしまいました。王子動物園の当時の発表では死因は調査中とのことでしたがロストック動物園の資料では消化器官に発生した腫瘍の増大のためといった内容が死因として記載されています。
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アイスとみゆき (Ice and Miyuki) (2012年4月20日撮影 於 神戸・王子動物園)

私はこのアイスとみゆきとのペアに関しては存在感が非常に個性的なペアであり、繁殖の成果を求めたいと感じたことは、あまりありませんでした。それは決して悪い意味ではなく、このペアはそういったペアだったのです。私がこのペアを総括するとすれば、アイスとみゆきのペアはデナリとララのペアへの「アンチテーゼ」としての意義があったということです。「異彩を放つ永遠の名ペア、神戸・王子動物園のアイスとみゆきの午後」という投稿を御参照下さい。そしてさらに付け加えますと、王子動物園はホッキョクグマに関しては「アンチ天王寺動物園」という性格を帯びているようにさえ感じるような気がすることがあります。ゆったりとして時を過ごして自身の世界を維持するみゆき、一方で熱心な大阪のファンがピリピリしながら見守るゴーゴとシルカ、そして頻繁に行われるイベント....、神戸と大阪という土地柄の違いでしょうか。

ロストック動物園の記録で振り返りますと、王子動物園におけるホッキョクグマの赤ちゃんの誕生は合計1頭、成育した個体はまだないということになります。

(過去関連投稿)
異彩を放つ永遠の名ペア、神戸・王子動物園のアイスとみゆきの午後
神戸・王子動物園のアイス、星の彼方へ ~ みゆきとの異彩の名ペアを組んだ名ホッキョクグマの死
神戸・王子動物園のみゆき、臍ヘルニア (Umbilical hernia) の手術を受け順調に回復中
神戸・王子動物園のみゆき (Miyuki) の夏の日 ~ 日本発泡スチロール協会のイベント


by polarbearmaniac | 2020-09-23 01:00 | Polarbearology

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