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街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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兵庫県、姫路市立動物園の苦闘の繁殖記録 ~ ホッキョクグマたちにはとうとう訪れなかった春

兵庫県、姫路市立動物園の苦闘の繁殖記録 ~ ホッキョクグマたちにはとうとう訪れなかった春_a0151913_22172433.jpg
ユキとルトヴィク(ホクト) (Yuki and Hokuto at Himeji City Zoo) Photo(C)兵庫県公式観光サイト

兵庫県の姫路市立動物園 (Himeji City Zoo) は現在はホッキョクグマ不在となってしまった動物園です。この動物園におけるホッキョクグマ飼育の歴史と繁殖の試みについて、ドイツのロストック動物園が収集した記録をたどりつつ見ていきたいと思います。

姫路市立動物園がホッキョクグマの飼育を開始したのは1958年からのようです。その年の6月に野生出出身と考えられる雄(オス)の個体 (#3204 1957~1977) が来園しています。そして雌(メス)の個体 (#3206 1957~1977) も翌年1959年6月に来園しています。このペアはどちらも1977年に亡くなっているのですが、雄(オス)は6月9日に、そして雌(メス)は8月1日と、相次いで亡くなっています。
兵庫県、姫路市立動物園の苦闘の繁殖記録 ~ ホッキョクグマたちにはとうとう訪れなかった春_a0151913_11021446.jpg
次の世代になりますが、まず野生出身と考えられる雌(メス)のシロコ (Shiroko #1245 1976~1992) が入園したのは1977年8月1日のことだったとロストック動物園の記録は示しています。前の世代の雌(メス)の個体 (3206) が同園にて亡くなった日とシロコが同園に入園した日がまったく同じという記録になっているのは幾分奇妙な気もします。そして野生出身と考えられる雄(オス)の個体であるモモタ (Momota #1289 1987~2000) が入園したのは1988年10月12日だったという記録が記されています。このモモタは2000年6月に、そしてシロコは1992年3月に亡くなっています。モモタが繁殖可能年齢となるかならないかといった時点でシロコが死亡してしまったわけですから、この第二世代は繫殖とは無縁だったいうことになるでしょう。2000年6月のモモタの死から次の世代のペアの来園した2002年6月までの2年間、姫路市立動物園ではホッキョクグマが不在であったことがロストック動物園の記録で読み取れます。そしてその2年間のホッキョクグマ不在の後に同園に出現したペアは素晴らしい血統を持った、世界に対してもエース級ペアとして誇れる個体だったのでした。
兵庫県、姫路市立動物園の苦闘の繁殖記録 ~ ホッキョクグマたちにはとうとう訪れなかった春_a0151913_22553171.jpg
第三世代として登場したのが我々にも馴染みのあるホッキョクグマでした。まず雄(オス)のルトヴィク(ホクト - Ludvig/Людвиг/Hokuto #1694 2000~ ) です。彼はロシアのペルミ動物園生まれで母親はあの偉大なアンデルマ (Amderma #1195 1980?~2018) です。彼の父親は野生出身のユーコン (Yukon/Юкон #1197 1988~2014)です。大阪のゴーゴとは両親が同じであり、ルトヴィク(ホクト)はゴーゴの兄となるわけです。ルトヴィク(ホクト)については「姫路市立動物園のルトヴィク(ホクト)が旭山動物園へ ~ 故アンデルマの息子が遂に北海道へ」という投稿に詳しく書いていますのでご参照下さい。彼は2002年6月26日に姫路市立動物園に到着しています。そして続いて入園したのは雌(メス)のユキ (Yuki #1739 1999~ ) でした。 彼女は 1999年11月26日にセルビアのパリッチ動物園 (Palić zoo) で生まれています。ユキの母親は現在ハンガリーのソスト動物園で暮らしている シンバ(ゾラ - Simba/Zora #552 1986~ ) です。父親はベルリン動物公園生まれのビョルン・ハインリヒ (Bjoern Heinrich #540 1986~2011)です。このユキは仙台の八木山動物公園に暮らすポーラ (Paula) の姉にあたるというわけです。このペアの繫殖への試みの結果についてロストック動物園の記録は以下となっています。

① 2010年12月7日 2頭誕生 性別はM, F    共に12月9日死亡
② 2013年12月23日 1頭誕生 性別はM       12月26日死亡

この2回の出産以降、ユキには出産の記録はありません。ユキは2019年3月に秋田県の男鹿水族館に移動し、そしてルトヴィク(ホクト)は今年2020年6月1日に北海道の旭山動物園に移動しています。これによって姫路市立動物園でのホッキョクグマ飼育は歴史は事実上、幕を閉じたということになるでしょう。同園については同情すべきことは多いと私は感じています。現在の動物園は一種の「歴史地区」といった場所に位置している点でロシアのレニングラード動物園と似た立場にあるでしょう。おいそれとは飼育施設の大幅な拡大を行うことは困難なのです。そういった中で、あのような檻によってホッキョクグマを飼育し続けねばならなかった点は悲劇でした。

Hokuto and Yuki with ice, at Himeji City Zoo (2014)

このルトヴィク(ホクト)とユキが移動するとして、一体どのような組み合わせを考えたらよいかを私は昨年の段階で考えていました。ユキは男鹿水族館に、そして仙台のポーラが旭川へ、そして旭川のピリカが仙台へ....これがよいのではないかと考えたわけです。しかし仙台では昨年末にポーラに出産があり(成育はしませんでしたが)、そうなるとポーラは引き続いて仙台に留まることになります。旭山動物園は引き続きイワンを留め置くだろうと考えた場合、姫路のルトヴィク(ホクト)の移動先がどうなるか.....などと今年になって考えたりもしたというわけでした。しかしユキもルトヴィク(ホクト)も、もっと早く好環境でこのペアのままで繁殖に寄与させてやりたかったとも思います。この共に飼育下生まれのペアのそれぞれの血統はあまりに素晴らしかったために、尚更そう感じてしまうのです。

ロストック動物園の記録で姫路市立動物園におけるホッキョクグマ繁殖への試みの結果を纏めますと、誕生した個体が合計3頭、成育した個体はなかったということとなります。

(過去関連投稿)
(*ホクト関連)
(*ユキ関連)



by polarbearmaniac | 2020-10-04 01:00 | Polarbearology

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