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街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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福島県、東北サファリパークの苦闘の繁殖記録 ~ 歴史と記憶の彼方のホッキョクグマたち、ダイスケとチビ

福島県、東北サファリパークの苦闘の繁殖記録 ~ 歴史と記憶の彼方のホッキョクグマたち、ダイスケとチビ_a0151913_20071117.jpg
ルル (Lulu the Polar Bear/Белая медведица Лулу)
(1997年5月から2004年10月まで東北サファリパークで飼育)
(2014年3月23日撮影 於 旭山動物園)

福島県・二本松市にある、現在はホッキョクグマが飼育されていない東北サファリパークにおけるホッキョクグマ繁殖の歴史を、ドイツのロストック動物園の記録を辿りつつ振り返っておきたいと考えます。

東北サファリパーク(以下、"TSP" と略記します)に最初にホッキョクグマが導入されたのは1982年のことだったようです。この1982年の10月にペアとして入園したのが雄(オス)のダイスケ (Daisuke #1223 1977?~1989) と雌(メス)のチビ (Chibi #1224  ?~1994) というペアでした。ダイスケ (#1223) は野生出身の個体で、誕生年は推定で1977年だったようです。ですから彼がTSPに来園した時には5歳になるかならないかといった段階でした。このダイスケが野生で捕獲されてからTSPに来園するまでいったいどこの動物園にいたのかの記録は全く存在していません。チビ (#1224) ですが、彼女はカナダで捕獲された野生出身の個体であると記録されていますが誕生年が全く不明だそうです。ロストック動物園はこのダイスケ (#1223) とチビ (#1224) との間での繁殖に関して以下のように記録しています。

① 1985年12月12日 1頭誕生 性別はF    12月14日死亡
② 1986年12月9日  1頭誕生 性別はM    12月10日死亡
③ 1988年11月27日 2頭誕生 性別はM.F 共に11月29日死亡

このダイスケとチビのペアは、ダイスケの1989年2月の11歳での死をもって終わることになってしまいました。これは非常に残念だたっと思います。その他、このTSPにはシャイン (Shain #1221 1960~1987) という野生出身と考えられる雌(メス)の個体が非常に短い期間飼育されていた記録があります。彼女は1961年11月から1987 年まで山口県・周南市の徳山動物園で飼育されていたのですが、その年1987年の5月19日にTSPに移動したものの、その約1ヶ月半後の1987年7月6日にTSPで亡くなっています。
福島県、東北サファリパークの苦闘の繁殖記録 ~ 歴史と記憶の彼方のホッキョクグマたち、ダイスケとチビ_a0151913_20412760.jpg
Photo(C)東北サファリパーク

次の世代として登場したのが雄(オス)のタロウ (Tarou #1246 1976~2003) と雌(メス)のドン (Don #1249 1977~2003) でした。この雄(オス)のタロウ (#1246) は言うまでもなく北海道の旭山動物園で1976年11月29日に誕生した個体で、旭川では「ジュン」という名前だった個体です。彼については「旭川・旭山動物園の苦闘の繁殖記録(1) ~ 日本最初のホッキョクグマ繁殖成功、そして息詰まるドラマの展開」という投稿を御参照下さい。雌(メス)のドン (#1249) は野生出身と考えられる個体で白浜のAWで約15年間飼育された後にTSPに移動してきたわけです。この2頭はいずれも1993年2月9日にTSPに到着しています。このペアの間には繁殖の記録はありません。タロウは2003年3月に、そしてドンはその一ヶ月後の2003年4月に相次いで亡くなっている記録があります。その他ではデカ (Deka #1271 1979~1986)、及びビッグ (Big #1272 1983~1999) という野生出身の雄(オス)の2頭も飼育されていたのですが、これらの雄(オス)の個体もドン (#1249) のパートナーだった可能性はあります。
福島県、東北サファリパークの苦闘の繁殖記録 ~ 歴史と記憶の彼方のホッキョクグマたち、ダイスケとチビ_a0151913_20163637.jpg
ルル (Lulu the Polar Bear/Белая медведица Лулу)
(2014年3月23日撮影 於 旭山動物園)

さて、最後に登場してくるのが雌(メス)のルル (Lulu #1513 1994~ ) です。彼女は言うまでもなく別府の「ラクテンチ」でララとの双子姉妹で1994年11月20日に誕生した個体です(「大分・別府「ラクテンチ」の苦闘の繁殖記録 ~ 最後に輝いた星であるルル (Lulu) とララ (Lara)」)。 ルルは1997年5月22日にラクテンチからTSPに来園しています。これは彼女の双子姉妹であったララ (Lara #1514 1994~ ) が札幌の円山動物園に向かってから1年も経ってからのことでした。TSPではビッグ (#1272) が1999年に亡くなり、そしてタロウ (#1246)とドン (#1249) が2003年に亡くなり、2004年の段階でTSP で飼育されていたのはルルだけとなってしまったのでした。

TSPでパートナーを得る可能性が無くなってしまったであろうそのルルに手を差しのべたのが日本で初めて繁殖に成功した自園の初代ペアの血統継承への並々ならぬ執着心を持っていた旭山動物園だったわけです。ルルは2004年10月19日に旭山動物園に到着しました。それ以降、このTSPではホッキョクグマの飼育は行われていないということです。TSPにおける飼育環境については、私がそもそも行ったことの無い場所ですので語る資格はありません。

ロストック動物園の記録をまとめますと、東北サファリパーク (TSP) で誕生したホッキョクグマは合計4頭、成育した個体はいなかったということになります。

(過去関連投稿)



by polarbearmaniac | 2020-10-05 00:30 | Polarbearology

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