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街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


by polarbearmaniac

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大阪府・泉南郡 みさき公園の苦闘の繁殖記録 ~ JFK暗殺の3日後にホッキョクグマの双子の赤ちゃん誕生!

大阪府・泉南郡 みさき公園の苦闘の繁殖記録 ~ JFK暗殺の3日後にホッキョクグマの双子の赤ちゃん誕生!_a0151913_20225824.png
シロ (Shiro the Polar Bear) (#219 1970~2004) *ヨハネスブルグ動物園のポロ (Polo #681 1985年札幌・円山動物園生まれ)の母 (*2001年頃の姿) Photo(C)みさき公園

大阪府・泉南郡の岬町にあった「みさき公園 (Misaki Park)」の動物園は今年2020年3月31日に営業を終了しています。この「みさき公園」におけるホッキョクグマ飼育と繁殖についてドイツのロストック動物園の記録を振り返るつつ辿ってみたいと思います。

この「みさき公園」がオープンしたのは1957年4月だそうで、それにあたって早速ホッキョクグマが導入されています。まず野生出身だと思われる雄(オス)の個体が2頭 (#1215 1956~?) と (#3202 1956~1962) が1957年3月に入園したことになっています。そして同じく野性出身と思われる雌(メス)の個体も2頭 (#1216 1956~?) と (#1217 1956~?) もやはり1957年3月に入園したことになっています。合計4頭体制だったことがロストック動物園の記録では読み取れます。しかしこれは日本からロストック動物園へ送ったデータが重複・混乱している可能性が大きいような気がします。実際は雄(オス)1頭と雌(メス)1頭だったのではないでしょうか。ここでこの「みさき公園」の1958~60年頃の貴重な映像がありますので見てみましょう。まず最初は1959年の映像です。長いですのでホッキョクグマの登場しているシーンから再生されるようにしてしてあります。


もう一つの映像ですがこれも1959年頃のもののようです。これもホッキョクグマの姿が2頭見えます。映像開始後2分57秒あたりからですが、そこから再生されるように設定してあります。



さて、この雄(オス)2頭のうちの1頭 (#1215 1956~?) と、雌(メス)の (#1216 1956~?) と (#1217 1956~?) のうちの一頭が繁殖上のペアとなったようです。上の2つの映像で映っている2頭が繁殖に挑んだと考えて間違いないでしょう。ロストック動物園の記録では、この (#1215) と (#1216) あるいは (#1217)による繁殖について以下のように記録しています。

① 1963年11月25日 2頭誕生 性別はM.M     共に翌日死亡
② 1967年10月10日 2頭誕生 性別不明 1頭は当日、1頭は翌日死亡
③ 1974年12月14日 1頭誕生 性別はM         同日死亡

①はなんとアメリカのJ.F.ケネディ大統領暗殺の3日後のことでした。そしてこの双子の赤ちゃん誕生の前日の11月24日には暗殺犯のリー・ハーヴェイ・オズワルドはジャック・ルビーによって射殺されてしまうわけです。

「みさき公園」でホッキョクグマを担当していた飼育員さんではないかと推定できる方の手記を読むことができるのですが、同園では1979年に一気に飼育個体の一新を行ったようで、それはロストック動物園の記録でも読み取れます。しかし内容についてはかなりの相違点があります。本投稿はあくまでロストック動物園の記録に従って述べていくこととします。1979年にはそれまでいたホッキョクグマたち (1962年に死亡したことになっている#3202以外の個体である#1215 #1216 #1217)は全て動物商に売却されてしまいます。そしてそれ以降の彼らの消息は不明となっています。そして新たに導入されたのは雌(メス)の2頭である (#213 ?~1970) と (#214 ?~2008) です。そして「みさき公園」に来園してきた雄(オス)のホッキョクグマは、なんとアメリカからだったのでした。しかしここでロストック動物園の資料には重大な問題を生じているように思えます。
大阪府・泉南郡 みさき公園の苦闘の繁殖記録 ~ JFK暗殺の3日後にホッキョクグマの双子の赤ちゃん誕生!_a0151913_20533145.jpg
メンフィス動物園でのオルガ (Olga #389 1965~1997) お母さんとポールスター (Polestar #215 1975~1998) とフロスティ (#1211 1975~1998)  (1976年 メンフィス動物園)Image:N/N

ロストック動物園の記録によれば1975年12月14日にアメリカ・テネシー州のメンフィス動物園で誕生したのはポールスター(Polestar #215) とフロスティ (Frosty #1211) という雄(オス)の双子ということになっています。そして上の写真はその翌年1976年のメンフィス動物園での写真です。確かに赤ちゃんは2頭います。ところがロストック動物園の記録では、この双子は共に1979年11月に「みさき公園」に来園したことになっているのです。しかし当時の飼育員さんの手記を見るとアメリカから雄(オス)とカナダから野生出身の雌(メス)が一頭ずつということになっています。全く辻褄が合いません。私の印象では、「みさき公園」に来園した雄(オス)はやはり一頭だろうと思います。ロストック動物園の記録資料の記述から考えると来園したのはポールスター(Polestar #215) だけだと思います。もし本当に2頭来たのなら「みさき公園」は1頭をさらに転売したような気がします。ちなみに雌(メス)の個体は (#213 ?~1980) か (#214 ?~2008) のどちらかでしょう。そしてさらに1983年7月にジョイ (Joy #1260 1982~1996) という個体も来園しています。
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ポールスター (Polestar #215 1975~1998) とジョイ (Joy #1260 1982~1996) Image:N/N

「みさき公園」の飼育員さん(?)の手記によれば、このジョイ (#1260) は北海道から来た個体だと述べています。北海道から来たといっても、生まれは多分カナダの野生個体だろうとは思います。とにかく記録と情報が混乱しまくっているということです。こういったことの多くの原因は情報の流れの上流の側にある「みさき公園」にあると言ってよいでしょう。個体を動物商に安易に売却したり、また動物商から安易に個体を調達したりなどを繰り返すため、個体情報の管理ができておらず重複したデータを下流の側にある JAZA なりロストック動物園なりに送ってしまっているのだろうということが透けて見えてくるわけです。ロストック動物園の記録をいろいろチェックして気が付くのですが、意外なことに「昭和」の時代だけに関して言えは、西日本の動物園のほうが東日本の動物園よりも「動物商との腐れ縁」が強かったということが垣間見えてきます。(ちなみに「昭和」もそれ以降も、こういった個体情報の管理、伝達、共有に特に優れているのは上野と仙台であることがよくわかりました。それに続くのが徳島と横浜といった感じです。一般的に上野というのはこうしたファンの目には届かない部分で、やはり「凄い」のです。)

さて、そういった中で間違いがないのは、雌(メス)のシロ (Shiro #219 1970~2004) の1996年10月23日の「みさき公園」への来園でしょう。彼女は札幌の円山動物園で1980年代に繁殖を担っており、特に1985年12月21日に産んだ雄(オス)のポロ (Polo #681 1985~2014) は円山動物園が初めて成功したホッキョクグマの繫殖によって生まれた個体であり、南アフリカのヨハネスブルグ動物園に移動し、そこで一生を終えたことはよく知られていることです。これについては「札幌・円山動物園の苦闘の繁殖記録 ~ 賞賛されるべきデナリ (Denali) とララ(Lara) の健闘」という投稿で言及しています。

このシロは26歳にもなって、それまでずっと暮らしてきた北海道から関西に移動したわけですが、それは札幌での繁殖を担う主役の座が彼女からララに移ったためでした。シロは余生をこの「みさき公園」で送って2004年10月12日に34歳で亡くなっています。彼女の死をもって「みさき公園」でのホッキョクグマ飼育は終わったことをロストック動物園の記録は示しています。

ロストック動物園の記録によって「みさき公園」におけるホッキョクグマ繁殖への試みをまとめますと、誕生した個体は合計5頭、成育した個体はなかったという結果となります。

(資料)



by polarbearmaniac | 2020-10-06 00:30 | Polarbearology

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