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街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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福岡県・福岡市動物園の苦闘の繁殖記録 ~ 「幻の1963年誕生個体」の謎、そして平和台球場の最後の輝き

福岡県・福岡市動物園の苦闘の繁殖記録 ~ 「幻の1963年誕生個体」の謎、そして平和台球場の最後の輝き_a0151913_22170461.png
ユキ (Yuki the Polar Bear #1248 1977~2005) 
Photo(C)福岡市動物園

現在ではもうホッキョクグマを飼育していない福岡市動物園(正確には福岡市動植物園)における過去のホッキョクグマの飼育と繁殖の歴史について世界の飼育下のホッキョクグマの血統情報を管理しているドイツのロストック動物園の記録を辿りながら振り返ってみたいと思います。

福岡市動物園で最初にホッキョクグマが導入されたのは1957年のことで、この年の3月31日に雄(オス)の個体 (#3198 1951~1979) と雌(メス)の個体 (#3199 1953~1975) がそろって福岡市動物園に入園しています。入園の時点で雄(オス)の個体は5歳、雌(メス)の個体は3歳になっていました。こういった年齢で入園する場合というのは非常に少ないわけで、この2頭は飼育下の生まれではないかと考えられるわけで、ロストック動物園はこの二頭について「野生出身」という表現は明確な形ではしていません。そうなると、1951年前後に飼育下で誕生したものの消息不明になっている雄(オス)の個体と1953年前後に飼育下で誕生したものの消息不明になっている雌(メス)の個体を探すことがこの二頭の「正体」を見極めるために必要となります。あくまでも仮に飼育下生まれということを条件にしますと以下の二頭が有力候補個体となります。

・雄(オス)の候補個体 (#2116) - 1950年11月24日にドイツのニュルンベルク動物園で生まれ1951年8月22日にハンブルクのハーゲンベック動物園に移動したものの消息不明となった個体。
・雌(メス)の候補個体 (#2150) - 1953年11月20日にドイツのニュルンベルク動物園で生まれ1955年1月31日にハンブルクのハーゲンベック動物園に移動したものの消息不明となった個体。

この二頭は母親は違いますが父親は同じです。野生出身の個体となりますと候補は何頭もいます。実際のところ福岡市動物園に1957年に入園したペアの「正体」を明らかにするのは、有力候補を抽出することはできても完全に特定することは簡単ではありません。 さて、ロストック動物園の資料では福岡市動物園における最初のペア(#3198+#3199) の繁殖に関しては全く記録がありません。ところが福岡市動物園は「福岡市動物園の歴史」というページの1963年の欄に「ホッキョクグマ繁殖するが死亡」と述べているのです。となりますと、やはりこれもロストック動物園への記録の送信において誕生個体数が不明であったり死亡日が不明であったりなどの報告内容の不備が理由で、記録としては残らなかったと考えてよいような気がします。現に上の同園の歴史のページでは誕生の日付や頭数、死亡日などが全く記載されていないのです。1963年の福岡といえば、西鉄ライオンズとしては最後のリーグ優勝の年だったはずです。日本シリーズは「西鉄 vs, 読売(巨人)」だったというわけです。福岡・平和台球場で幕を開けました。その第7戦から1~2ヶ月して福岡市動物園でホッキョクグマの赤ちゃんが生まれた......そういうことになるのでしょう。

さて、このペアのうち雄(オス)の個体 (#3198) は1979年6月28日に亡くなり、雌(メス)の個体 (#3199) は1975年6月17日に亡くなっています。
福岡県・福岡市動物園の苦闘の繁殖記録 ~ 「幻の1963年誕生個体」の謎、そして平和台球場の最後の輝き_a0151913_02211700.png
ユキ (Yuki the Polar Bear) Photo(C)福岡市動物園

次の世代のペアは雄(オス)のシロ (Shiro #1247 1977~1997) と雌(メス)のユキ (Yuki #1248 1977~2005) でした。この二頭は揃って1978年4月13日に福岡市動物園に入園した記録が残っています。この二頭についてもロストック動物園の記録では「野生出身」という表現は明確な形ではしていません。となりますと、1976, 77年あたりに飼育下で誕生した個体で成育はしたものの消息不明となってしまった個体を探すことがシロとユキの「正体」を明らかにすることとなります。そうしますと雄(オス)のシロ (#1247) については意外な個体が候補に挙がってきました。雌(メス)のユキ (#1248) については飼育下生まれでは候補個体はないようです。となると彼女は野生出身でしょうか....。

・雄(オス)の候補個体 (#1157) - カナダ・ウィニペグのアシニボイン公園動物園で1976年11月18日に生まれ、1977年12月に動物商に売却された後に消息不明となっている個体。

上の個体がシロ (#1247) の「正体」の有力候補になるのですが、なんとこの個体はあの有名なデビーの息子ということになります。つまり仙台のナナの兄にあたるということになるわけです。ただし以前に「カナダ・マニトバ州、アシニボイン公園動物園の新展示場施設の建設  ~  偉大なるデビーの遺したもの」という投稿で、デビーが1976年に産んだ個体はドイツに移動したことを述べたのですが、そのあたりとの関連が問題となりそうです。動物商に売却されたあとにそれまでの個体のヒストリーが切れてしまう場合があり、そうなりますとそのヒストリーを結合させるための資料上の調査には非常に時間がかかるのです。

ともかくこのシロとユキのペアですが、ロストック動物園の記録ではユキの出産の記録はありません。「福岡市動物園の歴史」というページにもユキの出産については何も記述がありません。雄(オス)のシロは1997年11月24日に亡くなり、そして雌(メス)のユキは2005年12月15日に亡くなっています。それ以降、福岡市動物園ではホッキョクグマの飼育はありません。

ロストック動物園の記録をまとめますと、福岡市動物園では過去においてホッキョクグマの赤ちゃんの出産はなかったということになります。だだし福岡市動物園は、「1963年に赤ちゃんの誕生(頭数不明)はあったが死亡した」というのが同園の記録となっているようです。

(資料)
福岡市動物園(福岡市動物園の歴史)(Dec.19 2005 - 「ユキ」ありがとう)



by polarbearmaniac | 2020-10-19 02:00 | Polarbearology

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