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街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


by polarbearmaniac

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札幌・円山動物園、ホッキョクグマ飼育の歴史 ~ 過去の飼育環境に問題のあったことを示唆させる1970年前後の三頭の若年個体の死

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おそらく「個体A」(#1222 1961~ ?) *1964年 
Image : SapporoPRD

昨年秋に「苦闘の繁殖記録」というシリーズ投稿を行い、日本の動物園(男鹿水族館を除く)で今まで一度でもホッキョクグマの赤ちゃんが誕生した動物園の繁殖記録を明らかにしました。成育できなかった場合でも少なくとも出産があれば取り上げていきました。この「苦闘の繁殖記録」では同時にその動物園での「ホッキョクグマ飼育の歴史」にも言及したわけですが、その中で「繁殖記録」は述べたもののそこに至るまでのそれ以前の「飼育の記録」は述べていなかった動物園があります。それが札幌の円山動物園と大阪の天王寺動物園です。今回は札幌・円山動物園がホッキョクグマの繁殖に成功する以前の時代の同園におけるホッキョクグマ飼育について述べていきたいと思います。資料としては世界の飼育下のホッキョクグマの血統情報を管理しているドイツのロストック動物園の資料、及び札幌市の資料を用います。

同園が開園したのは1951年のことですが、ホッキョクグマの飼育が開始されたのは1963年のことだったようです。少なくとも資料的にはそうなります。その年に導入された個体は雄(オス)の個体(#1222 1961~ ? 以下「個体A」と略記)と雌(メス)の個体 (#3209 1962~1970 以下「個体B」と略記)でした。この二頭はペアとしての導入だったのでしょう。個体Aは野生出身であることを示唆する記述がロストック動物園の記述に見出せますが飼育下の生まれである可能性も完全には否定できません。この個体A(#1222) は1963年1月11日に同園に入園した記録が残っています。しかし1972年4月2日に有竹鳥獣店に売却された記録が残っていますが、それ以降の個体Aの消息は不明です。個体B(#3209) は1963年1月11日、つまり個体Aと同じ日に同園に入園しています。ところが個体Bは繁殖の実績がないまま1970年9月25日に7歳で死亡しています。死因は不明です。ペアとして導入した個体の一方が亡くなると、残された一頭が動物商に売却されてしまうというのはこの時代における日本の動物園では非常によく行われたことでした。そういったことで個体Aは1972年に売却されたのでしょう。
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円山動物園の旧ホッキョクグマ飼育展示場
(2018年6月21日撮影)

円山動物園はこれと同じ複雑な動きを同時期にしています。同園は雄(オス)の野生出身と思われる個体 (#1231 1966~1971 以下「個体C」と略記)を導入するのですが、この個体は円山動物園が有竹鳥獣店から購入して1968年4月25日に同園に導入した段階では一歳半だったわけです。ところが同園はこの個体C(#1231) を三年半後の1971年10月16日に、購入時と同じ有竹鳥獣店に売却してしまいます。さらに同園は野生出身と思われる一歳半の雌(メス)の個体 (#3216 1966~1968 以下「個体D」と略記)を個体Cの入園と同じ日の1968年4月25日に導入していたのですが、この個体Dは同園入園の約二ヶ月半後の1968年7月8日に二歳にならないうちに死亡してしまいます。個体Cと個体Dを同園はやはりペアとして導入したことに間違いないでしょうが、そのうちの個体Dが早々と死亡してしまったために同園は今度はやはり野生出身と思われる雌(メス)の個体 (#3222 1969~1971 以下「個体E」と略記)を1971年4月28日に導入します。ところがこの個体E(#3222)も入園の約5ヶ月半後の1971年10月16日に二歳を目前にして死亡してしまいます。これによって円山動物園が個体Cのペアとして導入した個体Dも個体Eも早々と死亡してしまったため、個体Cそれ自体も売却してしまったとみて間違いないでしょう。円山動物園はこの時代、2ペアによる繁殖を目指していたことがわかります。つまり個体A/個体B、そして個体C/個体D(後に個体E)という2ペアです。ところが個体B,個体D,個体Eの三頭は1968年~1971年の間にまだ非常に若かったにもかかわらず同園で死亡してしまったというわけです。この事実は、この時代の円山動物園のホッキョクグマ飼育には大きな問題点があったらしいことを示唆しています。
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ポール (#218 Pole 1970~2001) とシロ (#219 Shiro 1970~2004) *1972年頃 Image : SapporoPRD

さて、そして円山動物園が次に導入したペアは共に野生出身であることが完全に確認できる雄(オス)のポール (#218 Pole 1970~2001)と雌(メス)のシロ (#219 Shiro 1970~2004) でした。ポールが円山動物園に入園したのは1971年4月28日、シロが入園したのも1971年4月28日、つまり同じ日です。このポールとシロのペアの時代となって円山動物園は初めてホッキョクグマの繁殖に成功したわけです。これ以降の円山動物園におけるホッキョクグマ飼育に関しては昨年秋の「札幌・円山動物園の苦闘の繁殖記録 ~ 賞賛されるべきデナリ (Denali) とララ(Lara) の健闘」という投稿に続くことになりますのでここでは省略します。
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ポール (#218 Pole 1970~2001) とシロ (#219 Shiro 1970~2004) *1976年 Image : SapporoPRD
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ポール (#218 Pole 1970~2001) とシロ (#219 Shiro 1970~2004) *1977年 Image :札幌市

このポールとシロの間に1985年12月21日に誕生したのが雄(オス)のポロ (#681 Polo/Wang 1985~2014) でした。ポロはその後、1986年12月18日に南アフリカのヨハネスブルク動物園に入園しています。札幌市の電子ライブラリーのなかの「さっぽろ円山動物園だより」のアーカイヴがあり、こちらをクリックしていただくとその「昭和61年7月号」のページがあります。そのページで「読む」をクリックしていただくと「こんなに大きくなったよ! - 初めて育ったホッキョクグマの赤ちゃん」というページがあります。そこにポロの写真と誕生当時のエピソードが書かれています。さらにこちらをクリックしていただくと「平成7年7月号」が開きます。「読む」をクリックしていただくと円山動物園に到着した頃のデナリの姿が見えます。ちなみにこの号の別のページに天王寺動物園の新園長となった向井さんの若かりし頃の写真があります。さらにこちらをクリックしていただくと「平成8年12月号」のページにいきます。さらに「読む」をクリックしていただき「円山動物園のあたらしいおともだち ホッキョウグマのララです」というページをご覧下さい。貴重な記録です。デナリというのは若い時から素晴らしい顔立ちをしていることがわかります。ララはそれほど可愛いといった感じの写真には見えません。



(資料)
札幌市電子図書館(さっぽろ円山動物園だより

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by polarbearmaniac | 2021-07-01 23:45 | Polarbearology

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