街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum
by polarbearmaniac
大阪・天王寺動物園で「ホウちゃん誕生日イベント」が行われる ~ 向井園長が語るホッキョクグマの出産準備
(2021年3月29日撮影 於 大阪市・天王寺動物園)
11月22日に大阪の天王寺動物園でホウちゃん (Hochan/Хочан) の満一歳の誕生日イベントがありました。当初は11月23日の火曜日の祝日に行う予定だったそうですがコロナウイルス感染症の拡大防止のためネットでのライブ配信で前日の22日の休園日に行うことになったそうです。約30分間の映像ですが、一応ここで改めて御紹介しておきます。
さて、産経新聞の11月21日付の電子版で天王寺動物園の向井園長が「ホッキョクグマの出産に必要な条件」を話題にして語っている記事が掲載されました。向井さんは私が以前に札幌の円山動物園をよく訪問していた時代にホッキョクグマについていろいろと話をうかがったことがありました。当時も私は非常にユニークな意見だと思ったことが、いつくかありました。向井さん独自の見解であり、他の人はほとんどそのような見解は持たないだろうという内容でした。具体的な内容は述べないでおきます。その他の点で一つだけ挙げておけば、向井さんはホッキョクグマの人工哺育を全く評価しない見解を述べていました。
今回の記事の内容で一つ気になる点があります。それは、「産室への閉じ込め」という表現を用いている点です。この「閉じ込め」というのは、ある特定の日から雌(メス)の個体が飼育展示場に出ることを一切できないように物理的に室内に「閉じ込める」ということを意味しています。世界の動物園、特に欧米の動物園で出産が期待されている雌(メス)を飼育している動物園で期日を決めて「閉じ込める」ということをやっている動物園は現在ではほとんどないでしょう。産室のあるスペースを開放して屋外の飼育展示場と自由に行き来できるようにしておき、いつ産室に留まるかを雌(メス)の自由意思に委ねているのが現在のやり方です。円山動物園でこの「閉じ込める」というやり方を行ったのは札幌のファンの方々からの評価が現在でも非常に高い飼育員のK氏でした(私のK氏への評価は全く逆ですが)。ところがK氏の後任者は前任者のK氏のやり方を一気にひっくり返したのです。それ以来、ララの秋からの行動は非常に安定性を見せたのです。もう完全に「筋に入った」というような、出産成功について100%の自信をララは周囲に発散するようになりました。向井さんの「閉じ込める」という表現は円山動物園でK氏がホッキョクグマの担当をしていた時代の話でしょう。
(2021年3月29日撮影 於 大阪市・天王寺動物園)
天王寺動物園で「15頭が産まれ、6頭が無事に成育」と向井さんは語っています。確かめてみたいと思います。誕生頭数は私がまとめた限りでは以下になります
・1986年 3頭
・1987年 1頭
・1989年 2頭
・1990年 1頭
・1992年 1頭
・1993年 1頭
・1997年 2頭
・1998年 1頭
・2014年 1頭
・2020年 2頭
以上で合計15頭の誕生です。成育したのは、コユキ、ミユキ、ユキミ、ユキスケ、モモ、ホウちゃん、これで6頭になります。つまり向井さんは誕生頭数も成育頭数も完全に正確な数字を語っているということになります。
天王寺動物園におけるホッキョクグマ飼育・繁殖の歴史については「大阪・天王寺動物園、ホッキョクグマ飼育の歴史 ~ 1971年8月3日と1974年3月14日に同園で死亡した個体は何頭だったのか?」、及び「大阪・天王寺動物園の苦闘の繁殖記録 ~ 残念な幼年期・若年期での早世個体の多さ」という二つの投稿で詳しく述べていますので、そちらを御参照下さい。ただし繁殖記録については昨年秋の投稿でしたのでホウちゃんの誕生は書かれていません。
(資料)
産経新聞 (Nov.21 2021 - ホッキョクグマの出産に必要な暗闇と静寂)
(過去関連投稿)
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| 2021-11-24 02:00
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