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街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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モスクワ動物園の重傷を負ったディクソン (Диксон) の状態について語るドミートリイ・エゴロフ主任獣医師

モスクワ動物園の重傷を負ったディクソン (Диксон) の状態について語るドミートリイ・エゴロフ主任獣医師_a0151913_03135451.jpg
ディクソン (Диксон)   Image : Московский зоопарк

ロシア極北のディクソン (Диксон) の集落付近で散弾によって重傷を負って保護・治療のために9月6日にモスクワ動物園に移送された推定3歳の雄(オス)のホッキョクグマのディクソン (Диксон) については、ロシア国内では非常に強い関心があるものの、ロシア国外では全くといってよいほど報道されていません。このディクソンについては北極圏における環境の悪化、そして人間とホッキョクグマとの関わり合い方(彼が撃った人間は犯罪行為を犯したわけですが)といった文脈でロシアで報じられているわけで、これは昨今の国際情勢とは関係のない話であるものの西側で報じられないのは残念としか言いようがありません。本ブログでは彼の様子を克明に追い続けていますので、その細かい経緯については過去関連投稿を御参照いただきたく、今回はそれを繰り返して述べることはしないでおきます。

さて、先日 «Медведь Диксон. Символ, который изменил всех»(ディクソン、私たちを変えたシンボル)という映像が公開されました。この映像は今までの同種の映像とは切り口がやや異なり、「ロシアではホッキョクグマの殺傷は刑事罰の対象になっています。それもそのはず、ホッキョクグマは残り少なく、今世紀半ばには姿を消す可能性があると言われているのです。狩猟の機会が減り人間を恐れなくなったホッキョクグマは、温暖化で少なくなっている食料を求めて、あるいは助けを求めて、しばしば人間の前に姿を現すようになったのです。」という解説を入れています。


ロシアのあるメディアがモスクワ動物園の主任獣医師であり、ホッキョクグマだけを専属に担当しているドミートリイ・エゴロフ氏への単独インタビューに成功していますので、その内容を御紹介しておきます。このエゴロフ氏はディクソンの集落で実際にこのディクソンを診察した獣医師で、過去の映像にも登場していた人です。

エゴロフ氏が語るには、「ディクソンは回復の見込みがあるものの、歩けるようになるとはまだ言えません。」と言います.「ディクソンは食欲が旺盛なんです。魚、肉、穀物、果物など、与えられたものはすべて食べるのです。彼のために特別に食事が用意されるようになりました。ディクソンはいつもお世話になっている人たちを認めているのです。銃医師のほかに、動物園の職員が2、3人います。ホッキョクグマと一緒に働く人たちの数がむしろ少ないからこそ、スタッフはホッキョクグマの記憶に残るのです。」

「ディクソンのために特別に考案されたリハビリテーション・プログラムがあります。何より、機動力を養うことが目的です。そのために、囲いの中に小さな丸太が置かれました。さらに、さまざまな物やシグナルを利用して、彼は目標を追うことを学習します。後者は、獣医師が手足を麻酔なしで治療する時間も必要で、床ずれが起きないようにするためです。」とエゴロフ氏は語ります。

「リハビリの重要な要素として、プールを設置する予定です。現在、ディクソンのために特別なものが建設されています。そこでディクソンで泳ぐことになリます。このプール "の一番の特徴は入り口です。これは、動けなくなったホッキョクグマが自分で降りられるようにするために作られたものです。犬じゃないんだから、抱き上げて水の中に入れることはできませんからね。プールの縁は鋭くないので、彼がケガをすることはありません。水の処理は彼の楽しみや自然な欲求のためだけでなく、筋肉の形成にも必要です」とエゴロフ氏は語ります。そしてエゴロフは、「ディクソンのケースはユニークです。これほど傷ついたホッキョクグマを救うチャンスは、これまで誰もなかったのです。今、彼は姿を隠している。そうすれば、誰も不必要に彼を困らせることはありません。そして室内でも快適に過ごせるようになったのです。」

「世の中には問題が山積しているのに、なぜ動物に手間とお金をかけるのかとという声が多く聞かれます。また、ホッキョクグマの救出は今回が初めてではありません。夏、クラスノヤルスク地方北部で、濃縮ミルクの瓶を口にくわえていたホッキョクグマが救出される様子をロシア中が見守ったのです。」

「これはレッドリストの動物だから、救うとか救わないとかいう問題じゃないんです。しかもロシアではホッキョクグマを撃つと犯罪になることさえあるのです。野生のホッキョクグマを保護するときは特別委員会の決定により、最終手段としてのみ動物園に運びます。ホッキョクグマだけでなく、例えば、トラやヒョウも救出されています。でも私はホッキョクグマの専門家なんです。以前はヤクーチアやチュクチでホッキョクグマを救出・保護しています。ちなみに今回はノリリスクまでは4時間かけてケージなしで行きました。そのホッキョクグマが生きているかどうかもわからなかったのです。ディクソンはとても真剣に人間に救いを求めてきたのです。」とエゴロフ氏は語ります。

さて、現在モスクワ動物園のホッキョクグマ飼育展示場の一部で行われているディクソンのためのプール設置を含めて、施設の改修工事の映像を下に御紹介しておきます。下をワンクリックして下さい。

モスクワ動物園の重傷を負ったディクソン (Диксон) の状態について語るドミートリイ・エゴロフ主任獣医師_a0151913_04562924.jpg
(資料)

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by polarbearmaniac | 2022-10-21 06:00 | Polarbearology

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