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街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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モスクワ動物園の重傷を負ったディクソン (Диксон)、遂に屋外に登場し特別仕様のプールを初体験 ~ 火花が散った二人の女性のドラマ

モスクワ動物園の重傷を負ったディクソン (Диксон)、遂に屋外に登場し特別仕様のプールを初体験 ~ 火花が散った二人の女性のドラマ_a0151913_02404925.jpg
ディクソン (Диксон) 
Image:Светлана Акулова/Московский зоопарк

ロシア極北のディクソン (Диксон) の集落付近で散弾によって重傷を負って保護・治療のために9月6日にモスクワ動物園に移送された推定3歳の雄(オス)のホッキョクグマのディクソン (Диксон) ですが、モスクワ動物園は彼のための特別仕様のプールを増設した飼育展示場の改修工事を行っていました。それが完成し、モスクワ動物園は金曜日の10月28日に初めてその完成した彼のための特別の飼育展示場にディクソンを出しました。もちろんこの場所は現在は来園者からは見えない状態になっています。アクーロヴァ園長以下、スタッフが見守る中で、この金曜日のディクソンの屋外への初登場とプールの初体験の様子をモスクワ動物園が公開していますので、下に youtube の映像でご紹介しておきます。


ディクソンの当日の行動だけに映像を集中した、やや時間の長いバージョンをモスクワ市が公開しています。そちらのほうが彼の様子がもっとよくわかりますので、下ご紹介しておきます。現実のディクソンはまだまだ痛々しいということがわかります。下をワンクリックして下さい。

モスクワ動物園の重傷を負ったディクソン (Диксон)、遂に屋外に登場し特別仕様のプールを初体験 ~ 火花が散った二人の女性のドラマ_a0151913_05540047.jpg
アクーロヴァ園長はSNSで、この日のディクソンの屋外登場の様子を喜びを込めて以下のように述べています。
モスクワ動物園の重傷を負ったディクソン (Диксон)、遂に屋外に登場し特別仕様のプールを初体験 ~ 火花が散った二人の女性のドラマ_a0151913_03505364.png
Image:Светлана Акулова/Московский зоопарк

「ついに、みんなが待ち望んでいたことが実現したのです!  専門の担当者たちは、ディクソンの限られた身体能力に対応するために用意されたプール付きのケージにディクソンをデビューさせました。当初、ディクソンは新しい環境、匂い、他の動物たちの気配などをチェックしながら隅から隅へと移動し、ある場所では小石を掻くなど、探索行動を見せました。彼は20分ほどでプールにやってきました。ディクソンは水中に入ると、すぐに深い場所に入り、安心して頭から飛び込んでいったのでした。溺れる心配はまったくなく、プールの深さは場所によって35cmから75cmと差があり、スムーズでした。最初の泳ぎを見ると、深さを55cmから85cmにそれぞれ増やせるようになったことがわかりました。専門の担当者たちは、プールに向かう途中や水中で、ディクソンの太ももの筋肉が動いていることに注目しました。これは彼が自分の体を引き上げようとしていたことを意味します。ディクソンは約1時間、楽しそうにプールに入り、初めてのプールは成功だったと評価しています。そして、自分の意志でプールから上がり、無事に囲いの中に戻ってきました。あとは彼が新しい環境に適応するのを待ち、専門の担当者が水中訓練を開始する予定です。」
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Image:Светлана Акулова/Московский зоопарк

確かにディクソンの姿を見ていると痛々しく感じはしますが、しかし彼が極北の集落で救出されたときの様子と比較すると信じられないような気持ちになります。
モスクワ動物園の重傷を負ったディクソン (Диксон)、遂に屋外に登場し特別仕様のプールを初体験 ~ 火花が散った二人の女性のドラマ_a0151913_04063707.jpg
Image:Светлана Акулова/Московский зоопарк

モスクワ動物園はよくぞここまで粘り強くディクソンのケアを行ったものだと、驚かざるを得ません。アクーロヴァ園長の指揮のもとで、少数精鋭のスタッフの頑張りには最大の賞賛を与えたいと思います。さすがに長い経験でホッキョクグマのことを知り尽くしているモスクワ動物園だけのことはあります。ロシアのTVニュースもこの日のディクソンの屋外登場とプールデビューについて報じています。4つほどそういったニュースを御紹介しておきます。下をワンクリックして下さい。

モスクワ動物園の重傷を負ったディクソン (Диксон)、遂に屋外に登場し特別仕様のプールを初体験 ~ 火花が散った二人の女性のドラマ_a0151913_04180979.jpg
私が今までこのディクソンの動向を追いかけてきた中で、このディクソンの運命が決定された9月にはドラマがありました。ロシア領内の野生のホッキョクグマを管理しているのは天然資源・環境省の自然管理監督局なのですが、同局の責任者であるスヴェトラーナ・ラジオノヴァ局長(つまりこの方は野生個体であるディクソンを「安楽死」させる決定を出すことのできる最終の法的権限者ということになります)はモスクワ動物園のスヴェトラーナ・アクーロヴァ園長からディクソンの精密検査の結果を電話で聞き、その際にアクーロヴァ園長がディクソンをどうしても救いたいという意向を持っていることを聞いたわけです。ラジオノヴァ局長はアクーロヴァ園長がディクソンの検査結果を発表する2~2時間ほど前に自分のSNSで投稿をアップし、「モスクワ動物園はディクソンを救いたいという意向です。私はディクソンについてはその全てをモスクワ動物園に委ねます。検査結果はアクーロヴァ園長が後ほど皆様に報告するでしょう。」といった内容を述べたのでした。つまりディクソンの検査結果を電話でアクーロヴァ園長から聞いたラジオノヴァ局長は、ディクソンについては、もう管理責任者である自然管理監督局はこれ以上は関与しない姿勢を示したわけでした。つまり「さじを投げて」しまったのです。あまりに検査結果がひどいものだったからでしょう。それから数時間してアクーロヴァ園長は自己のSNSのアカウントでディクソンの精密検査の結果を明らかにし、そして決然とディクソンを救う決意を明らかにしたのでした。ラジオノヴァ局長とアクーロヴァ園長という二人の優れた女性の間に火花が飛び散った瞬間でした。今月になってラジオノヴァ局長はアクーロヴァ園長とモスクワ動物園のスタッフのホッキョクグマの救助活動を称え、表彰を行ったのでした。二人の女性同士の間のスリリングなドラマを感じました。
モスクワ動物園の重傷を負ったディクソン (Диксон)、遂に屋外に登場し特別仕様のプールを初体験 ~ 火花が散った二人の女性のドラマ_a0151913_05121821.jpg
Image:Светлана Акулова/Московский зоопарк

(資料)
Первый Севастопольский (Oct.28 2022 - Раненый медведь Диксон смог поплавать в бассейне)

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by polarbearmaniac | 2022-10-29 06:00 | Polarbearology

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