街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum
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モスクワ動物園の重傷を負ったディクソン(Диксон)、一般公開よりも傷の治療を優先 ~ ディクソンに大きな声援を送るロシアの人々
Image : Московский зоопарк
ロシア極北のディクソン (Диксон) の集落付近で散弾によって重傷を負い、9月6日からモスクワ動物園で保護・治療されている推定3歳の雄(オス)のホッキョクグマのディクソン (Диксон) について、復習のためにまず最初に10月初めあたりから最近までの映像を繋げたものを見ていただきましょう。
続いて前回の投稿から現時点まで(11月5日~15日)の動向をまとめておきます。この間にモスクワ動物園から公開された映像を結合したものは下をワンクリックしていただくと見ることができます。
「ディクソンは屋外の囲いを探求し続けています。専門の担当者によると、彼は岩の隙間や壁の上など、ありとあらゆる場所の匂いを嗅ぐそうです。また、小石で巣穴を掘ろうともしています。とても好奇心旺盛で賢いホッキョクグマです。」
・00:47 - 01:01 (11月 9日)
「ディクソンを見る、のぞき穴を作りました。ディクソンの囲いには、彼専用のスリットが入ったバナーが設置され、来客用の窓も別に用意されました。大勢で威圧することなく、淡々とディクソンを覗くことができる、妥協の産物です。ディクソンは今週末に見ることができます。」
・01:02 - 01:58 (11月10日)
「ディクソンは文字通り分刻みでモニターされています。獣医師や飼育係のほかに、動物学者が一日中彼を監視しています。視覚またはカメラの映像で彼の行動を観察し、すべての動きと反応を特別な観察日誌に記録し、彼のリハビリの動的なプロセスを評価します。ディクソンのケースはユニークであるため、このような研究作業は今後、動物学界にとって非常に重要な意味を持つことになるでしょう。」
・01:59 - 03:32 (11月14日)
「ディクソンのプール登場は一時的に延期となりました。水に入ったのでは傷が治らないので、当分プールの使用は控えることにしました。専門の担当者たちは、ディクソンの腫れ物に再生剤を塗り続け、いろいろなものを試し、その効果を観察しています。そして、傷口の縁が閉じてカサカサになる、という効果もあります。ジェルドレッシングを使用する予定ですが、ディクソンはまずその準備が必要です。ディクソンの傷が癒えれば、屋外の囲いに戻す予定です。来園者の視界に入るように開放するのはディクソンにとって安全ではないのではと心配される方も多いようです。しかし、そんな心配は無用で、ケージは外の音から守られており、防音ガラス越しに人の声が聞こえることはありません。ケージの窓が非常に高いだけでなく、上部に特別なプロテクターがあり、他のものが中に入るのを防いでくれるのです。プールの水が凍る心配もなく、水を温めます。そして、ディクソンはまだ泳ぐでしょう、ただ、もう少し我慢しなければなりません。」
・03:33 - 04:56 (11月15日)
「専門員である動物学者がディクソンのリハビリの成果を観察しています。専門家の間では、ディクソンの後肢の足首の動きに注目が集まっており、四肢の麻痺の退行を示しています。とはいえ、このような場合は回復に6週間から6週間かかることもあるので、あまり焦らないようにしましょう。近いうちにMRIの再検査が行われる予定です。前回のスキャンでは、胸椎と腰椎の間に小さなショットガン打撲があることなどもわかっていました。あとは、これが解消されたかどうかを確認する必要があります。ディクソンの状況を監督している脳神経外科医によると、血腫がこのままの状態ではディクソンは手術を受けなければならないかもしれないとのことです。」
こういったところで、アクーロヴァ園長は11月9日に、その週末からのディクソンの公開を発表したのですが、これはディクソンの傷の治療にはまだ時間が要するということで、公開開始は中止になってしまいました。おそらく、ディクソンはここ数日にわたって余りに元気に泳いだりしたために、傷の治癒が遅れてしまったということなのでしょう。モスクワ動物園がディクソンを屋外に出してプールに馴染ませるのは、やや時期尚早だったような感じがします。 この時期のロシアのTV局のニュース映像を下に御紹介しておきます。下をワンクリックして下さい。
このディクソン、ロシアでは凄い人気であり、アクーロヴァ園長がSNSで短い映像をアップするたびに、凄い数の熱狂的なコメントが付いています。ファンは全て、ディクソンが極北の集落でケガによって瀕死の状態で横たわっていたのを発見され、そしてモスクワ動物園に移送されるときから、ずっとディクソンの運命を心配して彼の動向を追い続けています。そして何とかディクソンを救おうとするモスクワ動物園のスタッフの懸命な努力に大きな声援を送っているわけです。ここには、ある種の愛国心といったものさえ感じさせます。「これぞロシア!」、そういう感じがします。
以前に「ロシア橋北地域で働く人々とホッキョクグマの不思議な関係 ~ 「蜂蜜(мёд)を食べるお方」への敬意」という投稿をしています。そちらも御参照下さい。ロシア語の「熊」(медведь メドヴェーチ)というのは「蜂蜜 мёд を食べるお方 поедатель」という意味ですが、実はこの「密」は中国語、しかも中国語でも外来語だそうです。東京大学の東洋文化研究所のページでは以下のように述べています。
- 中国語の中で「蜜」という字はインド・ヨーロッパ語族に由来すると確定できる数少ない外来語の一つで、トカラ語B方言であるクチャ語のmitという言葉に由来すると推測される。1916年にはロシアの言語学者 Polivanov氏が「蜜」の由来は印欧祖語の*medhuに遡れることを明らかにしている。また、「蜜」という言葉はサンスクリット語の madhu(蜜、蜂蜜酒)、ギリシャ語の μεθυ(methu葡萄酒)や μεθη(methē,スピリッツ)、古代教会スラヴ語の medŭ(蜜)、リトアニア語のmidùs/medùs(蜜)、古英語の moedu(蜂蜜酒)、古高ドイツ語の metu(蜂蜜酒)、ドイツ語の met(蜂蜜酒)、英語のmead(蜂蜜酒)などの言葉とも比較可能である。
簡単に言えば、日本語の「密(ミツ)」は語源的にロシア語の "мёд" と繋がっているわけです。
(資料)
Москва 24 (Nov.9 2022 - "Мой район. Навигатор": состояние белого медведя Диксона)
ТВ Центр (Nov.10 2022 - В вольере медведя Диксона сделают окно для посетителей)
«Вести-Красноярск» (Nov.9 2022 - СПАСЕННОГО МЕДВЕДЯ ДИКСОНА БУДУТ ПОКАЗЫВАТЬ ПОСЕТИТЕЛЯМ В МОСКОВСКОМ ЗООПАРКЕ) (Nov.14 2022 - ПОСЕТИТЕЛИ МОСКОВСКОГО ЗООПАРКА ТЕПЕРЬ МОГУТ НАБЛЮДАТЬ ЗА ЖИЗНЬЮ ДИКСОНА)
Проспект Мира (Nov.15 2022 - «Жопка сладкая наша, всей семьей плачем от счастья»: раненый белый медведь Диксон покорил сердца москвичей)
(過去関連投稿)
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| 2022-11-16 03:00
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